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粉瘤モラトリアム

遡ること10年前。
大学3年生の春、手術をした。
背中にできたイボ、いわゆる粉瘤の除去の為だ。
粉瘤は痛くも痒くもない。ただスイッチのように突起しているだけ。
しかし聞く所によると脂肪の塊が桃太郎電鉄のミニボンビーだとしたら、粉瘤はボンビーみたいなもので後々厄介になるらしい。
それで怖くなって皮膚科にて手術を決意したのである。
当時自分はアルバイトもせず、親からの仕送りでひたすら春休みを満喫していた。毎日午前中に皮膚科に行くのが唯一のルーティンワーク。
まさしく、穀潰しの暇潰しのイボ潰し。
潰し三拍子そろい踏みであった。

あれから10年。
またしても粉瘤ができている。次は肩にできている。
7年勤めた会社を辞めようと決意した頃にできていることに気付いた。てっきり人生で一度ぐらいのもんだと思っていたから、まさか二度目があるなんて驚きである。
バックトゥザフューチャーの新しい円盤が発売されるぐらい驚いた。(さして驚いていない)
そして今年の1月末で退職したので無職期間中に手術しようと思っていた。
しかしそれから約4ヶ月経った今、まだ手術をしていない。
ちなみに再就職はした。
皮膚科に行く暇が無くなってしまう。
粉瘤を除去するには大学時代の春休みぐらい暇が無いとダメなのに…と勝手に思っている。
しかし痛くも痒くもないから、有っても何も感じない。そして無職期間中、皮膚科に行くのが段々と面倒になり遠のいてしまったのだ。
でもまずい。
ボンビーはキングボンビーになる可能性だってある。
キングボンビーになる前に早く除去しなければいけない。しかし、別に粉瘤は他の人になすりつけるわけではないので桃鉄の例えはこれで終わり。
おそらくきっと今年中には手術する。たぶん。

人生2度目の粉瘤。
1度目は20才、2度目は30才。
これは何の因果なのか?
何も無いとは思うけど、とりあえず、
再就職して穀潰しでもないし、暇でもないし。
10年経って三拍子揃ってはないから良しとしよう。

おわり

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