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第99回箱根駅伝展望

第99回の箱根駅伝が来年1月2日・3日に開催されます。開催が間近に迫ってきていますので、展望したいと思います。

今回の箱根駅伝は2強(駒澤・青学)が抜けている

今回の箱根駅伝は、3冠を狙う駒澤大学と、2連覇を狙う青山大学が、戦力的に頭一つ二つ抜けていると思います。それには、3つの要因があります。

圧倒的な選手層

今回、この2強の選手層は他を圧倒しています。青山大学はここ数年、選手層で他を圧倒してきていたのですが、今回は駒澤大学の選手層も厚く、青山大学と互角だと思います。
両校の選手層を物語っているのが、16人のエントリーメンバーから漏れたメンバーの強さです。
駒澤大学は、直前の記録会で1万メートル28分35秒、ハーフで62分53秒で走っている赤津選手や、激坂王で3位になった宮城選手がエントリーメンバーから漏れています。普通のシード校なら十分に出走しているレベルの選手ですね。つまり、エントリーされている選手はこの両選手より走れるという事なんでしょう。
青山大学も、全日本大学駅伝で8区を走った宮坂選手、2区の白石選手が外れました。特に宮坂選手は8区エース区間を走った選手で、確かに区間10位と奮わなかったとしても、エース区間をこれくらいでまとめた選手が外れるというのは他校では考えられないと思います。それだけエントリーしている選手の出来が良いという事なんでしょう。
その両校の強さは、復路に予想されるメンバーの強さに表れます。今のスピード駅伝では往路の出遅れは致命的で、往路にエース級をどんどん注ぎ込む必要があるため、復路のメンバーはどうしても劣ってしまうのですが、両校は復路にも他校のエース級と互角以上に走れるメンバーが残ると思われます。
駒澤では、山野選手や篠原選手、青学では中村選手や横田選手。
中村選手は前回、9区で1分近く区間記録を更新する区間新記録で走りました。9区は2区を裏返したコースで2区と同じ距離、登り基調の2区に対し9区は下り基調で9区の方が記録が出やすいハズなのですが、区間記録は2区が65分台、9区は68分台と9区の方が遅いです。これは、2区がエース級の選手が走ってきたのに対し、9区はそこまでの選手が走っていなかったから、でした。では、2区を走るようなレベルの選手が9区を走るとどうなるか? それを実現したのが前回の中村選手でした。中村選手はその前の箱根駅伝で2区を走っていて、流れが悪く力を出しきれなかったにしても68分台では走っていました。なので、前回に良い流れで2区を走っていれば67分台くらいで走っていたと思われます。なので、9区では67分15秒の記録を出す事ができたのでしょう。今年の中村選手は、全カレで入賞していて調子も悪くありませんので、もし9区を走れば、同等以上で走れると思われます。
一方、駒沢の山野選手は、ハーフマラソンの学生記録を樹立しました。もっとも、田澤選手などの本当のトップ級がハーフマラソンを走ると、もっと凄い記録は出しそうですが、さすがにハーフ60分台というのは凄い記録で、中村選手と同等くらいでは走る事ができるでしょう。
この辺りの選手は往路の3区、4区辺りでも区間上位で走れると思いますが、そういう選手が複数復路に残っているのが2強の選手層という事です。

エースの強さ

2強はまた、エース力も他校を上回っています。今年の全日本大学駅伝7区がエース区間だったのですが、駒澤・田澤選手と青学・近藤選手が従来の区間記録を上回る区間新で走りました。他の大学もエース級を投入していましたが、この2選手がちょっと抜けた走りをしていましたね。エース力という点でも、この2校が他より上回っている事を表していたと思います。

山を含めた戦力バランス

2強はまた、特殊区間(山の上り、下り)を含めた戦力バランスも良いと思います。
エース:駒澤・田澤、青学・近藤
スターター:駒澤・花尾(篠原)、青学・目方
準エース(往路要因):駒澤・鈴木、佐藤圭汰、青学・岸本、佐藤一世
山登り:駒澤・金子、山川(鈴木)、青学・若林、脇田、黒田
山下り:駒澤・小野、帰山、青学・西川、脇田、若林
復路要員:駒澤:山野、篠原、円、安原、赤星、青学・横田、中村、太田、中倉、田中

