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コーヒーについて語ろうか。 その3

 「コーヒーは何のために飲みますか?」と聞かれると、「目を覚ますため」、「健康のため」、「集中するため」など様々な種類の回答が得られるだろう。では「コーヒーってどんな味?」と聞くとどうか。十中八九「苦い」と回答が得られるだろう。

 コーヒーの効能としては、「覚醒作用」「利尿作用」「抗がん作用」が成分的にはっきりわかっており、日常的に3〜4杯飲む人はそうでない人と比べて〜などの効能はよく聞くことだろう。では、味についてはどうだろう。

 我々が感じる苦味成分のほとんどは元々コーヒー豆に含まれていない成分であることをご存知だろうか。酸味は低品質であるからと勘違いしていないだろうか。そして、ブラックコーヒーを飲んで「甘い」と感想を覚える人もたまにいるが、コーヒーの成分に「甘味成分」に該当する成分を含んでいることが研究で証明されていないことをご存知だろうか。

 コーヒーというものは日常生活では身近な存在にも関わらず、いざ向き合ってみると、意外にわからないことだらけであることにハッとしていただけたなら、このnoteの7割は伝わったと言えよう(だからと言ってブラウザバックしてはいけませんよ)。

 こちらの投稿は前作の「コーヒーについて語ろうか。その2」の続編です。前作は現在非公開にしており、今回続編を連ねるようになったきっかけも単純に「気が向いたから」です。文章力のリハビリが必要だなと下書きをみて思いました。

今日の題目


今回は市販のコーヒーの話です。常日頃から購入している方も多いかなと思います。内容的には前作の復習的な内容になるのかな。多分、ラベルの内容をわかっておらず手にとっている方も多いかなと思いますので、そこに焦点を当ててお話ししていきます。いくつかコンビニで売っているコーヒーの写真を撮ってきたので一緒に勉強していきましょう。


アラビカ種100%

タリーズバリスタブラック

 ど定番ですね。
 味わい、クオリティ、価格、どれをとっても素晴らしいコスパ◉の缶コーヒーだと思います。こんな商品でも学べるところはあります。
 
 「アラビカ100%」これは、コーヒー豆の種類を指します。世界で飲まれているコーヒーは大きく2つあり、アラビカ種とロブスタ種(カネフォラ種、今回は同一のものとして扱います)があります。一般的にハンドドリップなどに利用しているのがアラビカ種、インスタントコーヒーなど工業用としての加工で利用されているのがロブスタ種という扱いがなされています。
 アラビカ種はロブスタ種と比較して「病気に弱く」「味わいが多様で」「カフェイン含有量が少ない」と3つの大きな違いがあります。そのため、アラビカ種は高品質な豆として扱われ、ロブスタ種は表舞台に立つことが多くありません。ロブスタ種は大量生産向けの品種であるため、コスト削減のコーヒー豆のかさ増しであったり、工業用に利用されます。ただ、缶コーヒーを好む方のおおよそはカフェインを摂取したいからかと思うので、需要は一致しているかと思います。
 話を戻しますが、大量生産向けの缶コーヒーにわざわざ「アラビカ100%」と記載している意味は、「大量生産のロブスタ種ではなく、みんながスタバとか、ディーンアンドデルーカとかで見ている品種と同じものを利用していますよ!」ということを示しているわけです。
 もちろん、こんなことは教養がない一般大衆にはわかるわけがありませんが日本人はxxx100%みたいな表記や高品質という言葉に弱いので記載しておくだけで意味があります。

 ただ、アラビカ種をここまで押し出すのは日本と韓国くらいでフランスイタリアではそんなに顕著ではないと思います。これは文化的な側面がありますが今回は割愛します。ちなみに、フランスのコーヒーの教本には、日本はコーヒーに対し高級志向を持っていると記載されていました。

炭焼

小川コーヒー 炭焼 ブラック

 商品名のとおりの味をしています。まず、この商品にはアラビカ種100%と記載されていません。そもそもコーヒーにはワインのような法律がないため、嘘でなければ記載してOKです。たとえ実際は低品質な安いアラビカ種を100%使用していたとしてもね。

 この商品のキーワードは「炭焼」です。コーヒーという飲み物はコーヒノキから収穫した種子を焙煎し、粉にし、エキスを抽出したものを指します。その焙煎という工程が他のコーヒーと違いますよ。ということを強調しています。

 焙煎には大きく2つの方法があります。熱風式と直火式です。熱風式は離れた熱源から熱風をコーヒー豆がある場所に送り焙煎する方法で、直火式はコーヒー豆がある場所のすぐ下に熱源を設置し、遠赤外線効果で焙煎する方法です。熱風式は大量生産ができ一定のクオリティの焙煎ができるためスタバなど大規模な企業で採用されております。一方直火式は、ザルの中にコーヒー前を入れて、ガスコンロをつけて火に近づけるようなイメージを持ってください。この方法では大量生産が実現しにくく職人の技量が問われるものの、熱風式では感じられないロースト感(焦げ感)を纏わせることができます。ドトールは大企業でも例外的にこの方式を採用しています。そのため、スタバドトールで好みが分かれる場面に遭遇するわけです。

