営業学[2-1]

顧客あっての営業活動

営業学による体系化が可能なのは、

経営戦略 > マーケティング戦略 > 営業戦略

の流れで、営業をマーケティング・マネジメントする場合に限られます。

平たくいえば、経営も、マーケティングも、「売れてナンボ」ということですが、

両者ともに、売れてナンボとはいえ、経営とマーケティングの第一義は、相克します。

まず、経営は、資金が第一。

個人に毎月、生活費が必要なように、経営にも毎月、運転資金が必要で、資金が枯渇すれば、倒産。

それを避けるため、経営は資金が第一になります。

一方のマーケティングは、顧客が第一。

資金源になる売上金を払ってくれるのは、お客さんだからです。

経営と営業の中間に、マーケティングが介在すると、営業は、マーケティングの最終段階を担う、重要で、誇り高き職種に位置します。

なぜなら、マーケティングにおける営業のポジションは、

マーケティング > プロモーション > 広告・販促・広報・営業

の構図だからです。営業マンの仕事は、営業です。

一見、当たり前なように見受けられますが、人手不足で、営業マンが雑用係になっている中小企業は仰山あります(誇りも何も、あったモンじゃありません)

マーケティング・マネジメントにおける営業マンの役割は、顧客の流出を防ぎ、新しい顧客を増やすこと一点のみ。冒頭の、

経営戦略 > マーケティング戦略 > 営業戦略

経営 > 顧客 > 営業

へ置き換えると分かりやすいかも知れません。顧客あっての営業活動ですから。

個人技に頼る営業活動は個人商店になり易し


そのマーケティングなくして、

経営戦略 > 営業戦略

でしたら、営業学は不要かつ体系化できません。

才能と適性と勘と経験と根性という伝達不可能な五要素で営業活動は成り立つためです。

もちろん、それでも構いませんし(各社それぞれの自由ですし)、

営業に向いた人材のみ残るようになっていて、向かない営業マンは辞めて止むなしを是とする企業もありますし、

伝達不可能だからこそ、営業は、個人技になりやすい傾向にあります。

個人技になりやすいため、金額の規模が大きければ大きいほど、組織的に動くよりも、個人商店になりがち。過労死で有名な広告代理店が典型的です。

個人商店型は、開拓から深耕まで、営業マンに任せておけばよく、営業マンが動きやすい反面、売上の数字以外は、営業管理しにくいデメリットがあります。

わかりやすくいえば、営業マンが一歩、社外へ出てしまえば、どこで何をしているか、上長さえも知るすべがないということです。

商取引の5つの目標値

反対に、メリットは、今月や来月の売上金が入ってくること。

資金源を必要とする経営陣が、営業部門へノルマを課しますから、

経営者「資金(カネ)の源になる売上金(カネ)を増やせ」
 ↓
営業部長「商品を売って、売上(カネ)を稼いで来い」
 ↓
営業社員「商品を買って、代金(カネ)を下さい」

と、全社を挙げてカネを追求します。カネカネカネカネですね。

しかも、早く売れば、早く売るほど、売上金も早く入ってきますから、できるだけ早く売りたい。

一年先なんて話は鬼が笑います。

先月も、「いま売れ!すぐ売れ!もっと売れ!」
今月も、「いま売れ!すぐ売れ!もっと売れ!」
来月も、「いま売れ!すぐ売れ!もっと売れ!」

そうなると、営業戦略は、お金と商品を交換する商取引が戦略目標になり、
1)単価と
2)数量と
3)回数と
4)納期と
5)利益
の5つが目標値になります(そこに、顧客数という目標値はありません)

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