どこにも穴がないように思います。山登りは両校とも経験者が居て、それ以外も有力候補が居るとの事です。特に駒澤は激坂王3位と好走した宮城選手を外していて、用意している選手がそれ以上に走る想定なのでしょう。山下りだけが両校経験者が居ませんが、これだけ戦力はあるので、ある程度で走る選手は居るでしょう。個人的には山ではそれほど差はないと予想しています。

2強の争いでは、エース力では駒澤が上なのかな、と予想しています。田澤選手・佐藤選手・鈴木選手が2〜4区に並ぶとちょっと勝てる所はないように思われます。復路は青学が少しだけ上回ってると思いますが、往路で勝ってるとトップ効果の有利さもあります。青学としては、田澤選手との差をなるべく小さくして、駅伝巧者の岸本選手が佐藤選手とのスタミナ勝負に持ち込んでなんとか追いつき、鈴木選手に負けても差を最小にして復路勝負で逆転可能な差に持ち込めるかどうかにかかっていると思います。(という意味で、駒澤がやや有利かと。でもホント僅差と予想しています。)

2強を脅かす大学は?

2強以外では、順大、國學、中央を併せて「5強」と言われています。その中では中央が実は侮れないと思っています。

中央大学の戦力分析

2強は戦力的に隙がなく、どこかで失敗がないと他が勝つのは難しいと思っています。ただ、そういう「失敗」を能動的に起こしうるのが中央だと思います。というのは、1区に吉居大和選手を投入すると、ハイペースに付いていくのか自重するのかに迷う事になりますし、無理にハイペースに付いていくとブレーキを起こしてしまうかもしれません。そういう紛れを起こす可能性を持っているのは中央だけだと思うのです。
また、1区に吉居大和選手を使っても、2区に中野選手を使えるので、1区の先手を使って2強に対抗できるかもしれません。
あと、山に強力な経験者が居て不安がないのも利点です。前回5区6位の阿部選手、6区5位の若林選手が今年も好調を維持していて、山は両方トータルなら2強を上回り得ると思います。
復路も、湯浅選手は全日本大学駅伝の7区で、吉居大和・中野の両エースを欠く中、エース区間をある程度の位置で凌ぎ切りました。そういう選手を復路に回せるのは2強に劣っていないでしょう。それ以外も、中澤選手(前回箱根8区3位)、山平選手(関カレハーフ3位)、溜池選手(出雲5区2位)が居て、ハーフ62分台半ばの助川選手と田井野選手が控えています。復路の層は2強に迫っているでしょう。
あとは、往路の3区・4区で千守選手・吉居駿恭が2強相手にどこまで戦えるか次第でしょう。でも、2強に一番迫りうるのは中央大学だと思います。

国学院大学の戦力分析

國學院大学は4強を往路に注ぎ込むと言っていまして、山登りにエース格の伊地知選手を投入するとの噂です。過去、エース浦野選手を登りに投入して往路優勝に迫った再現を狙っているようです。その噂通りだとすると、
エース:平林選手
スターター:山本選手(青木選手)
準エース(往路要因):中西選手、青木選手(山本選手)
山登り:伊地知選手
山下り:島崎選手
復路要員:藤本選手、坂本選手、鶴選手、上原選手、高山選手

こうして見比べてみると、平林選手が田澤選手・近藤選手との差をどこまで小さくできるかが鍵でしょう。準エースは2強と同等かそれ以上で走ってくれるかもしれませんので、2区での差をそこで詰めて、あとは山登りで伊地知選手が爆走する事が往路優勝の条件でしょう。往路で勝たないと、復路は2強や中央よりは薄いと思うので、2強に走られてしまいそうです。

