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フグタ社長業務日誌『板金問題』

このシリーズは2007年9月~2008年9月まで1年にわたる、福田康夫総理の「首相動静」を基にしたフィクション(パロディ)です。※巻3は自2007年12月1日~至12月31日。

フグタ社長業務日誌(巻3-8):12月13日(木)

 マスハゲ君が担当している「板金完全溶接プロジェクト」が、頓挫しかかっている。
 彼が取り掛かったときには、「来年の3月までに最後の1枚まで完全に板金を溶接してみせます」と大見得を切ったのだが、いざやってみると、中々うまくいかないらしい。最近では「誰がやってもできないのじゃないか・・」と半分泣きながら開き直っていた。

 板金溶接は、昔は職人が1枚1枚こつこつと手作業でやっていた。しかし職人の技量によって出来具合にバラつきが出るので、コンピュータ処理によるロボット作業に切り替えた。
 ところが、現場の人間が、それまでパソコンに触ったこともない。そのため不慣れでオペレーションミスが相次いで、溶接がすぐはがれる、溶接していたはずが実際にはできていない・・などの不具合が大量に発生した。
 本日配信した社員へのメルマガにも書いたが、「(溶接問題のある板金には)初歩的なミスも多数ある。調べれば調べるほど現場がいかにずさんな仕事をしてきたか明らかになった」。

 板金溶接に詳しく「ミスター板金」と異名をとる万寿堂の某君(この間の会議で私に山ほどくだらない質問をした無礼者だ)が、「3月までにやるって公約したのに、できないのか」など、いちいちケチをつける。
 正直言って、万寿堂さんでやれるというならやってみてほしい。何なら某君をヘッドハンティングで、うちの取締役に引っ張ってもいいくらいのものだ。

 少しムシャクシャしたので、気分転換に古い友人たちを誘って晩飯に行く。
 午後6時28分、東京・紀尾井町のグランドプリンスホテル赤坂着。同ホテル内のフランス料理店「トリアノン」で会食。
 友人の一人は自動車整備工場の会長さんである。
 「板金の溶接は難しいですよ。とても膏薬(こうやく)じゃ無理、くっつかないですって・・」
※公約と膏薬をかけています。老人ギャグです。秘書注
 午後7時48分、グランドプリンスホテル赤坂発。同8時19分、自宅着。

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注:
「年金記録問題」。2007年2月、国民年金や厚生年金の納付記録で納付者が特定できないケースが、5000万件以上もあることが発覚、マスコミが報道したことで大問題となった。これに対して安倍首相は「消えた年金問題、一年で解決します!」と大見えを切ったが、夏の参院選で惨敗し、結果的には退陣に追い込まれた。
後を受けた福田首相は担当大臣に舛添要一氏を起用した。12月12日 舛添厚生労働大臣が「宙に浮いた年金記録」解消作業の進捗状況を発表。未だ手付かずで今後解明を進める記録が2445万件 (48 %)もあることから、2008年3月までに作業を終了させるとした公約を断念した。
※『フグタ社長業務日誌:板金問題』は、ブログ『tanpopost』に2007年12月14日 付けで掲載したものです。


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