解説がめちゃくちゃ詳しいWE一次試験問題集
はじめに&自己紹介
丹治 - Ricky -と申します。
ワインエキスパートの試験はCBT形式の一次試験とテイスティングの二次試験をクリアする必要があります。CBT試験とは、SPIを経験した方なら理解がしやすいかと思いますが、テストセンターでPCと向かい合ってランダムに選出された問題を解く形式の試験です。
そんな一次試験ですが、2023年度のものは前年と比較してもだいぶ難化したとのことでした。youtubeの情報によると、旧世界の問題の割合が減り、マイナーな国の問題が増えたとのことです。そのほかSNS上では「今まではこれでOKとされていた対策が対策の意味をなさなくなっていた」という声をいくつか見つけました。
ただ、受かる人は受かっています。この差について確実に言えることがあります。「知識量に絶対的な差がある」これにつきます。今回の試験はワインスクールの先生方があの手この手で集めた傾向対策が全く意味を為さなかったと聞きます。つまり、傾向対策にヤマを張り、最低限のニワカ知識で臨んだ方々が一蹴された、ということです。
私自身、ある程度知識武装をして臨んだだものの、出たうちの3割はほぼ初見の問題でした。ただ、残りの大半は杉山明日香著の『ソムリエ試験対策講座2022年度版』にて記載の内容でした。ここで言いたいのは、毎年変化する問題、超マイナー問題がわからなくても合格できる量の問題が用意されているということです。そのため、以下3点が必要になると考えています。
その問題を取りこぼさないレベルの知識
今までの知識を利用して初見の問題を解く力
マイナーな内容にアクセスする機会
この記事では2023年度版『日本ソムリエ協会 教本』の内容を大きく補完し、かつ、マイナーな内容までアクセスできるような60問のオリジナル問題を用意しました。
市販の問題集は総じて解答のみ、ないしはその問題のひとこと解説に留まり、他の問題に応用できるような横の広がりが少ないです。そのような解説ではなく、今後類問や初見の問題を見た時に今までの知識を利用して正解に導ける能力がつくようにがっつり解答を用意させていただきました。その結果、制作時間は100時間を超えました。
おかげさまで60という問題数なのにも関わらず40000文字超の解説となってしまいました。1問に対して700文字程度、実質解説がメインディッシュです。こんな問題集他にありません。語源やメカニズムなど教本に記載のない脱線情報も多く、WE受験者でなくても、読み物としても学びがあると思います。そんな知識のショートカットをテーブルワイン1本程度の破格で共有させていただきます。
問題の難易度はやや高めに設定させていただきました。杉山明日香著『ソムリエ試験対策講座』をやり込んだ方で6割程度の正答率になると思います。
予めご了承いただきたいことがあります。今回作成しました問題は、私の実体験を元にした類問です。当時の問題をそのまま用意してしまいますと処罰の対象となってしまい私の資格が剥奪されかねません。そのため、問題の精度については目を瞑っていただき、解説を通して、CBI試験の引き出しを増やしていただけますと幸いです。
また、本記事に関する著者に許可のない複写、営業目的での利用はお断りさせていただきます。
本note購入にあたって、「流石に有料項目の内容が想像つかない」という方がいらっしゃるかと思いますので、3問を問題を無料で公開します。購入の参考にどうぞ。
参考問題(3問)
問題1(イタリア)
以下のD.O.P.のうち、2つの州と重なっているのはどれ?
A:Chanti
B:Orvieto
C:Colli Asolani Prosecco
D:Frascati
問題2(南アフリカ)
ブドウ生育期間中に大きな影響を及ぼしているのは以下のどれ?
A:川
B:風
C:雹
D:政治的催事
問題3(アメリカ)
Napa Countyに属するA.V.A.を2つ選んでください。
A:Fort Ross-Seaview
B:Petaluma Gap
C:Russian River Valley
D:Stags Leap District
E:Diamond Mountain District
F:Oakville
詳説解答(参考)
問題1(イタリア):B
ウンブリア州とラツィオ州にまたがっています。またがっているD.O.P.は他にもリグーリアとトスカーナ(Colli di Luni)、ヴェネトとフリウリヴェネチアジューリア(Lison)で確認できます。3つだけ覚えておけばとりあえずOKです。ちなみに「Colli」は集落とかそういう系の意味です。集落らしく地域が小さく、点在している可能性があります。キャンティの特定地域とかでよく見ますね。
問題2(南アフリカ)
ケープドクターという乾燥した風が病害虫の繁殖を抑えてくれます。余談ですが、オーストラリアのスワン・ディストリクトに吹く風はフリーマントルドクターと呼ばれ、暑さを和らげる役割があります。個人的にマイナー国は難しい項目は無視して、口頭で以下情報を1~2分で紹介できるようになるとその国の輪郭をつかめて先の理解が深まると思います。そしてこの知識は試験対策に非常に役に立ちます。
⇨南アフリカなら、場所は?ざっくり緯度は?どんな気候?ブドウの主要品種と生産ワインの特徴は?いつ頃からワインづくり始めた?どこらへんで盛ん?…
問題3(アメリカ)
ソノマはA.V.A.に”ヴァレー”とつく産地が多く、スペイン、ロシアに由来する産地が多いです。ロシアが軍事基地を作っていた縁があると思えばフォートレス(要塞)が浮かぶと思います。ナパはマヤカマス山脈とヴァカ山脈に挟まれている地域です。Bはソノマの新しいA.V.A.です。A.V.A.はA.O.C.のように明確に土地を区分するものではなく、優秀な生育条件をもつ地域を指すため、A.V.A.の中にまた違った優秀な生育条件があればサブA.V.A.がたくさんできてしまうので注意です。ナパのなんちゃらディストリクトは暗記ですガンバッテクダサイ。
ここから有料記事になります。
参考問題はしっかり解けましたでしょうか?語源や勉強の観点をここまで追っている解説はそうそう無いと思います。ここから先の問題はもっとクオリティが上がります。この問題集は解説を通して、問題へのアプローチを広げていただくことが目的です。ヤマ張り問題集ではなく、最短合格を謳うものではありません。量に関してはワイン受験.comの問題集のサブスクリプションをおすすめいたします(解説がないのでただ機械的に量をこなすのに最も適した問題集です)。
問題に入る前に数点のご留意事項です。
地図問題の取り扱いません(著作権都合)。
2023年の試験で出た問題は取り扱いません(規約遵守)。
時事問題は取り扱いません(最新のソムリエ教本で勉強するべき)。
数年で変化するような統計問題は取り扱いません(問題の品質維持)。
noteの仕様上問題と解答がかなり離れます。
万一問題に不備があった場合はご指摘ください。
問題文に関する分析
ワインエキスパートの問題文は基本的に長文での出題が少なく、短い定義について解答させる傾向があるように思います。そのため、膨大な知識を必要とする一方で、本質的に一問一答の傾向があります。これは筆記試験の頃から変化していません。
また、これは試験を受けた私だからこそ言えるのですが、知ってて当たり前の問題は出ません。当たり前問題を応用した問題は出ます。しっかり問題に盛り込んだので体感してください。
ゴール
各問題は100%解答できるようになり、自分で解説できるレベルになってください。何周も問題をこなす必要があるとは思いますが、必ず成果はあります。そこらの有象無象の問題集とは異なり、解説をしっかり書いています。そのため、各選択肢に対し、「なんで違うのか?なんで正解なのか?」も記載されています。解説できるレベルになればあなたの知識量も十二分になっていることでしょう。
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