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古澤健監督『STALKERS』

Stranger 映画館で古澤健監督の「Stalkers」を観た。 支配人の岡村忠征さんが昨年のベストワンに推す映画であり、彼がStrangerの運営から1月末で離れるとの事で、そのフィナーレを飾る映画でもあるので、そこに岡村さんの想いや下心があるのではと思いながら、急遽伺う事にしました。
現地には岡村さんだけでなく、監督の古澤さんもいらっしゃり、岡村さんか「面食らうと思いますよ」と声掛けられ、これは、脅しなのか、事前のエクスキューズなのか。。とにかく心の準備をしながら、映画が始まるのを待ちます。
映画が始まるとカメラが横移動するのですが、非均一のリズムを刻み、普通と違う“何か”音楽を感じさせ、画面が横に縦にと黒いビニールテープのようなものでゆっくり4つの画面に区切られはじめ、そこにも艶めかしい“何か”を感じました。また、映し出される東京の風景は、見たこともない色彩ともに、“何とも言えない”美しさを感じました。
武蔵村山のトンネルを舞台に、2台のカメラとスマホで撮影されるそれぞれの映像は、4分割され、こちらの方向感覚を麻痺し現実と幻想の間漂い始めます、そして、そのトンネルを通り過ぎていく、人々が時々映し出されます。光と影 そしてカメラで切り取られた映像の組み合わせが、美しさ、恐怖、不安など、言葉になる直前の“何か”のまま、音楽のように、こちらに提示されます。これを映画と呼んでいいのか、でなければこれは何なのか、これこそが映画なのかと自問しながら見ていると、あっという間に作品は終わります。そして、そして、監督、助監督、音楽担当のクレジットのタイポグラフィーと色彩の組み合わせもあまり見たことのない美しさ。ただ一つ言えることは、大変面白く、カッコいい。
おそらくその他の古澤作品を見て、初めて、改めてわかることも多いと思われ、これは、古澤作品のイントロダクションをするという企てでもあったのかもしれません。

そして、映画上映後は、サプライズのトーク・ショー。古澤監督の制作秘話だけではなく、岡村さんの嬉々として映画を語る表情を観られ、この素晴らしい作品の映画体験だけでなく、岡村さんが作り上げたStrangerという世界での映画を観る体験夢味わえた素晴らしい夜となりました。

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