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毎日が授業参観!フリースクール・サイボウズの楽校がつくる新しい情報共有【イベントレポ②】

3月16日、サイボウズ ソーシャルデザインラボは学校法人茂来学園大日向小学校(以下、大日向小学校)と「イエナプラン教育のためのICTキントーンを活用した学校教育モデルの実証実験報告会」をオンラインで開催しました。

学校などでの課題解決にITの活用が求められていますが、まだまだ現場には広がりきっていません。kintone(キントーン)を使う大日向小学校やサイボウズの楽校ではどのようにツールを活用して、どんな取り組みを行っているのかを発表。2校のkintoneの使い方を知っていただき、お読みいただいた皆さんのお役に立てていただけると嬉しいです!

主な登壇者はこちらの3人

今回は、昨年12月にプレ開校したサイボウズの楽校での活用法について。
前回の記事と合わせてご覧ください^^

プレゼンテーションはサイボウズ株式会社 ソーシャルデザインラボの前田小百合(以下、前田さん)が担当。サイボウズの楽校の代表も務めています。

サイボウズ株式会社 ソーシャルデザインラボの前田小百合

吉祥寺にあるサイボウズの楽校は昨年12月にプレ開校したばかりのフリースクールで、現在児童は3人。週4日開校し、授業を行っています。詳しくは以下のサイトもご覧ください!(見学等のお問い合わせ、大歓迎です!)

様々な特徴がありますが、中でも”サイボウズならでは”のポイントの1つが「kintone」を活用する点。運営スタッフ同士の連絡だけではなく、学びの記録、保護者とのやりとりにもkintoneを使っています。

◾︎リアルタイム、ペーパーレス…kintone1つで保護者とスタッフのやりとりがスムーズに

サイボウズの楽校では、子ども・保護者・運営チームみんなで使うkintoneを目指していて、日々の記録や授業日報、時間割などは子どもたち自身もアクセスできるようにしています。(下図の黄色い部分)
また保護者と運営チームだけが見られる場所として、資料箱や連絡スレッド、ひみつの相談窓口があります。(下図のピンクの部分)保護者が不安に感じた点や気になる点なども気軽に相談できるスペースを作り、リアルタイムのやりとりが可能に。

楽校kintoneの大まかな全体図

kintone上で完結するので、完全ペーパーレスが実現できています。

また、スマートフォンでアクセスする保護者が多いことを想定し、なるべくトップページ(ポータル)から少ない動線で開きたいページを開けるようにしています。

左がパソコン版、右がスマートフォン版の画面

時間割もkintone上で見られるように。子どもと一緒にいない時でも、出先でもどこで何をしているかが分かり、保護者の安心につながります。

日々の詳細な授業内容をkintoneでも公開

保護者との連絡において、日々のやりとりは「なんでもスレッド」で行われています。イベントごとにスレッドを立てることも可能なので、大きな行事の前には専用のスレッドを作り、情報を絞って伝えることも可能です。

例えば、この報告会の時は初めての大型行事『OH旅(おおたび)』の前だったので、『OH旅』スレッドとイベント参加確認アプリを紹介。持ち物などの連絡のほか、子どもが持つアレルギー情報など記録しました。
こうしてスレッドとアプリを上手に使い分けておくことで大事な情報が流れていってしまったり、後で探す時に手間取ったりするといったことが少なくなります。

保護者スペーストップ画面
イベント参加確認アプリ画面

◾︎kintoneを使って学校生活を毎日公開

また、スタッフが活動を記録する日報も保護者への連絡に役立てることができます。

日々の日報は保護者も見られるように

元々はスタッフが日々の活動を記録するために作っていた日報アプリでしたが、日々の様子を保護者に見せたいと思い、毎日保護者に公開することにしました。プライバシーに関わる内容などについては、運営チームだけ見られるエリアも作っています。
公開することで保護者に安心感を持ってもらえるうえ、スタッフが別途書類を作成するなども手間が省けるようになりました。

また、①保護者からの「いいね」が見える、②公開できる場所・公開範囲を自由に決められる、③モバイルからでも、記録に簡単に写真を添付できるというのも、キントーンだから実装できるポイント。

前田さんは「文字で伝えることも大切にしていますが、写真をたくさん載せることで言葉以上の雰囲気が伝わると感じています」と話していました。

保護者からは「子どもたちの様子が伝わる。アップされるのが楽しみ」というコメントも。保護者とチームになりたい、時間が足りない、人手が足りない教育現場の方に参考にしてもらえたら嬉しいという思いを込めて実装した、サイボウズらしい情報共有の手法です。

また子どもの情報は全て名簿アプリで管理。大日向小学校と同じく、どのスタッフにも情報に差がなく向き合えるようにしています。

子どもの名簿アプリ画面

このほかにも外部との連絡や収支を管理するアプリ、議事録アプリなども全てkintoneで構築しています。

前田さんは大日向小学校での活用法を聞いて、「子どもたち自身がkintoneを使って振り返ることができたり、保護者と面談の振り返りをできるようにしたい」と話していました。

大日向小学校の発表からさらにやりたいことができてきた前田さん

参加者の方も、情報をデジタル管理しているため紙よりも移動性が高く、フリースクールから公立の学校に通い始める場合にも役立つのではとコメントを寄せてくださっていました。

◾︎kintoneが実現する「毎日が授業参観」の世界

最後にパネルディスカッション。中村龍太(以下、龍太さん)のリードのもと、秋山さんと前田さんが質問や意見交換を行いました。

パネルディスカッションをリードした龍太さん

それぞれのkintoneの使い方を見せ合うことで、お互いに参考になった部分も多かった様子。公立学校での勤務経験がある秋山さんは「これまで記録に残すことにあまり大きな意味を見出せてなかったかも」と振り返ります。

中でも秋山さんにヒットしたのは、サイボウズの楽校の「日報」と「ひみつの相談窓口」。公立学校での連絡帳にあたる機能をkintoneが担っていることに関心を向けていました。

アプリを作り実際に運用している前田さんは、自身の経験も交えアプリを作った理由を話しました。

前田さん「私にも公立学校に通う娘がいるんですが、普段どんな学びをしているのかわからないんです。見えないことで不安になることも結構あるので、サイボウズの楽校では、そこを解消したいなと思います。」

2023年度イエナプラン教育のためのICTキントーンを活用した学校教育モデルの実証実験報告会

保護者としての経験が、サイボウズの楽校での情報共有に新しい視点を加えているようです。
文章に加え写真もたくさんつけられるこの世界観はまるで「毎日、授業参観」のようだと龍太さんは話していました。

サイボウズの楽校は、フリースクールとして子どもたちの多様な学びをサポートしていくだけでなく、働き方改革やデジタル化など学校現場が抱える課題に当事者となって取り組み始めました。

大日向小学校とサイボウズの楽校が、それぞれの文化にあったデジタルツールの使い方をしているように、学校の数だけkintoneの活用の可能性があると思います。今回の発表をぜひ色々な学校やフリースクール、教育現場に活かしてもらい、新たな学校DXを見つけていただけると私たちも嬉しいです。

◾︎児童募集中! サイボウズの楽校からのお知らせ

今回の報告会で紹介したサイボウズの楽校については、以下のSNSでも情報を発信中です!フリースクールに関心のある方、フリースクールを探している方をご存知の方、ぜひ発信を見にいらしてください。
お待ちしております✨