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なぜNTTデータでデザインなのか?デザイン×コンサルの視点から考えてみる。

こんにちは。株式会社NTTデータのデザイナー集団「Tangity」で、共創型新規事業開発やサービスデザインのManagerをしているTomi(Hitomi)です。
この記事では、私がなぜNTTデータのコンサルティング組織でデザインチームを立ち上げてデザインに取り組んでいるか、について書きます。
NTTデータってITの会社でしょ?なぜデザイン?と思われる方もいると思いますが、「しくじり先生」的なお話ですので、軽い気持ちで読んでもらえるとうれしいです。

デザインしくじり先生のはじまり

私はNTTデータで、システムエンジニア、コンサルタントとキャリアを積んできました。デザインに取り組む必要性を感じたのは、お客様との共創で新規サービス企画を進めていた時のことです。

もう5年以上前の話ですが、
 「デジタル技術を活用して
  新しいサービスを一緒に生み出そう!」

とお客様企業と共に新規事業づくりの枠組みづくり、教育、企画の推進支援を行っていました。
当時、ベンチャーキャピタルはあれど、大企業の中での新規デジタルサービス企画はまだ各社取り組み始めだった時代です。

当時の取り組みでは、
 複数のチームを立ち上げ、
 教育プログラムを提供しながら企画検討〜PoCと進み、
 事業オーナーにプレゼンしてそれを受け渡す

という枠組みをつくり、
実際にまだ世の中にない新しいサービスが考え出されました。
また、実証を通じてニーズやソリューションも検証し、そのいくつかは事業オーナーの手に渡って育てられました。

サービスのゆくえ

しかし…
残念ながら、そのサービスたちは世の中に広くリリースされることなく、終わってしまったのです。

なぜ、正式サービス化できなかったのか?

コロナなどの外部環境の変化の影響もあり、対面接触が含まれるサービスそのものが難しくなったという想定外の環境変化もありましたが、私は猛烈に当時を振り返り、「何をどうすればよかったのか」を様々な観点から考えました。


2つのしくじりポイント

振り返ると、大きく2つのしくじりポイントがあったと思います。

1. ユーザーニーズの把握と検証が制約ありきだった

現場でのリサーチ許可が降りない…

一つ目は、ユーザーニーズの把握と検証が制約ありきだったこと、
つまり、三現主義(現場、現物、現実)の徹底不足、です。

当時、当社の技術開発統括本部という当社のR&D部門が開発した新規サービス企画の手法を用いて、お客様との共創を進めていました。
その中ではリーンスタートアップやデザインスプリントといった手法が活用され、事業課題とユーザー課題を元に企画を検討していました。

当時設計した流れでは、課題把握のタイミング、検証のタイミング、など様々なタイミングでユーザーの声を聞く設計になっていました。
しかし、「既存事業の運営に迷惑をかけてはならない!」と、実際のユーザーさんに声をかけるようなインタビューの許可を得られず、またそういった制約の中で少しでも声を聞こうとターゲットと少しズレたセグメントの声を解釈してしまったことで、ユーザーニーズに既存事業のバイアスをかけたり本来加味すべきでないユーザーニーズを考慮したりしてしまっていました。

これらを振り返ると、
 ユーザーニーズ設定・検証の質が、サービス化への最短ルートに直結する
ということです。そしてそのためにも、
 三現主義(現場・現物・現実)に基づいて進めることの大切さ
を改めて痛感しました。

2. 定量ゴールが曖昧なスタートを切ってしまった

新しいサービスを創る際の、経営的なゴールは?

しくじりの二つ目は、定量ゴールが曖昧なスタートを切ってしまったこと、つまり、目標の曖昧さ、です。

当時の企画をスタートする前、取組テーマや目標設定の議論には、3ヶ月以上の時間を要しました。
 「デジタル技術を使った新しいサービスを創りたい」
という大きな方向性は見えていても、社会課題や身近な課題までどんなテーマに取り組むのか、事業や顧客は新しいものとするのか、売上や収益はいくらくらいを目指すのか…
様々な観点を検討してなんとか議論を進め、合意できたゴールを元に、検討を進めました。

しかし、検討した企画を事業オーナーへの提案した時の反応は、期待したものとは少し違いました。
デジタル技術を使った新しいサービスではあるものの、事業規模や不確実性の高さなどから十分な評価が得られなかったのです。

当時の議論を振り返ると、定性的な観点でのゴールは合意できていたものの、定量的なゴールは事業オーナーと事前合意できていませんでした。
 何年後に上市するのか、目標売上はいくらか、利益率は何%以上か…
新しいデジタルサービスは不確実性が高い、どんなアイディアが出るかわからない、面白いアイディアはできるだけ継続して検討したい…と3ヶ月の議論を経ても定量目標を決めることができず、定量目標が曖昧なままスタートしたのです。

しかし、経営側から見た時のこの判断基準の曖昧さが、結果的にアイディアを眠らせてしまうことになってしまいました。
ゴールが曖昧だと、評価側は「物足りない」とGOサインを出せず、企画側は「評価してもらえない」と不満を募らせる。その結果、お互いを責める形となり双方を不幸にしてしまうのだとも痛感しました。

新規事業は不確実性が高いからと、
 目標、特に定量目標が曖昧なままスタートすると不幸にしかならない
ということです。そしてそのためにも、
 意思決定者と事前に目標・ゴールを握ることの大切さ
を痛感し、肝に銘じました。

未来のサービスを創るために必要なこと

絵に描いた餅に終わらせない

サービスをつくる、というのは簡単なことではありません。
例えばNTTデータは様々なデジタル技術を持っていますが、デジタル技術のHowの前に、なぜ取り組むのかのWhy、何に取り組むのかのWhat、を誤ると、Howは全く意味をなさなくなります。
また組織で新規サービスを企画する際には、この二つのW以外にも、組織内で求められる基準(Who, Where, When, Which)を事前に合意し、それを超える必要があります。

この記事では、しくじりの二つのポイント、

しくじりポイント

  1. ユーザーニーズの把握と検証で制約ありきだったこと

  2. 定量ゴールが曖昧なままスタートを切ってしまったこと

についてお話ししました。逆に言うと、成功ポイントは、

成功ポイント

  1. デザインの徹底 =ユーザーの真の課題・ニーズを捉えることの大切さ

  2. ビジネスゴールの明確化 =組織が求める基準の事前合意の大切さ

ということです。

ご一緒する際に、ユーザーにこだわったり、数値にこだわったりすると、単にデジタル技術で形にするところだけを考えてほしいだけなのに、、、単にUXUIデザインを良くして欲しいだけなのに、、、と思われるかもしれません。

しかし、せっかくのアイディアも、形にして人々の手にその価値を届けないと意味がありません。
またそこに持っていくためには、いろんな制約や条件をくぐり抜ける必要もあります。

そこまでをEnd to Endで実現してゆくためにも、私たちはNTTデータというITの会社でデザインアプローチにこだわりながら活動しています。

今回紹介した事例のように、100点満点を取れなかった内容もオープンに話せる組織でありたいという思いから、しくじり先生的に記事として公開しています。
もし、このような様々なチャレンジを前向きに糧にしながら取り組むTangityにご興味を持っていただける方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。
ご相談も、ご応募も、Welcomeです。

以上、Tomiでした。


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