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シカ、カモシカ、時々クマ

山へ行くと、シカ・カモシカは以前から良く見かけていました。

シカに関しての最も鮮明な記憶は、南アルプスを縦走中、烏帽子岳から三伏峠へと向かう途中、樹林帯と崖に挟まれた登山道の真ん中にシカが1頭立ち止まっていたのに遭遇したときのものです。直ぐに立ち去ってくれるであろうと期待して、眼を見つめたのですが、一向に立ち去ってくれず、暫く待つしかありませんでした。

カモシカに関しては、八ヶ岳のキレット小屋にテントを張った翌朝、権現岳方向へ歩いていた時に、やはり、登山道の真ん中にカモシカがたっており、しばらく動いてくれず待たされたときのことを良く覚えています。
このあたりの動物は比較的人に対する警戒心は薄いのでしょうか?
積雪期に八ヶ岳の編笠山あたりの緩斜面を下っていると、3~4頭ぐらいのシカの一家をよく見かけます。登山道を走って横切るのですが、登山道を横切ったところで、一家で立ち止まり、私がその場から下って立ち去るまでジッと見ています。警戒しているのか、威嚇しているのか良く分かりません。

クマに関しては、20年前くらいまでは、見かけた記憶がありません。
クマ鈴も付けている人は珍しかったように思います。時折、ラジオを付けながら登っているのを見かける程度だったように思います。
しかし、ここ数年はクマを良く見かけるようになりました。
通常は、クマもこちらに気付くと逃げていくので、それほど困ったことはありません。尚、最近はクマ鈴を持参しています。

しかし、2年前の夏、扇沢~柏原新道~爺が岳~赤岩尾根~大谷原のコースで日帰り登山をしたとき、爺が岳の南峰と中峰の間のコルの辺りで、登山道からわずか20~30m位下のところで、クマが岩の下の何かを一心に食べているのを見かけました。立ち去る気配はありませんでした。
この日は登山客は多く、視界に入る範囲でも10人以上はいたと思います。
コルへ下っていく途中で気づき、少し待っていたのですが、一向に立ち去る気配が無かったことから、やむを得ず、クマの近くを急ぎ足で通り過ぎました。
このあたりでは、クマも危害を加えられることがないと知って警戒を解いているのか分かりませんが、明らかにクマと人間の距離が近づいています。

様々な要因があるようですが、里山の荒廃により、シカやクマ(イノシシも・・私が遭遇したことがないので割愛しています。)のテリトリーと人間のテリトリーが隣接あるいは一部重なることになったことも要因のひとつのようです。

近時では、野生動物と車の事故が増えているようです。
北海道辺りでは、かなり深刻な問題となっているようですが(北海道のエゾシカは本州のニホンジカと比較して相当大きいこともあります)、関東あたりでも事故が増えてきているようです。

かなり、深刻な状態となってきており、近時では、シカと車との衝突事故が訴訟にまで発展するケースも出てきています。
勿論、事故当時者となった車の所有者がシカに対して損害賠償を求めるわけではなく、道路の管理者あるいは設置者に対して、管理責任、あるいは道路設置の瑕疵責任を問う形となります。
東京近郊では、箱根でもそのような事故に関する裁判例が確認されています。
また、道路に面した崖に上からシカが石を落としたことにより発生した事故に関する訴訟も確認されています。
事務所のホームページ上でもこれらの裁判に関連した下記のブログ記事を掲載しております。ご興味をお持ちいただいた方は、ご覧いただければ幸いです。

野生動物による事故が増加してきますと、道路管理者も野生動物が立ち入らないような施設・設備を設置する義務が生じてくると考えられます。
しかし、野生動物からしますと、人間が自分達のテリトリーへ侵入してきていることになるのでしょうから、野生動物が侵入できない施設を設置すれば動物のテリトリーへ侵入しても良いということにはならないとも思われます。
難しい問題です。


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