備忘録「【公開対談】Takram田川氏が聞く、メルカリのロゴリニューアルからもうすぐ1年。実際どうだった?」

こんにちは。@tamaki__y です。

10月24日に開催されたこちらのイベントに参加してきました!聴きながらとったメモを公開します。
発言された方の意図とは違っている箇所もあるかと思いますが何卒ご容赦ください。

イベント概要
https://techplay.jp/event/754359

スピーカー
・井上雅意氏 株式会社メルカリ CXO Design Experience & Strategy Manager
・山田静佳氏 株式会社メルカリ Design Manager
・永尾正史氏 株式会社メルペイ Design Manager
・鈴木伸緒氏 株式会社メルペイ Digital Product Designer, Design Manager
モデレーター
・田川欣哉氏 Takram代表取締役

参考記事
https://note.mu/mercari_design/n/nb12290df5029

Twitterハッシュタグ
mercaridesign


[CIリニューアル結果と、
現在のデザイン組織の取り組みについて]

ロゴリニューアルで「新しいメルカリ」を標榜してちょうど1年。
メルカリがどのようにリブランディングに取り組んできて、今後どうなっていくのか

##なぜロゴをリデザインしたか?

1.メルペイのリリースを控え、自分たちのサービスが社会・お客様に約束する価値を見つめ直した(サービスがオフライン(実店舗)に出てからロゴを刷新すると、差し替えコストが高い)
2.ロゴをシンプルにして、様々な媒体で利用されても耐えうるものにする必要があった
まずブランドを再確認してからリデザインするべきだけど、ビジネス要件的にリデザインが先にきた


##ロゴリニューアル後、1年かけてメルカリブランドの根幹を作っている

ブランドプロミスを作成:強み、らしさ、提供価値は何か。社会に、お客様に対して約束するものは何か?


##新しいメルカリをどうやって伝えるか(メッセージ、ビジュアル)

「メルカリらしさ」をブランドガイドラインにした
ブランドガイドラインは2、3ヶ月かけて作って、いま運用に入っているところ。デザインガイドラインは整備中
ロゴの使い方、メルカリらしいイラストの定義、話し方
メルカリオリジナルフォント作成 11月に公開予定 書体デザイナー小林章氏と


##これから注力したいこと:メルカリブランドを息づかせ、これまでにないブランドを作る

アプリ、webサイト、広告、cm どれを取ってもメルカリらしい、メルカリの価値が伝わる
どのチャンネルで何を伝えるか
組織体制づくり


##ブランドプロミスを実現し、ブランドプロミスへの信頼を確立していく

お客さんや社会の「メルカリはこういうことをやってくれるよね」という期待を返す
ロゴだけでなく、あらゆるタッチポイントに対して新しいブランドの適用をしていく


[対談コーナー]

##CXOのポジションができた経緯

メルペイができ、組織規模も広がってきて、デザイン組織を拡大するため
デザイナーの能力=サービスデザインの限界点にならないように。いろんなすごいデザイナーの相乗効果でサービスを作っていかないといけない
プロダクトや仕事内容(事業部)で縦割りになりがちなので横断的な軸をどう通すかがCXOの役割


##メルペイのデザインについて

一般的にお金って難しいイメージ。メルカリがフリマアプリの敷居を下げたので、同じくらいの使いやすさ、分かりやすさを突き詰める
メルペイはUXリサーチャー(リサーチのための引き出し、分析をする専門家)がいる。
メルペイから入ってきたデザイナーがいるのでメルカリの文化を伝えていく役割がマネージャーにある
メルペイは社員200人いてもスタートアップっぽいカオスさが続いている


##リブランディングはデザイナー(CXO室)がほぼ行った

マーケとのデザイナーとのハレーションはあった模様


##デザインチームがやってること・チーム構成

メルカリ:プロダクト内部を作る人びと(プロダクトデザイナー)とブランディング/マーケ用のものを作る人びと(イラストレーター、コピーライター)が分かれている
メルペイ:プロダクト・マーケはあまり別れてない


