くまの王子さま

いつもくまの王子さまが夢に現れる

薄い茶色の体に、
お目目は快晴の日の空色。
お鼻は鮮やかなきみどりいろで、

いつもちょっとびっくりしたような
そんな顔をしているの

歩くたびに頭の上の王冠が落っこちそうになる
ちょっとおてんばなクマさん

お話はできないけれど、
今日はどうもお城へ案内してくれるみたい

お菓子のパレードが開かれるんだって

でもどうやってお城まで行くんだろう?

と思ったら、

空からピンク色のお馬さんが飛んできた!
ユニコーン?
いいや、ツノはないみたい。
どうやって空を飛んでいるんだろう

くまの王子さまがなんとかお馬さんの上に乗ったところで、
私も王子様の後ろにお邪魔した。

クマさんの背中に頬をくっつけると
あたたかい。
なんだか懐かしい香りがするなあ

ん?
ちょっと待って、このくまの王子さま、私知ってるわ!

今では押し入れの奥に眠っている
くまのぬいぐるみ

あれは確か幼稚園の頃。
よく一緒に寝ていたっけ、とても大切にしていたぬいぐるみだわ。

くまの王子さまは振り返って私を見てニコッと笑った

ああ、ごめんね。
忘れていたなんて。
王子さまの笑顔が優しくて、涙が込み上げてくる

いけない!これからお城でお菓子のパレードがあるのよ!
せっかくつれていってもらえるのだから、泣いていられないわ

ピンクのお馬さんが走り出す、と思ったら浮いた!
地面に道があるように、このお馬さんは空へ続く道を走れるのね

カラフルな綿飴みたいな雲を通り抜けて
とうとうお城が見えてきた

さあこれからお菓子のパレードが始まる
懐かしいお菓子の香りと、このワクワク感。
いろんなものをいつの間にか押し入れの奥にしまっていたのね

ありがとう、くまの王子さま。



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