チャミ

だいたいチャミと呼ばれています。子どもにはチャンと呼ばれています。湖の近くに暮らしてい…

チャミ

だいたいチャミと呼ばれています。子どもにはチャンと呼ばれています。湖の近くに暮らしています。シングルマザー。

マガジン

  • Re.彼方からの手紙

    マガジンタイトル「彼方からの手紙」はスチャダラパーの曲名です。 幼い頃から生きにくいなあと思いながらもここまでこうしてやってこれた日々に思うこと、生活のすきまに光るもの。 みんなに読んでほしいけどみんなには読んでほしくないような、一人きりの空白な時間に届く手紙のようでありたいです。

  • 覚えている気持ち、忘れないことば 日々の記憶

  • 詩、もしくは詩のようなもの

  • 旅記

    ちょっと遠出した場所でのこと

  • QUANTAリトリート・沖縄

    全てを諦めていた日々の中、突然目の前に現れた「QUANTAリトリート・沖縄」という文字になぜか惹かれ、どうせ諦めるなら最後の足掻きとして思いきってダイブしたことで人生が大きく変わった、その変化や気付きなどを書いています。

記事一覧

ことばの記憶

小学校の、誰もいない放課後の図書室には西日がさしていて、教室がオレンジ色に染まっていた。 校庭から楽しそうに遊ぶ声が聞こえる中で、私はいつも一人で本を読んでいた…

チャミ
18時間前
8

手紙 12.

こんばんは 手紙を書きます こちらは雨ばかり降っています そちらはどうですか

チャミ
2日前
11

彼方からの手紙の前の手紙

過去のnoteを整理していたら見つけた記事。 2021年6月のもの。 今、マガジンで書いている「彼方からの手紙」のことがすでに文中に書いてあって、あぁ私は前から同じことを…

チャミ
5日前
8

子ども

部屋いっぱいに敷いた布団に子どもたちがカエルのように伸びてあちこちになって寝ている。 布団はかけてもかけても蹴り飛ばすしなんなら私だって蹴り飛ばされるし、あーあ…

チャミ
6日前
8

長生きしたい

成虫になる前の蛹の中ってドロドロなんだよと子供に教えてもらったとき、え〜!すごい!どういうこと!?と大騒ぎしたのだけど、今わたしはそのドロドロをリアルに感じてい…

チャミ
6日前
8

薔薇の角砂糖

雨が降っている。 もうすぐ夜中の1時。 子供達の寝息が聞こえている。 雨の音と寝息が暗闇の中でとても静かだ。 今日、お風呂上がりに髪を乾かしていたら白髪を見つけた。…

チャミ
6日前
5

午後

急に眠くなって寝転んで見てた 部屋の植物が静かに生きていた  夢うつつでまた赤ちゃんの泣き声を聞いた 目を閉じていてもすごく白くて眩しかった (ああ、ブラックホール…

チャミ
7日前
4

『の。』

高校生のとき、初めて出来た友だちと高尾山に行った。中高一貫校の学校でどこにも属せなかった私にとっては文字通り本当に初めての友だちだった。 その子が突然、放課後、…

チャミ
7日前
7

好きな文章

好きな文章を読むと、自分の現在地に足が着く。 わたしにははっきりと、読める文章と読めない文書があるから、読めて、さらに好きな文章だと、書いて読ませてくれてありが…

チャミ
7日前
15

8bit

昔付き合っていた人に「チャミの頭は8ビット」と言われたことがある。ゲームが好きな人だった。初代ファミコンのドット絵が可愛くて好きだったので嬉しかったし、好きな人…

チャミ
7日前
10

若林さんと、ちょっと金田くん(仮名)のこと

オードリー若林正恭さんの「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読んでいる。 旅行記なのだけど、すごく良い。 もともと旅行記が好きだし、若林さんと私が同じ世…

チャミ
7日前
9

重なる時間、すれ違う時間

やっとこさシン・エヴァンゲリオン劇場版:IIを見に行ったのだけど、見終わって物語以上に、時の流れと人生の妙と縁について思いを馳せながらエンドロールをじっと見ていた…

チャミ
7日前
8

夢、もののけ姫を観る

「ここは特別な場所だから、通れば分かることがあります」とアナウンスが流れた。 モノレールのような乗り物に乗ってものすごい速さで荒れる海のスレスレや波の中を通り過…

