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【読書感想文】ナースの卯月に視えるもの

Amazonへ投稿したレビューをまず転載します。

【これは慈愛の物語】
 タイトルだけを読むと「ちょっとホラーかしら」と警戒してしまいました。良い意味で騙された気分です。だって卯月に視えるのは「優しい心が生み出す優しい世界」なのですから。その優しさを受信して卯月が動き出し物語が展開していきます。

 看護の現場を緻密に心情豊かに描く「お仕事の場面」と日常的な「お食事の場面」を切り替えながら、主人公や同僚、患者など登場人物たちの生活、生命の活動の物語です。
 病も死も悪い事、苦しいことだけではなく、そこに在ることを受け入れた時、主人公の目を通じて作者の慈愛に満ちて視える世界を共有させていただいた気もします。
 
 どう生きるかは、どう死ぬかというゴールに向かうことが必然とも言えると思います。ゴールを直前に迎えた患者さんを前に、私たちはどう生きるかを作者から問われているのかもしれません。

 そして読後には、作者から贈られた人間讃歌のエール「人間って、生きるって素晴らしい」の余韻を感じました。 これは優しさ溢れる作者と登場人物が醸し出す「慈愛の物語」。 全ての生きる方に読んでいただきたい作品でした。
(Amazonレビューここまで)

 レビューが反映されるまで時間がかかりますが、先ほどこの内容で投稿しました。短い感想で、かつよそ行きな文体ですので、ここからは「駄文屋モード」で、いつもどおりに読書感想文を投稿したいと思います。なお、ネタバレはしませんので安心してお読みください。

(以下、note用感想文)
 いやー--っ、凄い作品を読ませていただきました。デビュー作ということで固さというか生真面目さも感じる印象ですが、ほんと凄く善い作品を読ませていただき感謝です。

 「視えるもの」ですから幽鬼的な作品を警戒したのですが全くの見当違いでした。
 「創作大賞2023」にエントリーした原作を読んでいませんでしたので初見でしたが、物語の持つリアルな世界観に引きずり込まれました。お仕事部分の重さと生活部門の明るさがとても良いコントラストを生み、また、作者の看護師経験を活かした「お仕事編のリアル」がとても楽しかったです。

 特にマニアな楽しみとしては「夜勤明け」の描写です、私も若い時に「泊 明け 日勤」の「三交代勤務」を経験していますので、その時の心と体の変化が実に懐かしく「夜勤あるある」を楽しませていただきました。
 また病気や看護に関する場面も実にリアルで上手な描写をされておりますので、ある程度の知識や経験がある方には「そうそう」という共感を生み、そうでない方には「へぇー、そうなんだぁ」という知的好奇心を刺激されるのではないかと思います。

 少しミステリー仕立てで、主人公と患者や同僚、周囲の方々との交流をしながら、主人公の成長と心の修復がされていく姿は「優しさ」を越えた「慈愛」、作者が持つ観音菩薩のような視線を意識させられました。
 病も老も生も全てを受け入れて『天上天下唯我独尊』であり世界は『色即是空』であるということかもしれません。

 まぁ、そんなインテリぶったネタはさておき、とにかく「面白い」のです。特級品のエンタメ小説に仕上げられているのです。
 脱帽も脱毛も超えて脱衣して、全力裸待機したくなるような作品です。
 読ませていただきありがとうございました。

 ちょっと耳にした話として、元々二万数千字の話を出版にあたり短期間に十ニ万字越えにしたそうです。元々の字数の作品から、作品の持つ魅力を見出した審査員、出版スタッフ、そして商業出版に向け数倍の字数に改稿した作者にも脱(帽毛衣)です。
 ということで冒頭、こう書きました「幽鬼的な作品を警戒」。
 幽鬼的ではありませんでしたが、生きる勇気をいただける作品であり、優しさや希望という優希を抱くことができる素晴らしい作品だと感じております。
 締めにレビューの言葉を繰り返すという、筆力の無さをお赦しください。

『読後には、作者から贈られた人間讃歌のエール「人間って、生きるって素晴らしい」の余韻を感じました。 これは優しさ溢れる作者と登場人物が醸し出す「慈愛の物語」。 全ての生きる方に読んでいただきたい作品でした。』

 なお、実は作者の「秋谷りんこさん」と昨日からnoteで相互フォロワーにさせていただきました。大変有難く恐縮なことです。なので、もしかしたらこの投稿をお読みくださるかもしれません。
 秋谷りんこさんや出版社の方から「苦情・削除依頼」が来た場合は、本稿は予告なく削除いたしますので、あらかじめ御了承ください。そして
#何を書いても最後は宣伝
(秋谷さんもnoteのトークイベントで「とにかく宣伝」と仰っていました)

 福島太郎は創作大賞に応募しています。秋谷さんの作品とは「月とスッポンポン」ですが、応援いただきますようお願いします(よし、ここで全力裸待機ネタを回収完了)。こちらの「銀山町 妖精綺譚」と「会津ワイン黎明綺譚」です。

 ぶっちゃけ申し上げますが、「スキ」「感想文」などで応援していただけると嬉しいです。そうしますと
『福島太郎だぁ。あの人がクリエイターが無名で、noteで「何を書いても最後は宣伝」とか馬鹿なタグをつけている頃から、リアルタイムで応援し続けてるんだよぉぉぉぉぉ』
と後年自慢できるかもしれません。それを目指して精進します。
 もちろん何も自慢できなかったとしても責任はとれません。

 なお、福島太郎は5月19日に開催される「文学フリマ東京38」に出店します。リアルで交流していただけることを楽しみにしています。
「銀山町 妖精綺譚」の紙書籍と無料配布のコンテンツを持参します。無配だけでも受け取っていただけると嬉しいです。
 

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サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。  皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。