テレビ
母は、いつも子どもにつきっきりでいられるタイプではなかったので、よくテレビに子守をさせていた。
一日中、テレビを見ていたといっても言いすぎではない。
意味もわからず見ていた。なにがおもしろいのかもわからずおもしろがっていた、
ただ目の前でなにかがおこることがたのしかったのかもしれない。
そのころ見ていた番組は、記憶が断片的すぎて、今さらなんだったのか調べようもないものばかりだ。
テレビを見ていた子どもが、テレビの中にはいってしまい、子守をテレビにまかしていた母親が、あわてて彼をテレビから引きずりだす。
そんな番組を見た覚えがある。
その子どもに、ひどく感情移入したのだ。なぜなら彼は自分そっくりだったから。彼を引きずり出した母親は、母そっくりだった。
記憶がうまく繋がらないが、その番組を見たあとにひどく泣いた記憶がある。
なにをあんなに泣いていたのだろうか。なぜ、あんなに母をなじったのだろうか。
今となってはうまく思い出せない。
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