 今回の商品では、直火式焙煎を採用しており、材料が炭とのことです。つまり、他のアイスコーヒーと比べて、コーヒーの苦味のニュアンスの他に炭のニュアンスが含まれたものになると想像できます。ドトールのアイスコーヒが好きな方はこの商品を美味しく感じられると思います。
 このような苦味は小さな喫茶店でも味わうことができます。卸から購入した豆をお店で提供する前にフライパンで炒って提供しているところがあるためです。こうすることで苦味をコントロールしオリジナルのコーヒーを演出しています。

エスプレッソ

ボス クラシックブレンド

 先に言います。この商品飲んだことないです。
 ここで話したいことは抽出方法です。コーヒーには大きく「濾過」と「漬け置き」の2つの抽出方法があります。濾過とは濾紙を利用するハンドドリップなどを指し、漬け置きはサイフォンなどを指します。個人的にエスプレッソは一応前者に分類しています。エスプレッソとは、コーヒー粉に対し高圧で熱湯を接触させ、金属フィルターを通してエキスを絞り出す方法です。20秒ほどで高速に抽出できることからその名前がつきました。

 エスプレッソは濃い飲み物ですので、水で薄めてアメリカーノとして飲んだりもします。そのアメリカーノこそが市販で売られているチルド商品のエスプレッソ、そしてローソンのコンビニコーヒーです。エスプレッソは本来少量で濃厚なものです。

 この商品は他の商品には表示されていない「よく振ってお飲みください」とあります。エスプレッソは前述の通り、金属フィルタを通して抽出されます、そのため、紙での抽出よりもコーヒー成分の粒度が大きくなり下層に成分が溜まっている場合があります。この商品についてはその分離が見られることから上記注意があるものと考えることもできます。ここについては、窒素充填してるから振るなとか、まちまちなので参考程度に覚えておいていただければ。

 

等級

ザ・エスプレッソ

ブラジルの最高等級豆(※)を中心にブレンドしたボスの「ザ・エスプレッソ」上質なコクと香りを存分に楽しめる、贅沢なエスプレッソの味わいです。

※:高級豆ブラジルNO2において味覚評価で最高グレードを51%使用

商品説明より

 なんか高級感ありそうですよね。解読していきましょう。
 まず、アラビカ100%の表記がありませんので、100%ロブスタ種の可能性があります。これは悪いことではなくて、ロブスタでも良い豆に力を注いでいるんだなってことですので、むしろこだわりポイントです。

 エスプレッソについては前述の通りですので、この商品は390gエスプレッソではなく、アメリカーノ390gです。

 原材料名にはコーヒー豆(ブラジル、ベトナム、その他)と記載があります。たくさん入っているものから左に記載されます。ロブスタ種の生産国一位二位がブラジル、ベトナムなので、ロブスタの利用はありそうですね。飲んだ感じ、その他については数%ほどかなと思いますが、僅かにエチオピアのニュアンスを感じました。

 ここでトピックの等級です。等級とは、コーヒー豆のクオリティを指し、豆の大きさや異物混入率、色や味など各国で選別基準が異なります。
 ブラジルの選定基準は3つあり、異物混入率、豆の大きさ、味覚です。ブラジルNO2とは、コーヒーの入った1つの袋に対し、異物混入率は一番少なかったことを指します(異物が0になることがないからNO1は存在しない)。収穫場所、味は考慮されないため、値段が高いのではなく、品質が高い高級であることがここでわかります。
 
豆の大きさはスクリーンサイズと呼ばれ、振り分けられていくのですが、
ここでもコーヒー豆自体の味は評価されません一般的に大きいほど値段がつきます。
 最後の味覚で初めて味が評価されます。味覚評価で最高グレードと記載がありますが、味覚は5段階で評価されます。そこで風味が強調された滑らかな味わいと評価されれば最高グレードです。
 つまり、この商品では、ブラジル豆の中でも異物混入率が最も低く、味覚評価最高グレードでコスト減のため比較的低価格の小さめの豆を選択しているのかな、というところまで判別することができます。企業努力を感じます。ちなみに等級にアラビカもロブスタも関係ありません。


結び

 商品4つしか紹介していませんが、学びは非常にあったと思います。コーヒーは他の嗜好品と比較して目に触れやすく、値段がやすく、牛乳で割ったりと飲みやすいので、ぜひググっていろいろ調べて楽しんで欲しいです。
 今回はここまでとします。みなさんのフードリテラシーの一助になったら嬉しいです。シェア、いいねしてくれると喜びます。

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