##ブランドガイドラインは誰のために作ったのか

外に出ていくものを作る人全員
ガイドラインはきっちり固めたルールじゃない。これを下回ったら出せないという、最低限のクオリティを担保するためのライン。逸脱しても良いと明記しているけど、守っちゃう(型にはめたアウトプットをする)人が多い
ブランドガイドライン 70Pくらいある 外部公開はしていない
メルカリにはマスコットキャラクターがいないので、ロゴが頼りになってくる。リアルに見えるものとしてロゴが強い(力を持ってる)


##メルカリ社内でのデザインの捉えられ方

全社あげて「自分たちが作る」意識がある
メルカリのターニングポイントは初めてCMを打ったとき。
デザイン組織づくり:全社員で採用を頑張った


##課題

会社が大きくなってできることが増えたけど、デザイナーは全てを見られていない。規模が大きくなってアプリの外の世界にも踏み出せるようになったのだけど、デザイナーが足りてない。フリマの域を超えたことを作っていきたい
採用について。新しい人が入る余地ないんじゃないかと思われがちだけどそんなことはない。プロダクトは5個:メルカリアプリ、店舗用アプリ、カスタマーサポートツール、加盟店サポートツール、不正監視ツール プロダクトデザイナーとオフラインのデザイナーも足りてない。職種でいうとプロダクトデザイナー・ UXリサーチャー・アートデイレクター(イベントの全体の世界観を作ったり)
メルカリとメルペイのエコシステム(売ったお金で買って、買ったもの売って…というサイクル)を確立したい
デザイナーに求められることが変わってきた。高いものを求められている
デザイナーの実力をあげる。もっとこだわる 画面を作れればいい→デザイナーがPMじゃないといけない段階 基本的なスキルを上げつつ範囲を広げていく


##ブランドをどうやって社内に浸透させていくか

ブランディングの効果測定:明確なKPIはない。アンケートなど定点観測の数値を見るとか、マーケの獲得効率を見るとか(ブランドイメージがいいとマーケの獲得効率が高い)
CXOが1年かけて経営会議でブランドの必要性を発信していくうちに、経営陣が「定量とかよりなんかワクワクすることやろう」みたいな感じになってきた
↑これに関連して…ブランドの必要性は時間をかけて浸透させていく。しつこくやる。ただ、デザインがバックボーンにない人は特にブランドに対するふわっとした過剰な期待を持ってしまうときもあるので期待値をコントロールするのも大事



[Q&Aコーナー]

##ロゴのリデザインについて

ビジネス要件に合わせるため突貫スケジュールでやった。CXO自身、ちゃんとした方法論を知らなかったからいろいろ後付けのものもある。今になって目指すべきものとか戦略を考えられるようになった


##前のロゴにとらわれずにどうアイデアを広げていったか?

とにかく数をいっぱい出した。今のものをアップデートしたパターン、全く違うパターン、尖ってるパターンなどいくつか軸をもうけて作っていった


##ブランドガイドラインをデザイン組織以外にどう浸透させていくか

まだあまり浸透できていないところもある。
けど、制作物を外注するときのディレクションの拠り所になっている。


##どんなデザイナーが必要か

メルカリ:全体を見て、メルカリにとって大事か考えられる、推進できる人
メルペイ:情報は待ってたらやってくるということはない。自分で取りに行く。変化やカオスを楽しめる人、自分で課題を発見して解決していける人



[個人的に印象に残ったお話]

・「ガイドラインを作ると、アウトプットがその枠の中だけに収まりがち。時には枠を飛び出すものがあってもいい
→アウトプットの統一感は大事だけど、ガイドラインを破ることで得られる効果(ユーザーのわくわく感とか)もあるので「ガイドラインははみ出してもいい」の意識を常に持っていたい…一回はみ出して少し戻ってくるくらいがいいのかも。

・「デザイナー全員のデザインスキルを上げる。もっともっとアウトプットにこだわらないと」「デザイナーの能力=サービスデザインの限界点にならないように
→メルカリにはすでに能力の高いデザイナーが多数在籍していると思うのですが、上を目指し続けることが大切ですね。肝に銘じます。

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