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早朝のヘルシンキにて

 早朝四時のヘルシンキ・ヴァンダー空港は閑散としていて、入国審査も行列に並ぶことなく通過できた。外は真っ暗。少し寒しい気持ちにもなったが、いや、むしろ贅沢じゃないかともう一人の僕が言う。旅先では前向きな気持ちの方が前面に出てくる気がして良い。  Exitの自動扉を抜け、僕はついに四年ぶりにフィンランドへ入国した。空港には中庭を模したような装飾が施され、先ほどとはうってかわって多くの人がベンチを埋め尽くしている。  まずは荷物の整理をしようと思い、僕は空港の片隅でスーツケースを

    • いざ搭乗

       遠くの街へ出かける時に聴く音楽はいつもくるりの「ハイウェイ」。18歳の時に青春18きっぷを片手に米原行きの新快速に乗った時もこの曲を聴いていた。そして今回も。いつの時代も僕には旅に出る理由が大体100個くらいあるのである。  さて、予定より少し遅れて到着した羽田空港は様々な国の人で溢れかえっており、まさに年末年始。保安検査場も人人人。やはり国際線の検査はより厳しいもので、「靴は脱いでください!はいもう一度!」「上着は脱いでください!」「トレーは下から取ってください!」。当た

      • 旅の準備

         旅の準備が苦手である。自分では得意と思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。  出来るだけ身軽にという理想を掲げているのに、なぜか行く前から荷物がいっぱいである。あれがなくては心配。これがなくては不安。何かあった時のために。そんな気持ちだけが先立ってスーツケースは出発の時からすでにパンパンに膨れ上がっている。  今回のヘルシンキ旅行もそうだ。真冬のヘルシンキ。雪国で生まれ育ったわけでもない僕はとにかく寒さだけが心配で、事前に沢山の防寒グッズを用意していた。雪の上を歩く

      早朝のヘルシンキにて