チャミ
7日前
4

草野くん(仮名)のこと

たしか小学校三年生くらいの頃。同じクラスの近所の草野くんは少し言葉が遅かったのか、喋っているのをほとんど聞いたことがなかった。 意思表示とかもあまりない大人しい…

チャミ
7日前
4

愛について

朝、晴れ 全ては愛の問題だと起きがけに思う 愛が問題なのではなくて、全ての問題が愛に直結しているということ 愛がなければ問題は起こらない つまりこの世の事象、何をと…

チャミ
7日前
3

幸福なsurrender

声を出すことの少ない日常の何かのリハビリみたいに文を書く。 年が明けて1週間ほど静かにざわついている感じ。 自分の信じるものを信じるしかない、というと堅苦しく大袈…

チャミ
7日前
3
ことばの記憶

ことばの記憶

小学校の、誰もいない放課後の図書室には西日がさしていて、教室がオレンジ色に染まっていた。
校庭から楽しそうに遊ぶ声が聞こえる中で、私はいつも一人で本を読んでいた。
本を読んでいるときだけが、言いようのない、生きていることの寂しさから逃れることができた。
本の中に、その世界に、そこに綴られた言葉の中に、私の居場所があった。
たとえ恐ろしい広島の戦争の絵本であっても、江戸川乱歩の猟奇的な事件であっても

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手紙 12.

手紙 12.

こんばんは
手紙を書きます
こちらは雨ばかり降っています
そちらはどうですか

彼方からの手紙の前の手紙

彼方からの手紙の前の手紙

過去のnoteを整理していたら見つけた記事。
2021年6月のもの。
今、マガジンで書いている「彼方からの手紙」のことがすでに文中に書いてあって、あぁ私は前から同じことを思っているんだなあと驚いた。

私はずっと、彼方から私に手紙を書いていて、そして私のその先の彼方に手紙を書いている。
ずっと怖くてどこか誤魔化したりかわしたりしていたけれど、もう逃げずにしっかりやろうと思ったので、過去の文章って身

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子ども

子ども

部屋いっぱいに敷いた布団に子どもたちがカエルのように伸びてあちこちになって寝ている。
布団はかけてもかけても蹴り飛ばすしなんなら私だって蹴り飛ばされるし、あーあ!って思うことはたくさんある。
スースーと寝息がそれぞれ聞こえてきて、本当に静かなカエルの合唱のよう。
正直言って全然望んだ未来ではなかったけど、これ以上の幸せは考えられない気もする。
もっとお金があればとかもっと才能があればとかここがハワ

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長生きしたい

長生きしたい

成虫になる前の蛹の中ってドロドロなんだよと子供に教えてもらったとき、え〜!すごい!どういうこと!?と大騒ぎしたのだけど、今わたしはそのドロドロをリアルに感じている。混沌としている。ここ数日で静かにぎゅっと詰まっていた自分の中の何かが一気に動き出して混沌としている。

最近はとにかく頭が回らなくて困っていた。先のことが考えられず予定が立てられない。昨日あたりからやっと先の、と言っても来月くらいの予定

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薔薇の角砂糖

薔薇の角砂糖

雨が降っている。
もうすぐ夜中の1時。
子供達の寝息が聞こえている。
雨の音と寝息が暗闇の中でとても静かだ。

今日、お風呂上がりに髪を乾かしていたら白髪を見つけた。
はるみちゃんは、お母さんの白髪を抜くと1本で10円くれるんだ、と言った。
小学2年生の時、当時はひろこちゃんとかゆきこちゃんとかが名前の主流だった時代にその女の子ははるみちゃんといって、妹もたまこちゃんで、すごく洒落てて良いなあと思

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午後

午後

急に眠くなって寝転んで見てた
部屋の植物が静かに生きていた 
夢うつつでまた赤ちゃんの泣き声を聞いた

目を閉じていてもすごく白くて眩しかった
(ああ、ブラックホールから入ってホワイトホールから出るのだな)

目覚めるともう眩しくはなかったが
やはり何もかもは白いままだった
白の中で黒は安心して眠るだろう
目覚めた赤ちゃんは小さな手のひらを不思議そうに眺めている

『の。』

『の。』

高校生のとき、初めて出来た友だちと高尾山に行った。中高一貫校の学校でどこにも属せなかった私にとっては文字通り本当に初めての友だちだった。
その子が突然、放課後、高尾山に行こうと言った。
私たちの学校は高尾駅から徒歩とバスで30分くらいの山奥にあって、スクールバスのおじさんたちは態度の悪い生徒たちのことを、裏で鴉とか山猿などと呼んでいた。

