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お寿司も指輪も自分で買える、私でいたい

子どもの頃から仕事をバリバリこなす女性に憧れていた。

当時、周りの女の子たちが「将来の夢はお嫁さん」や「20歳台前半で結婚するんだ」という理想の話を聞くたびに、「みんなそんなに早いんだ」とびっくりしていた。

小学生の頃から「すぐには結婚しないだろうなあ」とぼんやり思っていた私。中学か高校の卒業文集で「何歳に結婚したいですか」という質問に対して、めちゃくちゃ譲歩して「28歳」と書いたことを覚えている。

本当は30歳台で書きたかったけれど、みんなが25、26歳といった、割と早い年齢を記載しているを見て、思春期の私は人の目を気にしてしまった。

あーあ、はっきりと書いておけばよかったと、今更ながら後悔。

なんでそんなに働く女性に憧れていたのか、当時はしっくりくる理由が見つからなかったのだけど(単純に「かっこいいから」だったように思う)、社会人になってから、その理由が見つかった。

私は、自分の力で生きていくスキルを身につけたかったからなんだ。



社会人何年目かのある日。

西原理恵子さん著書『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』を読んだ。

SNSで誰かが「めちゃくちゃいいよ」と書いていた感想を目にしたからだと思う。何気なく手にとったら共感の連続で、子どもの頃の謎が解けた。

「そうか、私は自立がしたかったんだなあ」と。

同書は、これからの時代を自立的に生き抜くための、西原さんが伝える生き方の指南書である。

女性だけではなく、男性にも勉強になると思うし、むしろ子どもにも読ませたい。ご自身の経験を元に、人生で覚えておいてほしいことが書かれているんだけど、めちゃくちゃ心に刺さる。

例えば、女性が持つ若さや美貌。

10代や20代は自分が持っているスペックで、いい思いをしたことがある人も多いと思う。黙っていてもチヤホヤされるし、若さを武器に許してもらえることが多いと思う。

でも「私って恵まれているなあ」なんて思って、何も努力をしなかったら?

あっというまに資産価値がゼロになってしまうよ、と西原さんは言う。

仕事のスキル、人としての優しさ、正しい経済観念。自立は簡単なことじゃないからこそ、ボーナスタイムがなくなる前に身につけておきたいことはたくさんある。

また、西原さんの経験上、結婚した相手がいつ病気になったり、仕事を辞めたり(または暴力を振るったり)するか分からないからこそ、いざというときに「何もしてこなかった」「私、何もできない」「逃げられない」と言う状況にはならないように、準備しよう、ちゃんと考えようね、と伝えている。

私はまだ結婚していないからなんとも言えないけれど、もし相手が病気になって仕事ができなくなったら?転職先がなかなか決まらなかったら?そんな状況なのに、自分は何もスキルを持っていなかったら?と考えるとゾッとする。

誰かに頼りきってしまうって、結構怖いことなんだなと思った。

と同時に、いつか自分が「〇〇に向かって挑戦したい!」と思ったときに、お金がないからダメ、経験がないからダメ、という状況になるのがとても嫌だったのだ。

想像しただけでも、私はとても窮屈で苦しくなった。

できない、逃げられないって、なんて恐ろしいのだろう。

私はきっと、この窮屈さを感じたくないからバリバリ働いて、経済的にも余裕を持てるようにしたかったし、自分で稼げる力を身につけたかったように思う。

会社員からフリーランスという働き方にシフトした今、この「自分で稼ぐ力」「道を切り開く力」を20代のうちに身につけられたことは、かなりの大きな財産になった。

きっと私は、未来の旦那さんが転職したいと言っても「どうぞ」と言えるだろうし、何かあってもすぐに逃げられる。

この気持ちが欲しかったんだと思った。

自分の力で生きていくスキルがあれば、軽やかに生きていける。

だからずっと働く女性に憧れていたんだなあと思った。


西原さんからのメッセージに

「王子様を待たないで」
「お寿司も指輪も自分で買おう。その方が絶対楽しいよ」

という言葉がある。

私、この言葉がめちゃくちゃ好きで。人生の指針にしている。

もちろん、買ってもらえるお寿司も指輪も最高だけど、食べたいなと思ったときに食べられる私でいたい。

何かあったときに逃げられるように、自分で判断ができるようになりたい。

ようは、強くなりたいのだ。

仕事だけではなく、ちゃんと考えて、勉強して、行動する気持ちは忘れないでいたい。

誰かの許可を取らないといけない人生にはなりたくない。自分で決めることを忘れないでいたい。だって私の人生だし、あなたの人生だし。

自分で決めていいんだよね。

自分で決められるんだよね。

今からでも遅くない。地に足をつけて力をつけていけるように、これからも頑張りたい。




文集では正直に書けなかったけれど、子どもの頃からのふつふつとした熱い想いは、数十年経った今でも継続して持っている。

今の自分のことは好きだし、少しずつだけど、理想に近づいているかなあ、なんて考える。

私は、お寿司も指輪も自分で買える私でいたい。

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