見出し画像

デタラメと右往左往の極致「検証 コロナと五輪 変われぬ日本の失敗連鎖」(吉見俊哉)河出新書

Instagram及びFacebookからの転載です。


あまりに虚しかった東京五輪からもうすぐ一年。先日、この本を読了。

非常によく検証された一冊でした。冒頭からいきなり、絶望的な負債を抱えて終えたことが始まる。

吉見俊哉氏はかつて朝日新聞ロングインタビューでも東京五輪に異議を唱えていたが、やや回りくどい言説だったあれより直球で書いてます。

まさに「失敗型資本主義」の象徴。程度の低い懐古趣味の塊。寂しいお祭り騒ぎ。

既に五輪に関する本を出していた吉見俊哉氏だけあって、掘り下げ方も凄い。もはや歴史上の人物と言って良い後藤新平あたりの時代まで遡って「日本と五輪」を書いています。

それにしても「石原慎太郎の呪い」が強烈。死者に鞭打つなと言う方もいるかもしれませんが、政治家としては私は別だと思ってます。どういうわけか今ごろになって日本維新の会から参院選に比例候補として出馬している招致決定後の数ヶ月後に辞めることになる猪瀬直樹元知事や、開催時に知事であった小池百合子都知事はそれほど言及されてないですが、石原慎太郎元知事は重要人物とされています。加えて、当然安倍晋三元首相。この二大右派政治家がいかに悪影響を与えたかがよくわかります。

それ以外にも様々な視点で書かれていますが、良書だと思ったのは、日本人の精神性を問い正し、日本人はこれからどうあるべきか、最後は「そもそも今の時代に五輪って何なんだ」に行き着きます。

吉見俊哉氏が結論として言いたいことがあとがきに集約されてる気がします。2枚目の画像をご覧いただきたいです。読まれてほしいです。

画像1

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?