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閨閥という怖い言葉

ホリエモンがフジテレビ史を語る動画でフジテレビ創業家のお家騒動の参照元としてレコメンドしていた閨閥というノンフィクションはプレミア化していたので、同名タイトルのkindle  unlimitedで関連書籍で現れたこちらの書籍を読んだ。

閨閥という言葉は脈々と現代にも続いている上級国民の婚姻関係からなる支配力の強化手段であり、自由恋愛化した現代庶民の我々からは歴史上の古の観念のように感じてしまうが、この視点から政治家や官僚・大企業の関係性を細かく教えてくれる。特に自民党の歴史における昭和の妖怪たちはこの閨閥を如何に利用してネットワーク争いを行い続けているという事実は他国の歴史物を読むようなスタンスで受け入れると大分面白い。

個人的には「失われた10年」なんて概念というのは日本の成長戦略的な停滞を揶揄しているような自虐的な日本全体のよくなかった時期のように基本は解釈されているのが大多数だろうが、閨閥政治を行なわなかった一旗上げる新興勢力が支配していた状況を閨閥ドップリ側が皮肉的に「(俺らが機能しなかったから)失われた10年」という意味合いで使ってる永田町ジョークをなんだろなと思う。

個人的には現状の日本なんて悪い事なくダラダラしててもいい感じに過ごせているし、こういった上級階級の世界というのは半ばフィクションっぽい世界が現存しているのが凄い。小説吉田学校史観から始まる佐藤栄作や福田赳夫田中角栄などの派閥の親分たちはとにかくバイタリティに溢れているし、自民党に潜り込んでからも元老として権威保持し続けているのはやはり強い.。

閨閥の繋がりを解説するインスタンスな華麗なる一族紹介コンテンツとしても導入としてゴシップ的に楽しめるが、矢はこの本のメインディッシュといいのは自民党の総裁や要職を歴史に流れで全て俯瞰して追えちゃうところである。

あの政治家たちの機動力や金権政治っぷりは本当にダイナミックな大人の喧嘩であり、各々の属する派閥やライバル性を分かりやすく流れで記述されている。各利益団体や地元のほぼ殿様とも揶揄されるような閨閥は権力を維持し続けるためにはみんな粛々と価値を感じさせる。

そしてオールド自民党から理雑した小沢一郎の独立的なスタイルは当時からしても凄い胆力であるし、数年後には民主党として政権奪取まで持って行っちゃってるのはnetflixで是非とも歴史ドキュメンタリー化した方がいいぐらい面白い。

「クラブのDJイベントは客が全員DJ」という内向きモードへの内輪空間を批判する文脈であるが、政治の世界でもそれ強化バージョンなのだと理解出来るし、素敵な権力闘争にはそんな国会というコミュニティの基本がみんなそのような閨閥によって支配し続けていると思うと労働者という存在は選挙に行くぐらいしかできないだろうと思わされてしまう。

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