博士課程で「将来と生き方」を考えた時、ちょっと怖くなった話

「学部→修士→博士と、順当に進んできたら、視野がとても狭くなっていたことに気がついて、怖くなった」ということを書いてみた。

私はこれまで、学部→修士→博士と、順当に進んできた。
(訳あってB4の夏に就活をした経験があるが、うまくいかなかったので院進した。)
D2、D3で本格的に就活をして、初めて本気で「将来と生き方」について考えた。

「博士卒になるのだから、研究を続けなければ」
「今までやってきたことを活かさなければ」
「みんな私に期待してくれているのだから、いいところ(大きい企業)に就職しなければ」
就活を始めた当初は、恥ずかしながら、そんなことを考えていた。

研究に対して強い思い入れがなかったために、内定を得られない状況が数ヶ月続いた。
ぶっちゃけ、「このままで大丈夫なんだろうか」と、めちゃくちゃ心配で不安だったし、よく泣いてた。
私がこの状況から脱することができたのは、いろんな人を見たり、話をしたりしたからだと思う。

「今やっていることが全てじゃないよ」と、Xで知り合った方に言われた。
私の趣味の関係で、「仕事はつらいけど、趣味のために頑張ってます」という方をたくさん見た。
大学を中退した昔の友人が、今めちゃくちゃ輝かしく生きている姿を見た。

上に書いた方は全員、アカデミアとは関係ない方々だ。
ここまで研究ばかりしていて、友人も全然いない自分は、強く知っている世界が「アカデミア」だった。

よく考えれば、アカデミアにいる人たちは強い。
「研究が好きで続けたい」という思いがあるから残っている。
もしくは、「行き先が見つからなかったから、なんとなくとりあえず…」で、アカデミアに残っている(ポスドク)。
好きなことを仕事にしていたり、続けてもいいかなと思えることをなんとなく仕事にできていたり、そういう人ばかりだ。

博士課程まで進んでアカデミアに触れ続けていると、「やりたいことを仕事にする」「仕事ではこれまでやってきたことを活かす」というのが当たり前、という感覚に陥る。
自分もこういう感覚になっていて、どんどん視野が狭くなっていった。

実際、その必要はないと思う。
向いていないと思ったら、それを打ち切って、新しいことをやればいい。
学位はなくても生きていける。
仕事はつらいけど我慢して、その分、趣味に全力を尽くす生き方をしたっていい。
"やりたくないことを仕事にする"のさえ避ければ、なんとかなると思う。
(個人的には、一緒に働く人が大事だと思う。やりたいことだって、周りがクソだったらクソに思えてくるだろうから。)
やりたいことがある、やりたいことを仕事にする(できる)のは、当たり前じゃない。

「研究を続けられない」と思った自分は、正直いうと、アカデミアに関わっている方に今後のことを相談する気が湧かなかった。
特殊な事情で研究を続けてきた。
だから、「どうして続けられないの?」と聞かれても、その理由が答えられない。「研究続けなよ」と説得を試みられても、時間の無駄になる。
こういうのが怖かった。

いろんな人の生き方を知るのは良い。
「この人も苦労したんだな」「この人も自分と同じような道を選んだんだな」というのを知っているだけで、仲間ができたような気分になる。
あと、「自分と同じような道を選んだ人は生きているし、意外と大丈夫なんだな」とも思える。
色々心配な人は、「相談」が難しければ、いろんな方の生き方を見て、視野を広く持って考えてみてほしい。

結局、私は研究活動が活きる業界に進むことになった。
ただし、研究職ではない(研究がメインではなくなる)ので、研究とは違うことに挑戦して、それを身につける必要がある。
新しいことを身につけて、新しいことでも勝負できるようにする。
そうすれば、何かあっても安心かな、と思う。

最後に。
自分でも思っている以上に、私は色々思い詰めていたらしい(たぶん、側からもわかる程度に)。
「それが全てじゃないよ」と言ってくださったフォロワーさんには感謝しかない。
ありがたいですな。





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