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「モーターサイクル・ダイアリーズ」:旅は、はじまり

キューバに強い憧れを抱いた頃から気になっていた映画、「モーターサイクル・ダイアリーズ」をみました。

大学の授業をきっかけに、資本主義社会が広まる時代に、未だ革命時代のリーダー・カストロが政権を握り社会主義を貫く国、キューバに関心を持ちました。

キューバに関心を抱いたのは、単に社会主義国家だったからだけではなく、医療や福祉の制度が優れていると知ったからでした。

特にキューバが医療への投資していることに感嘆したのです。
私の読んだ本には、キューバの医大では、卒業後数年間は出身国の地元で医師として働くことを条件に、発展途上国の医師希望者の中でも医大に通うお金が払えない人びとに、無料で教育を提供していると書いてありました。

そして、外務省の情報にも記載がありますが、患者の生活等を含めて包括的に診断をする、家庭医制が充実しています。そして予防に重きを置くプライマリ・ケア医療の先進地域でもあるのです。

キューバ医療については、以下のブログに分かりやすく説明されています。

国内の医師不足などの問題もあるようですが、米国から経済制裁を受ける中でも、医療をはじめ、教育やスポーツに投資し、国の経済柱のひとつとしている(?)点は、純粋にすごいな、かっこいいなと思いました。

また、理想的な医療を目指しつつも、厳しいキューバの現実に触れているブログも見つけましたので、ご参考までに。

長くなりましたが、そんなわけでキューバに関心があり、キューバといえば、チェ・ゲバラということでチェ・ゲバラ(エルネスト)の映画も見てみたかったのです。

映画では、淡々とただただ旅をつづけるエルネストとアルベルト・グラナードのやり取りや旅先の人とのやり取りの様子が描かれています。

そして、この作品の魅力をとってもよく伝えてくれる評論を見つけました。

この映画、大きなストーリー展開がない代わりに様々な印象的な旅のシーンが垣間見える。銅山の最下層の労働者や、権利を奪われた先住民の貧困、基本的な医療さえ受けられない状況。それらがこの旅以前のエルネストを革命家チェ・ゲバラに変えていくきっかけになったんだなぁっていうのが、それらを前にしたエルネスト役のガエル・ガルシア・ベルナルという俳優さんの演技が良くてひしひし伝わってくるね。

この評論の最後にアルベルト・グラナードのエルネストに対する言葉がのっています。

何より素晴らしいと思うのは、チェの正直さだ—それに、否定的なものを肯定的なものに変えてしまう能力もすばらしかった。…彼は妥協しなかった。彼に見えていたものを共有し、それを信じなければ、容易なことではなかった。

私は、エルネストについては、ちょっと情報を耳にするくらいでよく知りませんが、医師でありながら冒険心と強い正義感を持った人間である、と尊敬する存在でした。

なので、この作品に出会えてよかったと思います。

最後に、上記の評論を記している筆者が「旅」と「自分探し」について述べている箇所が、的を射た表現だと思い、腑に落ちたので、掲載しておきます。

これは自分じゃないんだ。自分らしく生きたい!とか自分探ししたくなるけど、探しているのは自分ではなく居場所なんだろうな。自分が必要な場所。自分にしか出来ない何かがある場所。それをこのチェ・ゲバラやアルベルト・グラナードは旅を通じて見つけたんだろうと感じた。


花を買って生活に彩りを…