記憶のふたを開く音楽の話について書きます。

ふだんは忘れてるのに、一瞬でその情景まで鮮やかに思い出してしまう、そんな特別な曲はありませんか？その出来事と曲が強く結びつき記憶されてしまうような。そういえばあの時この歌が流れていたっけ。そんな音楽の話。

でも我が家の場合はちょっと変わってるかもしれません。

披露宴の思い出

もうずっと昔の話になりますが、結婚披露宴で流す音楽について、決める場面がありました。式場にお任せすることもできるけど、せっかくなら自分たちで決めたい。どんな音楽が私たちに相応しいだろうか。

アットホームな感じで楽しい披露宴にしたいというのが２人の希望でした。彼女の雰囲気を考えると、おしゃれというより可愛らしい感じの披露宴のほうがよさそうです。そういう場に相応しい音楽ってなんだろう。できれば流行歌ではなく、いつの時代でも流れるスタンダードな曲がいい。それでいて披露宴で流す曲には統一感を持たせたい。でもそれって何だ？

なにか自分でハードルを上げている気がしましたが、これは！というものを思いつきました。

私がピッタリだなと思ったのが、ディズニーの映画音楽。みんなが知ってる名曲がたくさんあります。披露宴の進行に合わせてその場面に相応しい曲を選ぶことだって可能です。その曲に込められたメッセージをくみ取ってくれる人がいるかもしれない。ディズニーの映画音楽なら同じ曲でもいろんなアレンジがあって選択肢が多いのも魅力でした。

なによりも、これから先ずっと古びないエバーグリーンな曲たちです。
そこに一番惹かれました。

いつかその曲たちが、披露宴を思い出すきっかけになるかもしれない。
星に願うように、ディズニーに願いを込めてみました。

あの夏の思い出

これもだいぶ前の話です。今から５年前、我が家は群馬県の高崎に住んでました。仕事の関係で２年間だけ九州を離れて北関東にいたことがあります。

３年程度で九州に戻れる見通しだったので、北関東に留学したつもりであちこち見て回ろうよと、なかば強引に誘って家族で引越しました。

そう約束して家族を連れてきたので、仕事は忙しかったけど、休みが取れた日には家族を連れてドライブに出掛けました。高崎は交通の便が良いので、２時間程度あればたいていのところには行けました。東京はもちろん川越、軽井沢、安曇野などなど。あの２年間は我が家にとって忘れられない特別な時間になりました。

そんなドライブで流していたのが、サザンオールスターズ。ある時サザンのアルバムを最初から順番に聴いてみたくなって、夏のあいだずっとドライブミュージックにしてました。みんなは他の曲を聴きたかったかもしれないけど、運転するのは私なのでそこは大目にということで。

思いつきで始めたことだけど、このとき出掛けた楽しい記憶とサザンの曲が一緒になって、家族の思い出になればいいなとも思っていました。

私以外の家族はふだんサザンを聴かないけど、いつか何処かでサザンの曲を耳にした時、あの夏のことを思い出してくれたらいいなと思ったのです。

受験の思い出

子供の受験直前に親はどんなスタンスで臨めばいいのか、正解がないだけに難しい問題です。不用意にかけた言葉が本番で良くない影響を及ぼさないだろうかと考え始めると何も出来なくなります。でも背中は押してあげたい。

私はいつも決まって受験に向かう子供を送り出す朝、ビートルズの曲を流すようにしてます。これは長男の中学受験から始まって高校受験、大学受験、そして次男の受験の時もずっと同じようにしています。

最初の受験がうまくいったから縁起担ぎのように続けてるけど、もしかしたら子供にとっても前回の成功体験を思い出せるきっかけになるかもしれないと思って。そういえば３年前の受験もこんな感じだったな、あの時は大丈夫だったな、なんて思い出してくれることを密かに期待してる自分がいます。

なによりビートルズの曲を聴くことで、親がこうやって応援してることを、言葉は交わさなくても、子供は感じ取ってくれてるような気がして、勝手な自己満足だけど、ビートルズの曲で送り出してます。

いつか子供たちに聞いてみたい。この企みに気づいてた？って。
いつもビートルズの曲をかけてたんだよって。

そんなことあったねって昨日のことのように思い出してくれたらうれしい。
それがいい思い出ならもっとうれしい。そうなるといいな。

家族と音楽と

記憶のふたを開く音楽の話について書きました。

「あのとき偶然流れていた曲」ではないのが、我が家のちょっと変わったところです。家族の記憶を呼び戻すツールとしての音楽。そんなフックは意識してつくることもできます。ちょっとした企み。ちょっとしたイタズラ心。

いつその記憶のふたが開くのか、その時のことを考えると楽しくなります。