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砂利の味も悪くねぇ。2度目のRonde van Vlaanderen Challenge 中編

みなさんこんにちは。
長い冬が明け、少しずつ気温が上がるかと思いきや一瞬だけ暖かくなった後に一気に気温が下がって「話違くない?」と困惑しているKです。
今回は前回同様にロンドファンフラーンデレンチャレンジの話を書きます。
お時間あればお付き合いください。
今回も安定して長文です🤤

⇩前回の話⇩

⇩イベントコース紹介と準備の話⇩


今回の走行ルート

97km地点のゾッテゲムからオーデナールデに突入した180km地点の休憩エリアまでを書く
128km部門は合流後の途中で迂回路へ入る(後述)
142km地点にイベント最初の難関区間のカペルミュールが現れる

とうとう現れやがった

休憩エリアを出発して7kmほど走った104km地点、唐突にあいつが現れます。

みんな大好き石畳です。

この場所は昨年走行していないので初めましての石畳ですね。
とても会いたくなかったです。

まずは約1.5kmの準備体操です。
準備体操とは?と思うくらい視界がアホみたいに揺れます🫨
久々なのでまずは目を慣らしておきます。

ガタガタ揺れまくっていますが人間は案外無事です。
しかし自転車はあんぎゃーしているので内心気が気ではありません。

経験は確実に人を強くする

107km地点、ふと周りを見渡すと走行している参加者が増えている事に気が付きます。
どうやらここら辺から128kmと159km部門の参加者達が合流して来るそうです。

既に90km以上を走行している私達と違って皆さんは元気ですね。

119.5km地点にあるメールセ通りを左折すると唐突に石畳区間が始まります。
先程の区間より凹凸が激しく、追加で下り坂と上り坂の石畳を連続して走行します。
晴れている日でもかなり手こずる区間ですがこの日は雨。
下り坂は加速すると濡れた石畳にハンドルが取られて道の端へと追いやられます。
上り坂ではペダルを踏む力を入れ過ぎると路面が濡れているため後輪が空転してうまく進めません。
立ち漕ぎなんてもっての外です。
そして他部門の参加者が増えた事で道が人で溢れてしまい自分のペースで走行する事ができなくなります
運が悪いと接触して転倒なんて事にもなりかねません。
万が一、前の走者に追いついてしまった場合は危険回避の為に追い抜く事になります。
しかしタイミングを間違えると同じ様に前の走者を抜かそうと側面へズレた参加者と接触してとんでもない事になります。
もちろん両側には柵が設置されていないため接触してしまった場合は愉快にコースアウトです。
このパターンでコースアウトする人が意外と多いです(運営は楽しんでいるのか対策は取らない)
距離は約2km。
地味に長いです。

永遠と続く石畳
パリルーベの時と違って下り坂の石畳が現れるため危険度は非常に高くなる

K『この感覚、久しぶり』

山上り同様に石畳走行は経験の差がもろに出ます。
私は昨年、フランスで嫌ってほど石畳を走りましたからね。
これくらいなら苦になりません。
感覚で言うと★2と★3の間でしょうか(石畳が有名なイベントでは★1から★5までのランク付けがされている。★1は慣れると舗装路で★5はセルフ震度6強)

皆さんならどうやって走りますか?

実は石畳の走行の仕方は意外と簡単なんです。

覚悟を決めたら何も考えずに突っ込みましょう。

慎重に走行しようとすると逆にバランスが崩れて危ないんですよ。
しかし、走り慣れていない人に「覚悟決めて(石畳に)突っ込めよ」なんて言っても「そんな無茶な」って話になってしまいます。
他に方法がないので皆さんも参加した際には覚えておいてください。

と言うことで他の参加者達をバンバン抜かしていきます。
接触を避ける為に抜かす際にはひたすら声掛けをします。
もちろんフランス語やオランダ語は分からないので日本語で声掛けをします。
他の参加者からしたら謎の言語で大声を出しながら走行しているヤバいやつに見えた事でしょう。

アホみたいに抜かし続けていたところ、何人もの方々から「あいつやべぇよ!」と褒めの言葉をもらいました。

K『みんなとは(経験値が)違うからの』

あっという間にその区間を走り切る事ができました。

舗装路に入ると思わず一言つぶやきます。

K「あぁ、文明の音がする」

(コンクリートで舗装された道を走行する事による静かな走行音とタイヤの回転音)

この後も続くよ!坂道のオンパレード

この後はしばらく綺麗な舗装路を走行し続けます。
しかし上り坂が幾度となく現れるので結構疲れます。
更に下り坂では横風が邪魔をしてくるのでかなり面倒です。

顔に泥水を浴び続けるとなぜかだんだん楽しくなってくる

常に10人以上の集団で走行していましたが上り坂区間に入る度に減っていきます。
そして前にいる集団を吸収しては再び走行、そして上り坂でついて来れない人たちを篩(ふるい)に落としていきます。
もちろん私は集団の先頭を一切引きません(ずっと後ろです)
皆さん自分の事で精一杯なので後ろに張り付かれていても気にする暇がないんですよ。

そしてたまに一瞬だけ現れる石畳。
上り坂がなくなり『ようやく休める』と思っていたタイミングで現れるので結構イラっとします。
これが何度も続くとぶつける宛てのない怒りが徐々に湧いてきます。
この怒り、誰にぶつけましょうか?

