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フグタ社長業務日誌【怒涛の後編】『洞爺湖にて』

このシリーズは2007年9月~2008年9月までの1年間にわたる、福田康夫総理の「首相動静」を基にしたフィクション(パロディ)です。
※5月からは後編となり、9月退任までの慌ただしい動静を追いかけます。さてフグタ社長の命運はいかに・・・?。(巻9は自2008年6月1日~至7月31日・2箇月分)

フグタ社長業務日誌(巻9-4):7月7日(月)

※本日は奥様代筆です(秘書注)。

 日曜から北海道に来ています。少し早目の夏休みです。
 あ、いけない、こんな風に書くと主人に叱られてしまいます。海外から取引先の社長さんたちをお招きして、会議なのです。もちろん主人は出張なので、会社の経費で来ています。私も便乗しています。海外の社長さんたちの奥様も便乗しています。

 7月6日(日曜)は朝9時前に羽田に行って、全日空のカウンターに行こうとしたら、主人が「違うよ、こっちこっち」と手招きします。会社の専用機で行くんでした。1時間半のフライトで新千歳空港着。ホテルのリムジンバスに乗ろうとしたら、また主人が「違うよ、こっちこっち」と呼びます。
 高速で行くと時間がかかるのでヘリコプターをチャーターしてありました。ふふふ。まっすぐホテルに行くのもつまらないから、と、近くの牧場「レークヒル・ファーム」に寄ります。

 ホテルは「ザ・ウィンザーホテル洞爺」です。
 格式があるホテルではありませんが、中々いいリゾートホテルです。セキュリティはしっかりしています、セコムですから。
 全室オーシャンビューまたはレイクビューが売り。山の上にあるので景色はいいのですが、風が強くて霧とか出ると最悪です。滞在中お天気が良ければいいのですけれど。あ、そうそうエントランスが改築されて、ゴチャゴチャしたシャンデリアがスマートになっていました。

 この日の夕食は米国のブッシュ社長ご夫妻と。
 奥さまは以前(シドニーの会議だったかしら)は、どこかで転んだとか仰って欠席だったのですが、今回はいらっしゃっています。
 ブッシュ社長はちょうどお誕生日です。ケーキをプレゼントしました。野球がお好きなので、ケーキにはごひいきの野球チームのロゴを付けて、ジャンパーもプレゼントしました。何を考えたのか主人は、だるまもあげていました。そんなの欲しくないわよ、といっても聞かないのです。主人はお返しにテニスラケットを頂戴しました。

 ごめんなさい、長くなるので日記の続きはまた明日にします。
ではおやすみなさい。洞爺湖畔のホテルにて。

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注:
サミット会場「ザ・ウィンザーホテル洞爺」はなかなか数奇な運命を持つホテルである(現在も営業中です)。
1993年、会員制の高級ホテル「エイペックス洞爺」として完成。イタリア産の大理石張りのロビーなど贅を尽くした建物は建設費700億円、“バブルの殿堂”と言われた。
しかしバブルが崩壊し、1998年に出資元の北海道拓殖銀行が経営破綻。そこで2000年にセコムが建物と土地セットで60億円で買い叩き、施設を改装してザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパと名前を変え、2002年6月に営業を再開した。(奥様が「ごちゃごちゃしたシャンデリアがスマートになっていた」とおっしゃっているのはそのあたりのこと)
こうした経緯と事情を汲んで(財界の某要人から頼まれて)安倍首相がサミット会場に押し込んだ、というわけである。後にセコムは2014年に同ホテルを売却した。その金額は明らかではないが30億円程度と言われている。
※『フグタ社長業務日誌:洞爺湖にて』は、ブログ『tanpopost』に2008年7月9日 付けで掲載したものです。


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