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個別最適化UXにおけるパーソナライズとカスタマイズを考えてみる少し

人々の行動ログを取得することにより、一人一人の嗜好に合わせた情報や商品などのサービスがレコメンドされる。
このようなパーソナライズによる付加価値に提供という文脈は、Amazon、SmartNewsなどのニュースアプリ、広告など既に様々なサービスのスタンダードであり、今後他の領域においても実装されていくのは間違いないなさそうだ。

一方で、行動ログとして蓄積されるものの、その行動自体に特別な意志がないことも多々あり、そのせいでユーザー体験が微妙になるサービスもある。
例えば、SmartNewsで記事タイトルの釣り文句に釣られて芸能ニュースを開いてしまうと、トップページ画面に芸能ネタが増え始め、また無意識的に釣られてしまい、また増えて…という状況に陥り、本当に読みたい意味のある記事が遠ざかってしまう。

私自身、AIの専門的な知識はまだまだ疎いし、各サービスのアルゴリズムまで理解していないが、ユーザー感覚として、Amazonであれば購入行動、Netflixであれば動画を最後まで見るなど、行動そのものへのエンゲージメントの強弱が可視化されないサービスのレコメンドによるパーソナライズはユーザー体験的に逆効果なんだなぁと思ったりする。
とりわけ、記事を開くだけという軽い行動でコンバージョンし、PVをKPIとした広告ビジネスと連動しているニュースサービスは厳しい。
(余談だけど、SmartNewsのトップページをクレンジングしようと、読みたい記事だけ開いたりして、しばらく調整を試みたけど、バカらしくなってアンインストールした)

ただ、このような「個別化」による付加価値はパーソナライズだけではない。
パーソナライズは「一人一人の嗜好に合ったサービスの提供」であるが、「一人一人が嗜好に合ったサービスの利用」という意味でのカスタマイズもまた「個別化」である。
例えば、ファイナルファンタジー14のようなオンラインゲームでいえば、キャラを強化して高難易度コンテンツに挑戦してもいいし、戦闘が不得手ならばモノを作って売ってギル稼いでもいいし、ハウジングを突き詰めたり、自分の分身であるアバターを着飾ったり、楽器演奏を極めたり、カフェを開いたり、麻雀やったり…要は、強いレコメンドの導線がなく、ただ自分が好きなコンテンツだけ好きなだけやれば良いという意味でのカスタマイズ的サービスデザインとなっている。

さらに、それらは他のユーザーに可視化されるので、自己満足にはとどまらず、それぞれの道をある程度突き詰めれば称賛という形で承認欲求を得られる。

そのようにして、クリエイティブ的表現とそれに対するフィードバックにより、多様性的世界観を実現しているのが、オンラインゲームなどのバーチャル社会であると理解している。

当然それはゲームというサービスの特性によるものはあるし、ゲーム以外で把握しているのは各SNSやこのnoteとかに限られるのが現状だし、このカスタマイズによる「個別化」をその他の領域への拡張を創造するのはかなり難しい。
また、パーソナライズによる「個別化」は場合によっては課題があるもののそれ自体が悪いとかどうこうということではない。

ただ、エンゲージメント的には、パーソナライズよりもカスタマイズのほうが有利だと思われるので、AIによるパーソナライズに付加価値を求めるだけではなく、そのサービス領域の特性を理解したうえで、
・どうすればサービスデザインのバリエーションが豊富になるのか
・どうずれば一人一人がそのサービスの利用方法を探求してくれるのか
・他ユーザーに可視化することでプラスになる要素はなにか
などについて、思考してみるのは良いんじゃないかなぁと思っているし、時間があるときに何かを例にして考えてみたい。
(ていうか、そのへんめっちゃ詳しい人がいそうなので教わりたいw)

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