順天堂大学の戦力分析

順大は2区ですね。そこをどう凌ぐか次第ではないでしょうか。本来ならエースは伊豫田選手なんですが、順大は彼を3区に使うようです。でも2区で遅れると優勝争いからは脱落してしまうように思います。(去年2位まで上がれたのは、駒澤や國學院に大きなアクシデントのブレーキがあったからだと思いますし、青学とは影も踏めない差になってしまった訳ですし。)
看板の三浦選手はどうみても2区向きではないですし、登りやロードに自信を持つ四釜選手は5区に使いたい。野村選手の今年の成績ではレベルの上がったエース区間はちょっと苦しそうです。となると、2区適任の人材に苦労しそうです。個人的には伊豫田選手で上位との差を少しでも小さくして山登りの四釜選手で勝負をかけるのが良いと思うのですが。
往路要員:三浦選手、伊豫田選手、野村選手、石井選手
登り:四釜選手
下り:?
復路要員:西澤選手、平選手、浅井選手、海老沢選手

こう並べてみると、下りも不安ですし、復路も西澤選手は好調でかなり期待できそうですが、2強や中央と比べると復路も少し薄そうです。上位が崩れた時に虎視眈々と狙っている、という位置付けになるかと思います。

こう比べると、中央は多少、2強に対抗できそう、國學と順天は2強とは差がありそう、というのが私の分析になります。

ダークホースは法政?

ダークホース枠に挙げられる大学です。法政、創価、東京国際がその辺りになるかと思いますが、私はその中では法政が面白いと思います。

法政の戦力分析

法政は、エース内田選手の急成長で、エース力が5強と並ぶくらいになった事が最大の強みでしょう。出雲3区では、ムルア選手・田澤選手・近藤選手に次ぐ区間4位(平林選手、中野選手、伊豫田選手、丹所選手を上回っています!)、秋のレースでも1万メートルで高記録を出した1週間後に「8割の力で走って」ハーフを62分そこそこで走っているのは相当に強いです。また、関東インカレ5000mで会場を沸かせた松永選手は、出雲は合宿の疲れで不調だったそうですが、秋のレースでは内田選手と同じスケジュールで同じくらいで走れています。この両エースはかなり強そうです。往路要員も、出雲駅伝で、松本選手、扇選手、小泉選手がそこそこまとめています。山も経験者が居ます。前回5区16位の細迫選手、6区2位の武田選手。登りは区間順位は悪いので貯金は見込めなさそうですが、無難には走ってくれるでしょう。下りは区間賞候補で貯金も見込めそうなので、山トータルでは十分に戦えるはずです。復路も前回経験者の中園選手(7区8位)、川上選手(10区11位)に加え、宮岡選手(ハーフ62分28秒)のような新星も出てきて、10人なら何とか揃えれそうです。不調な選手が出た時の層の薄さは気になりますが、10人までの戦力なら5強と互角くらいと思います。

創価大学の戦力分析

創大の強みは、高レベルで安定している超優良留学生・ムルワ選手の存在でしょう。彼のおかげでここ2年、2区終了時で上位で走れているのが好成績の原動力でしょう。今のスピード駅伝では序盤に遅れると追い上げるのが難しいのですが、逆に上位に居ると力以上のものが出せるのだと思います。それとロードエースの嶋津選手、安定感は欠くけどツボにハマると強い葛西選手の3人は強いですが、それ以外の選手は5強ほどではないように思います。

エース:ムルワ選手
往路要員:嶋津選手、葛西選手、横山選手?
山登り:新家選手、野沢選手
山下り:浜野選手
復路要員:吉田選手、山森選手、桑田選手、緒方選手、石丸選手

創価の強みは2強を上回るものではないので2強を脅かすのは難しそうですが、山下りも復路要因もある程度いるので、シード争いではかなり安泰のように思えます。あとは5強で崩れた所をどれくらい食っていけるか、といった所でしょうか。

