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"The LEPLI" ARCHIVES-44/ "Dior suspends top designer Galliano after alleged assault,"  プロローグ、「J.ガリアーノ事件」;

文責/平川武治。
初稿/2011年2月27日。

 あのジョン・ガリアーノが、この様なタイトルで今日の新聞を賑わせて
しまった昨夜の出来事。

「彼が住んでいるマレ地区の近所の行きつけのカフェでの一夜の出来事は
今後のJohn Gallianoのデザイナー生命を絶ってしまうのか?」

 なぜ、彼はこのような暴言を吐く行動を街中でとってしまったのか?
 「ここ1年来、彼は会社側との関係性においてビジネス面と契約問題等で
双方間でいろいろ摩擦が在った事実。(これは内部事情に詳しい僕の友人からの話。)従って、何が起っても仕方ない関係性だったこと。
 来週のからのコレクションを前にして創作面でかなりタイトな情況でありそれに車を一人で運転出来ない程の、かなりの飲酒を帯びていたこと。」
 早速、僕の巴里の知人友人に聴くところでは、多くの人が理解出来る原因はこのようなものである。
 
 才能芳醇なクリエーターが既に、20年近くもこのC.Diorブランドの
クチュールライン、プレタポルテラインそれに自分のブランド“J・Galliano"
のオムとファムのデザイン活動を行って来た事による行き詰まりと、
それによる精神的限界点ギリギリであった事も大きな要因であろう。 
 やはり、一人のデザイナーが自分のクリエーションを20年近くも継続させるという現実は当事者でないと解らない情況を肉体的、精神的に迎えていたのであろう。
 彼の騒動が”ユダヤ人”発言であった事が事を大きくしたのであろうか?
若いカップルの男の方はアジア系であった。その彼へも暴言を吐いているがJohnをよく知っているのもの間では決して、昨夜の行動や発言が警察沙汰になるまでの特別ではなかったと言う。
そして、いつものようにボディーガードも居たとも言う。 
 場所が悪かったのか?それとも仕組まれた事件なのか?
この彼の暴言行動とその後の警察沙汰によって、Johnは一晩、所轄の警察の留置場に留置されてしまった。一度は自宅に帰宅したJohnはその後、警察沙汰になって大きくなる。
 
 そして、当然のようにDiorの会社側は遺憾声明と共に、そのような人種差別をするような人間はと、一時的処分を発表している。 
  『ディオールのシドニー・トレダノ最高経営責任者(CEO)は声明で、
「ディオールは、反ユダヤ的または人種差別的な発言や態度を一切容認しないことを最大限の断固とした態度で宣言する」と述べ、「聴取の結果が明らかになるまで、C・ディオール社はジョン・ガリアーノ氏を全職務から一時的に外した」と発表した。』
 参考/http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2787491/6871254
 

 来週のロダン美術館でのC.Diorのコレクションは中止という噂が既に
飛び、次期デザイナーが誰か?ウイメンズをデザインしたがっていた
H.スリマンか? かつて、Johnのところで働いた事があるH.アッカーマン、それとも、もっと若い????

 これからミラノを終えたファッション関係者たちが月曜日には挙って、
この街ヘ入る。多くのファッション雀たちにとっては、これは恰好の
ブログネタでも在る。
 そう思えば、この会社が以前、他のブランド、L.V.のデザイナー起用の
際も、ジバンシーのデザイナー起用時もコレクション時期を狙っての
リップサーヴィスを行なって来た事を思い出す。
 それなりのエピソードが総て、効率よい宣伝効果を伴う事を熟知している
強かな企業であることを忘れてはいけない。

