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ちょっとブレイク 生きた化石「銀杏」

先日、前々から楽しみにしていた開館翌日の「マルセル・デュシャンと日本美術」に出向いた。めずらしく大学から青春もかけあしでやってきた。上野公園を歩くいなや、くんくん、ぶっきらぼうに「イチョウだな」と、つぶやく青春。「ギンナンだな」と、つぶやくわたし。彼が幼小と9年間かよった学校にはイチョウの大木があった。色やニオイで四季を感じ、植物としての「銀杏」を楽しんでいたのだなと思う。

一方で「ギンナン」だなとつぶやくわたしは、すぐに黄緑色に輝くぷりぷりのおいしい実とお酒を想像してしまう。

「銀杏」の深いことよ。恐竜と同じ時代から存在していた銀杏。のちに氷河期を耐えた一種のみが生き延び、現在も、その姿を強くたくましく美しく見せてくれている。そんな化石の粒がいただける秋に、長く生き延びるもの・ことについて思いを馳せ、思わず本音をつぶやいてしまった。

未来は、いま信じられないものやことに進むだろう。研究者や開発者がいて、リサーチを重ね、流行や経済にもなびきながら。

震災のあの日まで、アーティストと謳いながら二束のわらじをはき、ライティング業とリサーチメントの仕事を広告代理店としたことは自身の大きな原動力になっているが、退いた現在は、「残さなければならないもの」あるいは「残るもの」の存在を、あおられる風潮から離れて静かに考えるのも、ものづくりのシゴトであると思っている。

ふう、ちょっとカタイ話でしたね。
“臭くて面倒な銀杏”をおいしく食べたレポートは、次回おたのしみに。

写真:銀杏/たまご皿 Cocciorino


INFORMATION

我妻珠美 陶展 -秋を炊く-
Tamami Azuma
Ceramic Art Exhibition

Ecru+HM(Ginza Tokyo)
2018年11月16日~24日
※21日休廊
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F


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