東京国際大学の戦力分析

東国の強みは創大とかなりかぶっています。ヴィンセント選手・丹所選手・山谷選手の3本柱は創大と同等以上でしょう。ただ、それ以外の選手がかなり伸び悩んでいて、ヴィンセント選手と山谷選手が不在で丹所選手の調子が上がらなかった出雲と全日本では下位に沈む事になりました。3本柱の復調は上位浮上に必須です。

エース:ヴィンセント選手
往路要員:丹所選手、山谷選手、白井選手
山登り:?
山下り:林選手
復路要員:村松選手、富永選手、宗像選手、堀畑選手、木村選手、川端選手

創価と比べると、山に不安があるように思えます。こちらも復路にある程度選手は居ますので、山をどう乗り切るかが、ここ数年の課題となっています。ヴィンセント選手は万全なら田澤選手・近藤選手と互角かそれ以上で、丹所選手もポテンシャルなら準エース選手の中では一番でしょう。エース力なら2強以上かもしれない訳で、そのエース力を元に前でレースを行って、5強をどこまで食えるかの勝負だと思います。

シード争いの行方は?

ここまで挙げたのが8校。それ以外では、シード校の東洋大学と帝京大学、予選会から上がってきた中では、全日本シード獲得の早稲田と、予選会上位の大東、明治、城西、日体あたりまでがシード争いなのかな、と思います。(日体の位置だと厳しそうですが、予選会後に大エースが戻ってきました。)

東洋大学の戦力分析

エース:梅崎選手、石田選手
往路要員:児玉選手、前田選手、佐藤選手
山登り:?
山下り:九嶋選手
復路要員:柏選手、清野選手、村上選手、熊崎選手

2年連続でエース区間2区を上位で走ってるエース松山選手を欠く東洋大学。しかし、全日本のエース区間7区で梅崎選手が好走していて、箱根でも何とかしのいでくれそうです。それより不安なのが、スターター児玉選手の不調と山登り。今回はしのぐ2区なので1区出遅れは厳禁なので、児玉選手の復調はシード死守には必須でしょう。また山登りをどうしのぐかも重要です。
しかし、往路を何とかすれば、復路は下りも九嶋選手が居ますし、北海道マラソン好走組の柏、清野、村上3選手は復路ではかなり頼りになります。今の駅伝では序盤に出遅れて追い上げるのは本当に大変なので、序盤をどう乗り切るか、次第でしょう。

早稲田大学の戦力分析

先の全日本でシードを獲った早稲田からいきます。早稲田は全日本6位で、しかもそれは準エース鈴木選手不在の中だった訳で、と、実は万全なら5強に引けを取らない戦力を持っています。ただ、全日本でもブレーキが出たり、予選会でもブレーキやアクシデントを起こす選手が居たりと、不安定なのが気になります。

エース:井川選手、石塚選手
往路要員:鈴木選手、山口選手
山登り:伊藤選手
山下り:北村選手
復路要員:佐藤選手、間瀬田選手、小指選手、菅野選手、伊福選手(菖蒲選手)

2区を乗り切るエース力という点ではやや不安は残ります。全日本7区を好走した伊藤選手は登り予定との事で、他の選手が必要です。本来ならエースは井川選手で、今シーズンは安定しているので、何とか2区を耐え切って欲しい所です。脇を固める選手は、鈴木選手にしても石塚選手にしても駅伝力は高く頼りになります。ルーキー山口選手も予選会はアクシデントでしたが全日本大学駅伝では非凡な走りを見せています。山も復路要因もいますので、ちゃんと力を出し切れれば、法政との6位争いとなりそうです。

明治大学の戦力分析

明治も戦力的にはシード権を取れそうな力はあります。が、ここ2年、箱根駅伝では力を出しきれていません。

エース:富田選手、児玉選手
往路要員:小澤選手、櫛田選手
山登り:吉川選手
山下り:?
復路要員:加藤選手、下條選手、漆畑選手、新谷選手、森下選手

今年のエースは富田選手と児玉選手でしょう。予選会でも全日本大学駅伝でも好走しています。富田選手は学生ハーフでも上位で走っていて今年は安定しています。児玉選手が2区に意欲を見せているようですが、2区は一番安定して強い選手に任せるべきで、出遅れ厳禁なので児玉選手が1区を上位で繋いでくれれば、ここの所の課題の出遅れを防ぐ事ができるように思います。そうすると、小澤選手と櫛田選手は5強の選手にも引けを取らないので、あとは5区次第、という事になります。
(こう考えるとシード争いも激戦ですね。もう10校を超えています。)

