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CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)についてまとめてみました

語学学習、特にヨーロッパ系の言語を勉強しているとよく目にするCEFR。自分も頻繁に調べてしまうので、今回は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)についてまとめてみました。ちなみにCEFRはセファールと読むらしいです。

CEFRとは?

定義はブリティッシュ・カウンシルのHPから引用します。

「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR: Common European Framework of Reference for Languages)」は、言語の枠や国境を越えて、外国語の運用能力を同一の基準で測ることが出来る国際標準です。
CEFRは、学習者、教授する者及び評価者が、外国語の熟達度を同一の基準で判断しながら、学び、教え、評価できるように開発されました。CEFRの等級はA1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階に分かれており、その言語を使って「具体的に何ができるか」という形で言語力を表す「can-do descriptor」を用いて分かりやすく示しています。2020年改訂の学習指導要領においてもCEFRについて言及されています。
外国語の熟達度を表すCEFRの等級には、コミュニケーションの状況や話題、人が行う行為、目的に関する分析のほか、コミュニケーションに用いられる能力について等級別の解説も記載されています。そのため、単に言語の熟達度を示すことに留まらず、教員研修や、教育課程の改革、教材開発等においてCEFRがますます用いられていると考えられます。
CEFRは欧州評議会(®Council of Europe)によって、20年以上にわたる研究と実証実験の末に開発され、2001年に公開されました。現在では日本語を含む40言語で参照枠が提供されています。また、CEFRは言語資格を承認する根拠にもなるため、国境や言語の枠を越えて、教育や就労の流動性を促進することにも役立っています。

ブリティッシュ・カウンシル

…とのことです。

要は、さまざまな外国語能力を同じ基準で測ろうとした試みで、その基準は、初級から上級までの6段階(A1、A2、B1、B2、C1、C2)に分かれていて、その言語を用いて具体的に何ができるかを示したもの。現在はヨーロッパ言語以外にも参照枠があるのこと。このような基準があることにより、例えば、英語はB2レベルだけど、フランス語はA2レベルなどと同じ基準で客観的に示すことにより、自分だけでなく、他人にも言語のレベルを理解してもらうことができます。

以下に6段階(A1、A2、B1、B2、C1、C2)を示します。
こちらもブリティッシュ・カウンシルから引用です。

初級(A1とA2) Basic 基礎段階の言語使用者  最初の200時間

初級とはいえ、A1、A2までになるまでは結構なハードルです。日本で英語の授業受けてきても、ここまで到達できるのは難しいかもと思ったりします。
初学者がA1レベルに達するまでにかかる目安の時間は100〜200時間と言われています。ただし、ヨーロッパ言語のネイティブでない人にとってはもう少し時間がかかりそうな気がします。A2まででさらに100〜200時間だそうです。

言語によって異なるかもしれませんが、語学学習アプリDuolingoでいうとセクション3終了のあたりがA1レベルと言われています。英語でフランス語やスペイン語を勉強すると明確にCEFRレベルが併記されています。

A1
具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる。自分や他人を紹介することができ、住んでいるところや、誰と知り合いであるか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりすることができる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助けが得られるならば、簡単なやり取りをすることができる。

A2
ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる。

中級(B1とB2) Independent 自立した言語使用者 さらに200〜400時間!

ビジネスレベルはCEFR中級からと言われるけれども、B1でビジネスは厳しいと思います。せめてB2レベルはほしいところです。海外の大学によってはB2レベルで入学できるところもあるみたいです。

B1

仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる。

B2
自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。

上級(C1とC2) Proficient 熟達した言語使用者 1000時間!

Cクラスは大学院進学レベル。英国の大学院はC1以上(IELTS 7.0)が求められるところが多いです。アメリカの大学院のことは知らないけど。ほとんどの仕事や進学ならC2までは目指さなくてもいいと思います。C1まで到達するのに800時間や1,000時間と言われています。

C1
いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の詳細な文章を作ることができる。

C2
聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる。

どうやって自分のCEFRを知ることができるのか?

CEFRの試験というのはそもそもありませんが、CEFRは、具体的に何ができるか?に重点を置いた基準なので、単純に読み書きだけではダメで、言語の4つの要素である「聞く(リスニング)」「話す(スピーキング)」「読む(リーディング)」「書く(ライティング)」によって評価されるようです。

英語では後述しますが、例えばフランス語やスペイン語では、それぞれDELFとかDALEなどのレベルごとの試験があって、A2のための試験、B1のための試験などに分かれています。英検と同じように落ちると一発アウトです。この辺は点数で出るTOEICとは違うところです。
フランス語にはTOEICのような点数で評価されるTCF(というのがあり、自分のレベルがわからなかったので、これを受けたことがあります。当時でA2からB1のあいだくらいでした。そのためB1を受けていればきっと落ちていたと思います。

最近ではコンピュータベースのTCFがあるみたいです。

英語のCEFRはどうなっているのか?