K「後で覚えてろよ、パトラッシュ🐶」

とりあえずパトラッシュさんにぶつけておきました。

いい迷惑です。

いつ来る?1発目

いつの間にか周りにいる参加者が一気に減った142km地点(128km部門の参加者は131km地点にて別ルートを走行、161km地点でまた合流する事になる)ヘラールツベルヘンという町に入ります。
綺麗な町中を走行する事になりますが徐々に上り坂が増えていきます。

町中に石畳の上り坂を用意するのは本当にやめてほしいです。

そしてこの町並みは見覚えがあります。

K『そろそろ来るかな?確か教会を曲がったら…』

昨年は教会の前を走行してから難所区間が始まりました。
しかし今回はいつまで経っても教会が現れません。
後々知りましたが今年のコースは昨年と少しだけ違っていたそうです。

それを知らずに教会が現れるのを待ちながら走行をしていたところ、アウデンベルグ通りの看板が目に入りました。

K『あっ、ここからだ』

そしてここからいきなり斜度が上がります。
このイベント最初の難関区間であるカペルミュールの始まりです。

10%以上の斜度と濡れた石畳区間がいきなり始まる。

本気を出すな

昨年はここへ来るまでに足が動かなくなり、この区間で大腿部と脹脛を攣り自転車から降りる羽目になってしまいました。
今年は同じ思いをしないためにも自分に言い聞かせながら走行していました。

K「まだ本気を出すな。まだ全力で(ペダルを)踏むな」

完全に独り言です。

周りから見たら容易に想像する事ができますが、相当ヤバいやつに見えた事でしょう。
しかしそんな事を言っている暇はありません。
昨年の二の舞にならない為にも心の中ではなく口に出して言い聞かせる必要がありました。

K「あと少し、まだ本気を出すな!」

イベントを応援しに来てくれる観客の方々が応援してくれている中でもひたすら1人でぶつぶつ自分に言い聞かせながらペダルを回し続けます。
完全にやばいやつです。
ちなみに、結構な大声です。

そして昨年足をついた場所を少し過ぎた頃です。

観客に向かって大声で「もっと盛り上げてくれ!」とお願いしました。

その瞬間に観客からは大声援です。

斜度が一気に上がる直前の坂道
元プロロードレーサーのファビアン・カンチェラーラさんが座ったまま1400W以上を出して人間を一瞬だけ辞めた場所でもある

人間不思議なもので、応援されるとどこから湧いてくるの?っていう力が湧いてきます
このチャンスを逃してはいけません。

K「今だ!今出せ!今本気出せ!」

他の参加者もその応援に感化されて一斉に本気でペダルを回し始めます(同時に私同様に叫びながらペダルを回していた人多数)
後輪がすごい勢いで空転しますが気にせず一気に上り切ります。
観客は大盛り上がりです。
この時の出力は530Wでした(濡れた石畳で300W以上出すと後輪が空転する)
人間を瞬間的に辞めるのはまたの機会ということで。

去年の失態は今年で返す

昨年の失態を今年はしっかり挽回する事ができた

上り切った参加者達は皆嬉しそうです。
逆に上りきれなかった参加者達は皆悔しそうな顔をしています。
私も去年は同じ顔をしていたのでしょう。

すぐ先に休憩エリアがあるので上り切った参加者達の邪魔になる前にとっとと下山する事にしました。

頂上の後はすぐに下り坂
テレビで見るプロのレースでは意外にも気づかない

休む?戦う?

カペルミュールを通り抜けた143km地点に休憩エリアがあります。
到着した私はすぐに食べ物エリアへ直行しました。
今回はパスタが配られていたようで皆嬉しそうです。

『うまそうだなぁ🤤』と思いながら素通りした

しかし私の目にはバナナコーナーしか写っていません。

超お世話になったバナナや果物コーナー
人生で最もバナナを食べ漁った日になった🍌

K「バナナください🤤🍌」
スタッフのおじいさん「ほら、いっぱい食え🍌」

しかし手袋が外せずバナナの皮が剥けなくて食べられません。

おじいさん「ほら、食え食え🍌」(バナナを剥いてくれた)
K「ありがとうございます🤗」
おじいさん「おっ、いいぞ。もっと食え🍌」
K「ありがとうございます🤗」
おじいさん「まだいけるだろ。もっと食え🍌」
K「も、もう食べれません😖(7個目)

