髪の毛
口のなかに髪の毛がはいっていた。
とろうとしてもなかなかとれない。
つばで舌に張りついてしまっている。
口のなかに指をいれて、なんとかとる。
それを捨てたかとおもうと、また口のなかに違和感。
今度は舌の根元のほう。
飲みこんでしまうのもいやだとおもった。
口の奥に指をいれる。
指が喉の内側にさわってしまった。我慢をしようとするひまもなく、胃から酸っぱい液体が逆流してきて、床に吐きだしてしまう。
自分が吐いたものを見て、びっくりして、もう体の中は空っぽなのに、またつよい吐き気におそわれる。
それは真っ黒い毛のかたまりのように見えたが、うねうねとイトミミズのようにうごめいていた。
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