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異業種からサービスデザイナーになって感じた挫折・ギャップ(前編)

こんにちは!
「Tangity」のサービスデザイナー、Mariです。

今回は「異業種からサービスデザイナーになって感じた挫折・ギャップ」を紹介します。

2018年まで、私は別の職種で働いていました。
サービスデザイナーとして働き始めた当時、どうやって学べば良いのかわかりませんでした。研修・案件で感じた挫折・ギャップもありました。そこで、今回記事として紹介してみることにしました。

特に以下の方の参考になれば嬉しいです。

・デザイナーへの就職・転職を考えている方
・インハウスデザイナーの育成に興味がある方


1.略歴

2018年3月まで、私はNTTデータの研究職や広報として働いていました。デザインスタジオの立ち上げを機に異動し、現在はサービスデザイナーとして、お客様とともにサービス企画・開発に携わっています。

今回は体験談を全2回の記事でまとめました。

前編(今回の記事)
2018年に参加したデザイナー育成研修で感じた「挫折・ギャップ」や向き合い方を紹介します
後半
2019〜2020年に担当したお客様案件で感じた「挫折・ギャップ」や向き合い方を紹介します

2.デザイナー育成研修

NTTデータでは、2018年からデザイナー育成研修を開講しています。

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Design Management  (中堅、短期、イタリア)
Basic of Design (若手、長期、イタリア)
Basic of Design Tokyo (若手、短期、日本)

私は異動してまもなく「Basic of Design」に参加しました。お客様と案件を進める前に、研修で基礎を学ぶのが狙いでした。

時期 2018年11月〜12月(6週間)
場所 イタリア(ミラノ)
主催 NTTデータ+ミラノ工科大学
対象 20名(約10ヵ国の出身者)
内容 前半は座学+ワークショップ
   後半はOJT

私は「知識」は多少あっても、「経験」がない状態で研修に参加しました。結果、特に感じた挫折・ギャップと乗り越え方について、ダブルダイヤモンドと関連づけて紹介します。

ダブルダイヤモンド

3.挫折・ギャップ① 
先入観や思い込みが、ユーザーへの共感を阻害する

共感」の段階で感じた挫折・ギャップは「先入観や思い込みが、ユーザーへの共感を阻害する」点でした。

言語よりも先入観がより大きな壁でした。
多国籍な環境でふわっと議論しても、議論の前提条件が合いませんでした。

ヘルスケア
(例)医療制度の違いがあり、日本ではどこの医療機関でも利用できるけれど(フリーアクセス)、海外ではかかりつけ医を通さなければ大きな病院を受診できない 等

ライフスタイル
(例)衣食住の住であれば、家族構成・広さ・文化に違いがあり、必要とされる家具や模様替えの頻度が大きく異なる 等

ユーザーに共感していたつもりが、各国(私であれば日本)の商習慣が先入観となり、コンテクストのずれがよく起きていました。
結果、思い込みで作られた、現実感がないペルソナ・ジャーニーマップを量産していました。

4.挫折・ギャップ② 
量より質を重視して、一部のアイデアに固執する

アイデア」の段階で感じた挫折・ギャップは「量より質を重視して、一部のアイデアに固執する」点でした。

ジェームス・ウェブ・ヤングは、著書『アイデアのつくり方』の中で、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせであると説明しました。

私もまた、研修生とともに、沢山の要素を組み合わせてアイデアを作ろうと試みました。一方、一見良さそうな一部のアイデアをついつい深堀りしてしまい、十分なスケールが出せずに萎んでしまう場面が多々ありました。

5.挫折・ギャップ③ 
プロトタイピングして満足しがち

実験」で感じた挫折・ギャップは「プロトタイピングして満足しがち」な点でした。

紙やツールによるプロトタイピングを重ね、手間を掛けたことに満足して良いアイデアだと過信してしまう場面が良くありました。ワークショップでよく言われる「批判しない」を後工程にも引っ張り、スパーリングと仮説検証が疎かになっていました。

結果、ユーザーにとって物理的・心理的に使いづらいものを、毎日量産していました。

物理的な使いづらさ
(例)ユーザー(身体の硬直・痙攣を伴う高齢者)は、小さなボタンを狙って押すことは難しいにも関わらず、十分に考慮されていない 等

心理的な使いづらさ
(例)サービス登録の工程が長い上に、退屈な事務作業が続くことで、サービスからの離脱を招いてしまう 等

6.挫折・ギャップとどう向き合ったか

ここからは挫折・ギャップにどう向き合ったかを書きます。ある方にとっては当たり前のことが多く、別の方は異なる解決策を持っていると思いますが、一例として紹介します。

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6.1 共感(多様な人と接しながら、事実と推測を分けていく)

今回の研修には、幸いなことに約10ヵ国から研修生が集まりました。多様な彼らとの対話のなかで、自分でも気づけていなかった先入観・思い込みを特定していきました。
結果、ユーザーへのインタビュー・観察でも、事実(客観)推測(主観)を切り分けて現状分析できるようになりました。

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6.2 アイデア(強制発想法も活用し、臆さずアイデアを量産する)

今泉浩晃さんによって考案されたマンダラート(マンダラチャート)やブレストカードも使いながら、とにかく量産することに注力しました。
結果、完璧主義者の私でも量を出し、発想が飛ぶようになりました。

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6.3 実験(スパーリングや検証を細かく入れる)

発散フェーズでは「批判しない」と言われがちですが、収束フェーズの実験では建設的な批判をできるだけ細かく刻んで入れるようになりました。
例えば、研修生同士のスパーリングやユーザーテストによる検証で、何が物理的・心理的な障壁になるかを見つけていきました。

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7.次回予告

デザイナー育成研修を経て、現在は複数のお客様案件に携わっています。そこで感じた挫折・ギャップは後編の記事で触れます!以下、本記事に関連していくつか紹介します。

今年度のデザイナー育成研修とツール
今回紹介したデザイナー育成研修は、2020年はオンラインで開講予定です。オンライン研修で使用するツールの例などはこちらもご覧ください。

中途採用者インタビュー
私は社内で異動し、これまでと異なる仕事(サービスデザイナー)に就きました。別のケース(社外からの中途採用)が気になる方はこちらの記事もご覧ください!

Instagramでも日本や各国のメンバーが「なぜデザイナーになったか」などを紹介しています、合わせてご覧ください。

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