毎回休憩エリアでは別の戦いを強いられています。
結局10本くらい食べる羽目になりました。

いつの間にかイベントの半分

身体が冷えるのですぐに出発せねばなりません。
おじいさんにお礼を言って出発する事にしました。

休憩エリアがあるヘラールツベルヘンを出たらしばらくはのどかな風景を楽しみながらのサイクリングです。
実際は雨が降り続けているので顔面びしょ濡れ、身体泥だらけで優雅さはかけらもありません。
ですが他の参加者も同じ状況なので意外にも楽しいです。
当初の予定では12時には雨が止むとの予報でしたが結局14時半まで降り続けていました。

のどかな風景をずぶ濡れで通り過ぎる
ちょろっと町を抜けて再び同じ風景を繰り返す
疲れているからか、だんだん眠くなる

161km地点にて128km部門の参加者達と再び合流するまでは野原と小さな集落、それとちょっとした上り坂を走行し続けます。

文字通りそれ以外何も書けないくらい何もない道をひたすら走行し続けます。
(なので書く事がありません)
強いて書くとすれば、道中でひたすら私の前を走り続けるお兄さんとたまに私の後ろに現れるシティバイクの方と知り合ったくらいです。
前者のお兄さんとはこの後なん度も一緒に走ることになります(実際はどこから一緒なのかは全く覚えていない)

これは関係ないのね

162km地点にあるファルケンベルグ通りの上り坂で唐突に60m程上らされた後は172km地点のカペッレベルグ通りまではまたものどかな風景を走行します。
本当に書く事がないです(字数がやばいので助かります)
道中でまたも救急車が来たので『えっ、また😨?』と心配になりながら走行していたら全く関係のないところで火事が起きていたそうです。
参加者の事故ではなくてホッとしました(火事も問題ですが)

ようやくここまで来た

179km地点。
アントワープを出発してから7時間が経過していました。
あれだけ降り続けた雨が止み、少しづつ青空が見えてきました。
そしてついにゴール地点がある街、オーデナールデへ辿り着きました。
すぐ横にあるエスコー川の反対側にはゴールゲートがあるミンデルブールデルス通りがあります。
昨年ここに来た際にはボロボロの状態で来る事になってしまいましたが今回はまだ無事です。

昨年参加時、179km地点の橋の下で誰かが「ここ渡ったらゴールだよ」と悪魔の囁きをしていた

K「ようやくここまで来たか。後少しで休憩だ」

そこから数km先の180km地点に休憩エリアがあります。

大量の自転車達が横たわっている休憩所
盗まれないのかと毎回不安になる

次のステージへ

ここの休憩エリアでは74km、128km、159km、そして私達234kmと全ての部門の参加者達が集まります。
短い距離の人たちは楽しそうで羨ましいです(僻んでいるわけではありません)
ここでもバナナをアホみたいに食べました。
横の参加者はドン引きです。
腹は減るんだから仕方があるまい。

横のおじさんも負けじとバナナとオレンジを食べまくっていました(腹壊すから対抗すんな)

ほとんど疲れを感じていないと思っていましたが、脚はしっかりと疲れていたようで…地べたに座って脚をほぐしていました。
その際にスタッフの方から声をかけられました。

スタッフのおじさん「お前さんは何km(部門)だい?」
K「234kmです」
おじさん「よくここまで来たな。ここからキツいぞ😁」
K「去年も来ていますからね。存じております👍」
おじさん「去年も来てんのか。イカれてんなぁ(笑)
K「ありがとうございます(笑)」

疲れた時に人と話すと疲労が和らいだ気がします。

おじさん「もう雨は降らないらしいからな。頑張れよ」
K「ありがとうございます。ゴール地点では会えますか?」
おじさん「あと数時間したら向かうよ。会えたら後で会おうな」
K「はい!」

短い時間ではありましたがおじさんとの会話を楽しんだ私は再び出発する事にしました。

K『ここからがイベント本番だ。頑張ろう』


次に向けて

今回もここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
この記事を投稿する時には既に5月に突入しておりイベント参加から1ヶ月以上が経過してしまっています。
ですがイベント内容がとても濃かったので今でもしっかり覚えています。

昨年脚をつかされたカペルミュールでは対策を立てて上りきる事ができました。
経験は間違いなく自分を強くすると言うのを今回のイベントでとても実感しました。

次回はこのイベント最大の難所であるコッペンベルグから書き始めます。

なるべく早めに投稿するよう努力しますので、もしお時間ある方や少しでも楽しみにしてくれる方がいれば幸いです。

ではでは🖐️

休憩エリアで配られるジェル
超不味くて飲んでられない
頑張って飲むけどやっぱり不味かった
おすすめはしない

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