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転職活動に悩むぼく


桜が咲く頃だった。

そんな季節に転職活動をしようか悩んでいるぼく。

「会社やめたろーかな」そんな一言が友人達を集めるきっかけとなったらしい。

情緒不安定になりがちな姿をみかねて、友人達が家飲みを開いてくれた。タヌキのような彼や沖縄の万年筆好きまで集まった。まるで、プチ同窓会のようだ。場所はなぜか渋谷から歩いて30分ほどのぼくの家だったけれども。

机の上には東北の酒マニアが選んでくれたお酒が並んでいる。日本酒やビールだけで無くキューバのお酒など珍しいものもあった。おつまみには、そら豆、からあげ、明石のたこ焼き、ポテトサラダそしていくつかの缶詰もならんでいる。ぼくの好きな納豆はないけれども。

協調性の無い集まりだからだろうか。統一性のないお酒に食べ物たち。テーマの決まっていない食卓もたまにはいいかな。案外、雑多な食べ物が奏でる味も良いかもしれない。

鞠と戯れているハムスターの餌となりそうなものはツナ缶だろうか?いつもはカナダ産の本格的な蜂蜜を与えている。贅沢な暮らしを覚えさせてしまったことは、少し後悔している。

当然のように話題は転職活動のことだ。

「進捗どうよ?」

オリックスファンの彼女が言った。

「早稲田大学のOGに就職相談をしたり、人事経験のある少しだけ年上の女性に相談したりしてる。まぁ、ブルペンで準備中ってところかな。」

ぼくはウサギのように肩をすくめながら野球を交えて答える。

「最近はwebライター講師の仕事もあるみたいだよ」

「書くこと好きなら、ファッションライターでも目指してみれば?」

「転職活動まで草食でどうするんだよ!肉食でいけよ」

「無料ブログじゃなくて、なんか書くことすれば?」

「悩むと髪が無くなるぞ、いやまじで」

矢のように浴びせられるアドバイスなのかわからない言葉達。
頭の中をいろいろなことが駆け巡る。

ぼくはみんなの声に耳を傾けゴリラのように頷いた。
頭の中で編集しながらみんなに答えた。

「転職活動って四つ葉のクローバーを探すようなものだよな。いい会社、仕事と巡り会うと幸せになれる。後ろ向きじゃ無くて前に逃げるイメージで探したいね。いつも、ありがとう。これからも頑張っていくよ。」

ぼくの前向きな言葉を聞いて、胸をなでおろしたのか。みんなのお酒のペースが上がった。

やっぱり楽しくやるためには前向きな発言が必要だ。
後ろ向きな発言はいらない、ぼくに。

流しっぱなしのYoutubeからは雪の華が流れ時計は深夜1時半を示している。

こちらサポートにコメントをつけられるようになっていたのですね。サポートを頂いた暁には歌集なりエッセイを購入しレビューさせて頂きます。