彼女にどうして山に行きたいのかと尋ねると、猿園があるからそ

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好きな文章

好きな文章

好きな文章を読むと、自分の現在地に足が着く。
わたしにははっきりと、読める文章と読めない文書があるから、読めて、さらに好きな文章だと、書いて読ませてくれてありがとう、という気持ちになる。

上手い文章は上手いなと思う。
好きな文章は好きだなと思う。
好きな文章は言葉が水のように何の抵抗もなく入ってくるし、浸透する。
上手くてさらに好きな文章はその浸透率がもっとすごくて、わたあめを食べたときみたいな

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8bit

8bit

昔付き合っていた人に「チャミの頭は8ビット」と言われたことがある。ゲームが好きな人だった。初代ファミコンのドット絵が可愛くて好きだったので嬉しかったし、好きな人に言われたから更に嬉しかった。
長く付き合った末の最後の電話で「俺は我慢しすぎた」と言われたことにものすごくショックを受けて自分に心底絶望したわたしは一番の喜びだった「楽しい」や「表現」や「自由」を封印した。今だったらえ?それなんかずるくな

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若林さんと、ちょっと金田くん(仮名)のこと

若林さんと、ちょっと金田くん(仮名)のこと

オードリー若林正恭さんの「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読んでいる。
旅行記なのだけど、すごく良い。
もともと旅行記が好きだし、若林さんと私が同じ世代で空気感が共有できるからかもしれないし、単にタイミングなのかもしれないけれど、久々の読書でこの本を読めたことは今の私にとってすごく大きなことだった。この本すごくいいよ、と誰かに伝えたかった。
伝えたい人が普段ほぼ連絡も取らない大学時代か

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重なる時間、すれ違う時間

重なる時間、すれ違う時間

やっとこさシン・エヴァンゲリオン劇場版:IIを見に行ったのだけど、見終わって物語以上に、時の流れと人生の妙と縁について思いを馳せながらエンドロールをじっと見ていた。
庵野秀明監督が安野モヨコ夫人と出会わなかったらきっとシン・エヴァの結末は違っていたと思うし、そもそも完結したのかも分からない。
誰かが誰かに出会い人生が変わり、それがまた別の誰かの人生を変えていく。決定的に分断されているように見えても

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夢、もののけ姫を観る

夢、もののけ姫を観る

「ここは特別な場所だから、通れば分かることがあります」とアナウンスが流れた。
モノレールのような乗り物に乗ってものすごい速さで荒れる海のスレスレや波の中を通り過ぎ、深い青い水と淡い青い空との隙間をくぐり抜け、やがて芝生の生えた晴れた高台に辿り着き、遠くを見やる。
あんなに大荒れだった海も今は静かに透明に輝いていて、遠くに小さく見えるトンネルの暗い穴の向こうにも、青い水面がキラキラと光っている。

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草野くん(仮名)のこと

草野くん(仮名)のこと

たしか小学校三年生くらいの頃。同じクラスの近所の草野くんは少し言葉が遅かったのか、喋っているのをほとんど聞いたことがなかった。
意思表示とかもあまりない大人しい男の子で、色が白くて髪が茶色くてひょろっとしてて、全体的に色素も印象も薄い男の子だった。
いきさつは全く覚えていないのだけれど、その草野くんの家に友だち何人かで集まったことがあった。
たぶんそのとき同じ班で、何か集まってやる宿題があってとか

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愛について

愛について

朝、晴れ
全ては愛の問題だと起きがけに思う
愛が問題なのではなくて、全ての問題が愛に直結しているということ
愛がなければ問題は起こらない
つまりこの世の事象、何をとっても愛でしかない
空気に似ている
空気は当たり前にある
空気がなかったらみんな死ぬ、生きられない

人はよく愛がないという
でも愛はある
残酷なほど愛しかない
どんな悲惨な出来事にも

一人ぼっちだなと思うことがよくある
だいぶ前に離

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幸福なsurrender

幸福なsurrender

声を出すことの少ない日常の何かのリハビリみたいに文を書く。

年が明けて1週間ほど静かにざわついている感じ。
自分の信じるものを信じるしかない、というと堅苦しく大袈裟な感じがするけれど、もっと軽く確かな感触で、
「頭を捨て去ったところからもう一度始めよう。」
そんな気持ちがしている。

昨年はこれまでわりと仲良くというか頼りにしていたり色々助けてもらった友だちが3人生きながらにして遠のき、かなりシ

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