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フグタ社長業務日誌『金庫番の面接』

このシリーズは2007年9月~2008年9月まで1年にわたる、福田康夫総理の「首相動静」を基にしたフィクション(パロディ)です。※巻6は自2008年3月1日~至3月31日。

フグタ社長業務日誌(巻6-1):3月12日(水)

 古い会社なので、経理部の奥に大きな金庫がある。金庫の扉の前には立派な椅子が置いてあって、そこにいつも(うつらうつら居眠りしながら、誰にもとがめられることもなく)金庫番が坐っている。金庫番は経理部を定年退職した人を、嘱託で採用している。実際には別にいなくても支障はないので、いわば老後の第二の人生を、名誉職として優雅に送っていただいている・・。

 今度、その金庫番を勤めてこられた方が隠居されることになった。後釜には、副金庫番を勤めてきたMさんが、まあ順当に昇格されることになっていた。のではあるが・・。
 何でも反対したい人はどこの会社にもいるのである。さしたる理由があるわけでもないが、ああだこうだともめている。経理部の天下りという声もあるが、そんなものはたかが知れている。

 昨日、仕方ないので、一応金庫番の後釜採用の面接試験を行った。
 Mさんは長年経理部に在籍されていたので、話に面白みはないが、真面目な人である。ボケて金庫の鍵をなくすおそれもなさそうだし、借金でヤミ金に追われているようでもない(むしろ莫大な借金を背負っているのは、うちの会社の方だ)。
 私としては、別に誰でもいい。だから業界紙の記者さんに
 「このまま今の人事案にあくまでこだわる考えか」と聞かれても
 「なんでね、悪いのかよく分からないからね。ですから困ってるんですよ。今、そういう状況」
 としか言いようがないのである。

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注:
日銀総裁の後任人事で国会が混乱した。政府が提示した武藤副総裁(元財務次官)の昇格案に野党が反発したのである。要は「財務省の事務方のトップが安易に天下るのはけしからん!」ということだ。
二転三転した挙句、総裁代行を務めていた(押し付けられていた)白川氏が日銀総裁に就任することで落着したが、この騒動を巡って福田首相はとても傷つくことになる。という記事は次回で。
※『フグタ社長業務日誌:金庫番の面接』は、ブログ『tanpopost』に2008年3月12日 付けで掲載したものです。

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