帝京大学の戦力分析

帝京大学はここ数年、事前の予想を上回る結果を残してシード権を確保し続けています。でも、去年のシード権の立役者がごっそり卒業してしまい、また全日本が出場できず、出雲でも関東以外の大学に負ける始末。そこでの新戦力台頭も見られていなくて、秋のレースや記録会で自己記録更新は見られていますが、他の大学と比較すると大きく見劣りする結果だったりします。(他校が62分台続出で沸いた上尾ハーフで63分台だったり、とか。)いくら中野監督が前回以上の戦力はあると言っても俄には信じ難い結果です。

エース:小野選手、西脇選手
往路要員:小林選手、北野選手
山登り:新井選手
山下り:(北野選手?)
復路要員:山田選手、吉岡選手、尾崎選手、福田選手

エースは前回1区で区間8位にまとめた小野選手と、学生ハーフ9位の西脇選手でしょう。特に小野選手は伝説の2019年高校駅伝1区で区間4位で走っているポテンシャルを持った選手なので、彼が覚醒すればハイレベルな2区でも戦えるのではないかと思います(が、まだその兆候は見えていません)。
また、28分台を出した小林選手や、ハーフ62分台の北野選手は居ますが、他のシードを争う大学のエース格と比べるとどうしても見劣りしてしまいます。復路要員も62分台が並ぶライバル校と比べると、63分台の選手が並んでいます。
これでシード獲得となると、ただただ中野監督に参りました、と頭を下げるしかないでしょう。

日本体育大学の戦力分析

日体大の戦力分析です。個人的には大東や城西よりシード獲得の確率は高いと思っています。何より安定感のあるエース藤本選手の存在は大きいです。

エース力:藤本選手
往路要員:盛本選手、廣澤選手、分須選手
山登り:山﨑選手、吉富選手
山下り:(盛本選手)
復路要員:名村選手、大森選手、田中選手、田嶋選手、平島選手、松浦選手

藤本選手は前回、1区で19位と大きく遅れた中でも、三浦選手を引き連れて順位を大きく上げ、最後には三浦選手を振り切って67分台半ばで2区を走り切っています。悪い流れの中でもそれだけの走りができる大エースが2区に控えているのは大きいです。ただ、今年はその大エースを「活かす」ためにも1区は遅れたくないですね。予選会チームトップの盛本選手か、中距離から移籍して急成長中の廣澤選手がなんとか良い位置で渡してあげて欲しい。そうすると藤本選手ならば、かなり上位で渡す事ができるように思います。そうなると3区4区はスムーズに流れるでしょう。
あとは山ですが、去年の激坂王で快走(3位)した吉富選手は箱根本戦では奮いませんでした(15位)。ただ、去年の激坂王上位は箱根本番では軒並み結果が悪かった。それは、激坂王を激走すると箱根のコンディショニングが難しくなるのだろうと思います。つまり吉富選手の上り適正は間違いなく、箱根一本に絞ってるだろう今年は快走してくれるかもしれません。あとルーキー山﨑選手が登り適性があるとの事で、その辺りで山を乗り切れるでしょうか?
往路と山を乗り切れれば、復路はかなり戦えそうです。エース不在で予選会を戦い抜いた選手たちは、逞しさを増していると思いますし、予選会で最も下位が崩れなかったのが日体大です。層はかなり厚くなっていると思われます。