 若し、これでJohnのデザイナー生命が絶たれ、新たなデザイナーを起用すると考えるとやはり、若手ゲイデザイナーでイギリス国籍のデザイナーになる可能性が考えられる。
 このての企業が若手を起用する事は契約金がセイブ出来る。
ゲイは顧客である女性に手を出さない。そして、イギリス系によって、
イギリスにおけるファッション産業の新たなモチベーションが生まれるなどこのレベルの企業ではこような論理が考えられる。
 この企業ブランドで、彼、Johnが起用された時、A.マックイーンが起用
された時、D.マックドナルドが起用された時等、不思議とこの企業のメゾンには、このような倫敦との過去事例があった。
 
 さて、余談になってしまったが、これからの情況変化をもう少し、深く
読み取れば、彼らたちがどのような目論見が在って、此の様な解り易い
アクシデントが起ったかが読めるであろう。

 当事者であるJohnは?
しかし、このような場合、ポリテカルパワーと資本家が勝つと
決まっているのだろうか?

僕は好きなデザイナーである。
Johnに女神が!!
文責/平川武治 
初稿/平成23年02月26日/St.-Cloud:

参考サイト/
http://www.europe1.fr/Faits-divers/Galliano-suspendu-pour-des-propos-antisemites-428983/

http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5gSSBKJwar65dIXGf00YcmVel6Yog?docId=CNG.5070f1af6a625f70754f1da08c8ccd87.01

http://www.sify.com/news/dior-suspends-galliano-after-anti-semitic-remarks-news-international-lc0t4jjeaab.html

追記/2022年11月11日記。
 この、あえて言って仕舞えば、「仕組まれた事件」後、J.ガリアーノは
C .Diorブランドのクチュールもプレタラインもそして、彼自らのJ.G.ブランドからも消されてしまい、事件後の1ヶ月後にはアリゾナの精神病院へ
収監され、6月のメンズコレクション時には一時、パリへ戻って来たが
この街のファッション界へは戻らなかった。
 そして、次にジョンがファッション界へ現れたのはミラノであった。
ディーゼル社の”マルタン マルジェラ”ブランドのデザイナー契約を交わし、
才能と服作りが好きな、彼の良さを思う存分発揮できる自らの新しい
”立居場所”を創造した。
 現在のこのブランドは全く、ジョンの素晴らしさとセンスの良さによって、「ガリアーノのマルタンマルジェラ 」ブランドとして確実に、
新しい”ラグジュアリーブランド”として確立させ、「マルジェラ」ブランドと改名し、発展している。

 片や、C.DIOR社は誰の入れ知恵だったのか想像がつくが、
”エレガンスを知らない”あの、アントワープのストリートボーイであった
ラフ君を起用した。彼の持ち得た”風土”からは程遠い育ちが結局は災いし、彼も色々、この企業がお金を使って、展覧会や映画まで制作しバックアップしたものの3年は持たなかった。
 しかし、ラフ シモンズはその後、彼らをマネージメントするエージェントの機能によって、ラグジュアリーブランドをウロウロすることで、
アントワープでストリートボーイをしていた頃には想像もつかぬ世界を垣間見た結果、それなりの富裕層の仲間入りが出来た。

 先日、そんなラフ君は自分のブランドの廃業宣言を行った。
がこれは彼にとっては2度目である。
 「ベロニックのガールフレンド!」という噂を流したある有名セレクトのもの知り人によって、最初の彼自身が立ち上げたブランドが日本のバイヤーたちにウケ過ぎて、その後のコントロールが出来ないと中座した。
その経験から彼は、”他力本願”で自分をうまく売り込む手法を知り始めた。しかし、ここにはそんな彼をバックアップし、自分たちも儲けるという構造を仕組んだ輩たちもいる。この辺りが、やはり、「ユダヤ民族」の人たちの
”商売上手”差であり、強かさである。
 今回、彼自らのブランドの廃業には、先のLVMH社との絡みの後遺症が、やっと、それぞれが納得(?)する形で解決したと読む出来事でしかない。
 この解決で言えば、もう彼は自分の名前でのブランドを持つことができない状況になってしまったのだ。もし、今後ラフ君が継続したければ、自分の名前の「ラフ シモンズ」ブランド商標を買い戻さなければならないからだ。


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