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夫は世界選手権4連覇の人。 なんで勝てるの?それを妻も知りたかったので、メントレ専門家に相談してみた話。④ →

④→【テーマ】大会直前!パラクライミング日本代表に届けたい、今からでも試合直前にできること

 妻(私/小林幸一郎・全盲クライマーの妻)は出産を控えて臨月を迎えている。なんなら、予定日は1週間前だった。そろそろその日は来るであろう!産まれて来てくれてからは何がどうなるのか、想像がつかず、文章を書けてないかもしれない。なので、絶大なる信頼を置く夫のメンタルトレーナー伴元裕さんから教わったことを一つ「大会直前!パラクライミング日本代表に届けたい、今からでも試合直前にできること」として、ここに紹介しておきたい(選手の誰かが読んでくれるか、知らんけど)。

 なんで一つだけなんだ?
 これは、1つ前の記事でも前述しているように、メンタルの強化は一朝一夕にはいかず、本番で自分の力を発揮するためには普段からメンタルを良い状況に置くトレーニングを経て、良いメンタルを習慣化しておくことが必要であるから。(メンタルトレーニングが脳の筋トレと言われるゆえんだろう)。習慣化が大切だから、大会約1週間前だと間に合わないことが多いが、一つ大会直前にも使えるものがある。

 その「大会直前にも使えるぞ!」という一つとは・・・?
 それは、「呼吸」だ。
 なんだ、呼吸か!と思ったそこのアナタ。たかが呼吸、されど呼吸。読み終えたら「たみぃさん、呼吸さん、ありがとう!」と感謝したくなるよう、今から説得を試みたい。
 一番に説得をしたいのは、パラクライミング日本代表だけれど、考え方や活用の仕方としては、スポーツ選手は勿論、ビジネスや学校、日常内の何か大切な緊張しやすい局面で誰でも活用できる。

【思考】【感情】【行動】

 大会直前、あなたはどんなことを考えていますか?どんなことを感じていますか?どんなことが身体に起こっていますか?
 考えていることは「思考」・感じていることは「感情」・身体に起こっていることは「行動(ここでは身体反応も含む)」、と言い換えられる。
 

 試合前にこんなことが起きていないだろうか?

■思考:「ライバルは強そうに見える」「前回のような失敗をしたらどうしよう」「上手くできるかな」「メダルが取れなかったらどうしよう」
■感情:焦り、不安、緊張、プレッシャー
■行動:筋肉が強張る、手に汗をかく、やたらとテンション高く話しまくる

 そんな時こそ、自分の「呼吸」に意識を向けてほしい。
 上記の【思考】【感情】【行動】はそれぞれ相互に関係しあっている。例えば「ライバルは強そうに見えるなぁ」という思考が、「焦り」という感情を生み出し、「筋肉が強張る(行動)」。その反対に、「ストレッチで筋肉を緩める(行動)」ことで、心にも「安心感(感情)」が生まれ、「よし、行けそうな気がする!/(思考)」という「自信(感情)」も湧いて、自分らしい力が発揮できる。
 しかし、思考や感情はなかなかコントロールできない。一方「良い呼吸」という形でコントロールできる行動にアプローチをしていくことは効果的だ。「呼吸」に集中することで、まず、負の思考や負の感情が出てくることを抑えることに繋がる。例えば、ライバルのことや、過去や未来への不安の思考や感情を遠ざけることができる。そして、自分の「いまここ」に集中をして、結果パフォーマンスを上げることができる。
 また、「良い呼吸」は自律神経を整えることにも繋がる(自律神経は意思でコントロールできないが、呼吸と深い関わりがあり、呼吸を意識することで自律神経をコントロールできる)。つまり、コントロールできないことは置いておいて、自分にコントロールできる呼吸からいい形に持っていきましょう、ということだ。

 そろそろ、良い呼吸を試してしみたくなってきただろうか?
 では、1分間呼吸に集中してみてほしい。(これは、実際にメンタルトレーニングの際にもまず試しに行ってみたセッションの内容だ)。よーいドン!
 1分経過。どうだろう?呼吸への集中はできただろうか?