国内や海外では英語にはさまざまな試験があります。

英検も含めて、英語の資格試験の違いというのは、きっとプロレスの団体やお茶やお花の流派の違いのようなもので、各団体がそれぞれの語学試験とその基準を設けています。文部科学省はこれらの英語の試験の結果とCEPRの目安をまとめてくれています。ケンブリッジ英語検定とかTEAPとか聞いたことないけど。

これを見ると、IELTS4.0〜5.0でB1、IELTS5.5〜6.5でB2、IELTS7.0-8.0がC1である一方、日本の英検は、1級がB2〜C1相当、準1級がB1〜B2相当と同じ級数でもCEFRのレベルにかなり幅があるように見えます。なので、1級でもB2レベルの学習者もいれば、C1レベルの人もいることになります。

TOEICは以前はリスニングとリーディングだけでしたが、これだけでは英語の4要素を測ることができないため、最近ではスピーキングとライティングの試験もあります。自分も以前に受けたことがあります。
たまに英語系のYouTuberでTOEIC900点や990点と言ってる人もいるけど、この900点や990点はリスニングとリーディング(L&R)の点数です。

各資格・検定試験とCEFRとの対照表(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/091/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2018/07/27/1407616_003.pdf

試験については、どれを選んでも間違いじゃないけど、履歴書に書きたければ、相手側が理解してくれる団体の試験を受けなければいけないです。
海外の企業に就職したいのに、英検を履歴書に出しても誰も見てくれないし、英国の大学院に英検の結果がどれだけよくても受け付けてくれないです。

国内の地域によっては、高校入学の際に事前に英検2級以上で、入試当日の英語の試験を免除するようなところがあるみたいです。(子どもには、英検よりもグローバルに通じるIELTS受けてほしいなあと言って、いつも家族内で口論になっています…自分以外の家族は昔ながらの英検派なので。)

英語については、以前はTOEIC推しでしたが、英語の4つの要素のことを考慮すると、自分としてはIELTSがおすすめです。値段は結構するけど、だいたい毎月試験が開催されているし、対策本もあるし、前述した「聞く(リスニング)」「話す(スピーキング)」「読む(リーディング)」「書く(ライティング)」の試験が1日で終わります。点数で結果がわかるので、何より落ちる落ちないがない。
CEFRと比較するのも難しくなく、IELTSは履歴書から進学まで幅広く使えます。自分は受けたことがないのですが、もちろんTOEFLでもいいです。

最近はDuolingo TestというDuolingoが提供している試験があり、受験料も安く、自宅で1時間程度で受けられるし、最近は多くの大学がDuolingo testを採用しています。

中国語はどうなっている?

中国語の検定試験には中国政府が運営しているHSKや日本の中検があります。

HSKはホームページ上にCEFRとの比較があって、HSKの試験ごとにCEFRに該当するレベルが記載されています。HSK1級でA1レベル、HSK6級でC2レベルのようです。
自分はHSK推し。中国語検定は4級がHSK3級相当のため結構レベルが高いです。HSK2級暗いから始めてみて自信つけるのがいいと思います。履歴書には書きづらいかもしれないけど、HSK2級なら独学でも1〜2ヶ月でなんとかなります。

まとめ

今回は言語能力を客観的に測る基準であるCEFRについてまとめてみました。
また調べてアップデートしようと思います。

CEFRのレベルはあくまで目安です。自分も中国語はHSK3級を合格していますが、だからといってB1レベルかと言われると自信はありません。しかし自分のある程度の目安や学習レベルを知るためにも言語の資格試験は便利です。

資格試験のおすすめは、その国が出している検定試験を受けることや、CEFRのレベルが明確に示されているものを使って学んで行くことが最も便利でコスパも良いと思います。
しかしながら、TOEICやIELTSのように毎月受験できるものもあれば、そうでない試験もあるので、その試験の受けやすさや、学習する教材などの有無の準備のしやすさで決めればいいと思います。
また気になった言語の試験について受けてみたいなと思ったら、まずはCEFRで測れるか、その国の政府オフィシャルの検定試験があるかをチェックしてみてもいいと思います。

語学アプリのBusuuは言語によってはCEFRレベルごとの試験があるので、モチベーションと目安になります。またDuolingoセクション3終了のあたりがA1レベルと言われています。英語でフランス語やスペイン語を勉強すると明確にCEFRレベルが併記されています。セクション3終了までも結構大変です。
Duolingoの言語コースを全部終了したくらいがB2レベルと言われていて、実際にはそれ以上の能力を習得できるのではという結果もあるようです。あと、Duolingoは英語を使って他の言語を勉強することがおすすめです。言語の数とコースの数が多くなります。

自分はBusuuとDuolingoやCourseraを使っていくつかの言語を毎日少しずつ勉強しています。今年は文字から学ばないといけないロシア語とアラビア語に挑戦しようと思っていて、去年末から始めたロシア語がようやくA1レベルの6割になりつつあります。

でもキリル文字って難しいです。

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