城西大学の戦力分析

城西大学の最大の強みは山です。今年の激坂王のワンツーフィニッシュが城西でした。特にルーキー斉藤選手の走りは衝撃的で、新たな山の神誕生を予感させる上り適正でした。
去年の東海大学は、2区で出遅れ、3区4区も下位に沈み、4区終了時で17位、シードラインから2分39秒も遅れていました。そこから吉田選手の大激走で一気に10位まで捲ってきたのです。
現在のスピード駅伝では、序盤に遅れると挽回は非常に難しいです。ただし、山の神レベルの選手が存在すれば、それを一気に挽回する事が可能で、それを可能にするかもしれない選手が城西には居るという事です。

エース:キムタイ選手
往路要員:山本選手(斉藤選手)、小島選手、山中選手、(野村選手)
山登り:斉藤選手、山本選手
山下り:野村選手
復路要員:平林選手、大沼選手、桜井選手、久保出選手

城西にとって悩ましいのは、留学生のキムタイ選手が単独でレースを作れるタイプではない、という事です。学連記録挑戦会でも一切前を引っ張ろうとせず、終盤に誰も付けないような急激なペースアップをして組トップは取りましたが、ペースメークや前を引っ張るのは他人に任せ、とにかく「他の選手に使われるのを嫌う」選手でした。この手のメンタリティの選手は駅伝で激走する事は稀で、単独で前を追う事はできず大きく稼いだり挽回したりはしてくれなそうです。そういう意味では1区で上位でつなぐ役目はしてくれそうですが、エース区間2区を走るというのはどうか?
そういう意味では、走力もあり上り適正もある山本選手か斉藤選手が2区を走るしかないと思います。ただ、どちらが走るにしても、今の2区のレベルでは苦戦を強いられそうです。
そうなると「山の神」レベルの挽回が必要です。山本選手は前々回の5区を区間6位で走っていて、今回も上位では走ってくれそうですが、大きく挽回する走りをしてくれそうなのは斉藤選手なのではないか、と思われます。
復路要員も、城西は予選会で日体大の次に下位が崩れなかった大学です。往路を乗り切れば、シード権への展望は大きく開けてくると思われます。

大東文化大学の戦力分析

予選会トップ通過の大東ですが、本戦でシードを獲得するには武器に乏しい状態のように思えます。
まず、エース留学生のワンジル選手ですが、彼も2区の叩き合いを戦えるタイプの選手ではありません。全日本予選でも予選会でも全日本の1区でも、最初からがんがんいかず、途中からスルスルとペースアップして抜け出すレース巧者的なレースを得意としています。なので、強い選手との激しい駆け引きにさらされる1区や2区は不安で、3区4区で挽回する役目を任せる方が良さそうです。
そうなると1区2区は、日本人両エースの久保田選手・大野選手に任せるしかありませんが、さすがに今のハイレベルの2区を乗り切れる気がしません。ワンジル選手も圧倒的な走力がある訳ではないので、3区で大きく挽回してくれる訳ではないでしょうから、挽回可能な差に保って2区を耐えられるかが鍵となりそうです。
また、山も特に目処が立っている訳ではありません。真名子監督は名監督となりそうな予感はありますが、就任一年目で山要員の準備までは行き届いてないように思います。準エースクラスは、菊池選手らそれなりに居るので、序盤と山が乗り切れれば展望は見えてきますが、課題は多いように思われます。

順位予想

という訳で、順位予想は次のようになります。
1位駒澤、2位青学、3位中央、4位國學院、5位順大
6位法政、7位早稲田、8位創価、9位東洋、10位日体
11位東国、12位明治、13位城西、14位帝京、15位大東

10位日体は、かなり願望込みです。(日体推しというより、藤本選手推しなんです。1年の予選会の激走からずっと注目している選手で、最後に良い思いをして卒業して欲しいという願望が入っています。)冷静に見れば、10位争いは13位城西まで激戦でどうなるか分からないと思います。9位の東洋も危ないように思いますが、箱根ピーク力と復路の強さで、他のライバル校を上回ってそうかな、と。
2強とそれ以外、5強とそれ以外は少し差があると感じていて、その中での変動はあると思います。また8位までとその下も差はあると思っています。

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