■妻:途中、外の車の音が気になった
■夫のナビゲーター:集中できているのかどうか、これでいいのかどうか考えていて、呼吸に集中できていなかったのかも
■夫:今、リラックスしている (呼吸に集中できたから自律神経がもう整った!?マジか?)

実は、ただ呼吸に集中すると言っても、意外と上手くいかない。そんな人のためのおススメ呼吸法を教えていただいた。

おススメ呼吸法

 伴元裕さん(我ら夫婦が大好きなメンタルトレーナーさん)にこの記事を書くにあたってもう一度確認のためにご連絡したら、以下のように丁寧に答えてくださった。感謝!

副交感神経を働かせる(緊張状態をリラックスさせる)オススメの呼吸法は、”ボックスブリージング”または”4-7-8”です。

■ボックスブリージング:4秒吸って、4秒止めて、4秒吐いて、4秒止めての繰り返し。
■4-7-8:4秒吸って、7秒止めて、8秒吐くの繰り返し。

基本的にすべて鼻呼吸が大事です。なぜなら、鼻が自動的に適切な呼吸量を調整してくれるからです。
また、頭で数字を数えながらやることで、いまここへの意識(呼吸への集中)を生みます。
ゆっくりの呼吸といまここへの集中のダブルパンチが、副交感神経の働きを促してくれます。

   1分間でリラックスを感じてしまった夫は、実は普段から腹式呼吸を意識して行ったり、眠れなかったりするときに、鼻から吸って、口から吐くというのを、頭の中でカウントしながら意識的に行っているとのことだった。

 そういえば、ヨガの先生に出産の時に使える呼吸法(お産を進め、痛みを逃がすため)を教わった時に、音を出すことの効果を教えてもらっていた。「お産の時には痛さで余裕がなくて、息が浅くならないだろうか?今みたいな深い呼吸ができる気がしない」と質問した私に、「呼吸に合わせて音を出したり、声を出すといいよ」、とアドバイスしてもらった。
 数字をカウントしたり音を出すことで、自分へのフィードバックになり、呼吸・いまここへの集中を促しやすくなるのだ。
 
 緊張という局面、お産の痛みという局面に打ち勝つ呼吸法!是非試してほしい(教わったお産時の具体的な呼吸法はまた別だが、ここでは特筆しない。ってか、する必要がないか)。

今日のまとめ

 大会直前でもやれる良いメンタルに近づける行動として【良い呼吸】がある。これはコントロールしづらい「思考」や「感情」は置いておいて、コントロールしやすい【呼吸】という「行動」からのアプローチにより、良いメンタルに持っていきましょう、というもの。
 大会直前にいきなりでも効果を発揮してくれるかもしれないけれど、この「良い呼吸の方法」にも慣れがあり、また普段の良い集中状態やリラックスにも活用できるので、今からやってみることを私からはおススメしたい。
 私も一大イベントの出産では、痛みに堪えながら、声を出して呼吸して頑張るよ!(って言っても、実は無痛分娩を予定しているんだけどな。チャンチャン。)

付けたし

 ヨガの呼吸法では、リラックスさせるための副交感神経を優位にする呼吸法と、やる気を出すための交感神経を優位にする呼吸法を教わった。メンタルトレーナー伴さんに、「大会の時には自分を鼓舞するような呼吸法はおススメしないものですか?」と質問してみた。

伴さん曰く、

 ハイパフォーマンスにおいては、交感神経と副交感神経がバランスをとっている状態(ともに機能している状態)が理想です。重要な試合に臨めば、勝手に交感神経は昂るので、大会直前は、副交感神経を機能させる呼吸の実践の重要性が増します。
(どうしてもやる気がでないということであれば、呼吸を浅くするというよりは、意義やイメージづくりを優先させることをおススメします。呼吸を浅くさせることで脳が働きにくくなるデメリットのほうが大きいことが危惧されます。)

 いつも丁寧にお応えいただき、夫をサポートいただき、ありがとうございます!

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