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言語聴覚士の友人に聞いてみた!〜Part3日常生活で注意すること〜

言語聴覚士の資格を持っている友人に、私の悩みと疑問をお聞きしました。
総合病院で18年勤務し、現在は嚥下(えんげ)障害についての啓発活動をされています。

取り扱うテーマは薬の飲み方と日常生活で注意することです。

全3回に分けてお伝えします。

Part3では、日常生活で注意することを教えていただきました。

Part1は、こちらをご覧ください。

Part2はこちらをご覧ください。

質問1:飲み込みのタイミング

ーーときどき水を飲んだらむせます。ちょっと違うところに意識がいったときにゴクって飲んじゃうと、ゴホゴホってなります。

「それはもう完全に意識がそれているからあり得ることです。まだ体力があるうちはいいけれど、年齢を重ねるとそれが本当に命取りになることもあります。今の時点で分かっているのなら気をつけて飲んでもらいたいです。結構聞きます。テレビを見ながら飲んだらとか、飲もうとした時に話しかけられてむせること。なので今から飲みますよと意識する。まずそれをやってみてください」

ーーゴックンゴックンと繰り返し飲み込んだらリズムが崩れることありますよね。

「そうですね。嚥下反射は反射なので、自分でコントロールしてる訳じゃなくて、のどにきたら勝手におきます。自分では飲めると思っていたけれど、飲めなかった、むせたということが出てきたら注意していただきたいです。若い人でビールをグイッグイッと上向いて飲む人がいますが、飲めるうちはいいのだけれど、よい飲み方じゃないということは知っておいて欲しいです。気をつけてゆっくりから始めたり、筋トレをするのは口と、のども一緒です」

ーー冷たいお水と温かいお湯など、温度によって飲み込みのタイミングは変わりますか。

「温度以外の刺激があるなら、また話は違ってきますが、ここでは味も硬さもない液体の話なので、一番刺激として小さく、一番飲みにくいのが体温に近い温度です。感覚としてわかりづらいので、嚥下反射が起きにくい方にとっては飲みにくいです」

ーー体温に近いとダメなのですね。

「そうですね。体温より熱くても冷たくても、それは別にいいというか、刺激としては多少個人差があるでしょう。ちなみに病院で行う評価で「水飲みテスト」というのがあるのですが、それは冷水を使います」

ーー温かいお湯はグイッって飲めないから、すするように飲んだり、飲み込む時も、いきなりのどに入れたら火傷するから口に含んでとか、するじゃないですか。そういうのってどうですか?あんまりしないほうがいいですか。

「そもそも飲み込みにくさがある人は、すすって飲むことでより誤嚥(ごえん)しやすいので、おすすめしません。元気な方がすすって、いったん口に含んでタイミングを見計らって飲めるのなら大丈夫です」

ーー口の中に何回も入れるよりはひと口ずつ飲むほうがいいですか。

「口の中で大量にため込んでから飲むとひと口の量が多くなります。そうするとやっぱり誤嚥しやすくなるので、ひと口ずつ飲んでもらったほうが本当はいいです」

ーー温度は関係ないけど一回に飲み込む量は気をつけたほうがいいのですね。

「気をつけたほうがいいです。人によってひと口で処理できる量は違います。病院での水飲みテストは、30 mlを使います。30 mlは大さじ2杯分。ちなみに、飲み込みの力が落ちているなと感じる方に行う病院での水飲みテストは改訂版で、わずか3mlで行いますが、それでも誤嚥する方もいます」

ーーそれより多く流し込んでしまうとむせるリスクがどうしても高くなるのですね。

「そういうことです。飲み込むのにまとめにくかったり、パワーが必要だったりします」

質問2:冬に気をつけたい食べ物

ーー寒い季節、お餅はのどをつめたらいけないからよくかんで食べましょうといわれますが、他にも何か気をつけたほうがいい食べ物があれば教えてください。

「今の時期ですよね。みかんです」

ーーおいしいですよね。一房ずつとって食べるのがめどくさいから、ひと口でたくさん食べたくなります。

みかんは固形だけど、かんだら液体が出てきます。なので固形と液体の混合物になって脳みそが混乱します。一度にたくさん口に入れてしまうとみかんの大きさにもよるけれど、例えば、4分の1を口に入れたら30 mlよりたくさん入ってるってことになります」

ーーなるほど。ひと口で食べる量には気をつけないといけないのですね。

「こたつに入ってテレビを見ながらや喋りながら食べると注意が別のところに向いています。そこに固形と液体の混合物が大量に口に入るということなので危ないですよね。だから飲み込む力の落ちているお年寄りの方には是非気をつけてもらいたいと思います。これくらいだったら絶対飲み込めるという量だったらいいです。明らかにこれ怪しい、むせるというものに関しては、いつものことだからって放っておかないでください。例えば、一房だけ小さくとるなどして気をつけて召し上がっていただきたいと思います」

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