見出し画像

考察『推し、燃ゆ』・家族に見捨てられる子

帯には、TikTok世代の
キャッチャーインザライだと銘打ってあった

ちなみに吾輩はキャッチャーインザライ読んだことはない

推し文化

強く勧められて読んだけど
吾輩は推し文化に馴染みがなく
推しとはいったいなんなんだろうという
解釈からはじめて
ほんの少しの共感も得られなかった
が、

こちらのnoteが推しへの愛をわかりやすく書いてあるので参考にどうぞ

神格化という侮蔑

人を侮蔑してはならない
それはそうだ
あいつはダメなやつだ見下していいんだ
なんてアイドルに感情をもつやつは
ファンでは無いしそれはアンチです

でも同時に、アイドルの人間らしい部分に目を瞑りそれをスルーし神格化し続けることもまた
人として見ておらず、侮蔑と同じ意味をもつ

でもそれが何だってだ
明確なアンチより神格化の方がマシなんじゃないか
だって攻撃してないし
侮辱罪にも当たらない

主人公はガチ恋とも違うし
推しに対して理想像を押し付けてもなく
良心的なファンという印象だった

偶像崇拝というほどでもないし
全てを全肯定というほどもなく
ただ、ただ純粋なファン活動に思える

推し活はどうも体にいいらしい
そんな節をどこかで見かけた気がする
吾輩は経験がないので分からないけど

主人公は推しを背骨と言った
背骨は立ち上がるためにある

どうも不健全な愛とは思えなかったけど
その作中の中で、主人公が推し活のを通して、たどり着く怒涛のフィナーレが待っている

この本の主題は推し文化だが
もう1つ、明確に語られないが
抉るような現代のそれを映し出している

2つの診断

作中、主人公には二つの診断が下っているとされてるがそれは具体的に何かは明かされない

具合悪そうな日もあるので
女性特有の病気かな、などと想像したが
全体の描写から推察するに
主人公は発達障害だと思われる

部屋の片付けられなさ(HDAD)
忘れ物の多さ(HDAD)
いくらメモをしても忘れ(HDAD)
バイトの仕事の分岐もうまくこなせない(ASD)
騒がしいバイト先でその声が自分に向けられたものかそうでないのか聞き分けられない(APD)
体のだるさ
しかし、興味のある推しには物凄い集中力を発揮して記憶し、(過集中)
推しに関するブログはファンが着くほどの文章力
勉強はできない(LDの可能性はある)

これは、ティーンの子が
社会の網目からこぼれ落ちる様の小説だ

でも再生の物語だと信じたい
そのスタートを切るためのラストだったと
吾輩は信じていたい

どうしたら生活は回ったのか

推し活について共感が出来なかったため
中盤まで何も入ってこない状態だったが
急激に体捩れるような痛みを与えてきた
この痛みが晴れるのかと思って
終盤まで一気に読んだけど
痛みに救いはない

主人公の気持ちと家族の気持ちの
両面を物分かりが良いように理解できるのに
この主人公の生活のどん詰まりを
ありありと小説から感じてしまったから

洗われていない食器
せっかく干した洗濯は雨に濡れて
とにかく生活が回せない

普通にやりこなしたいのに出来ない人と
それに呆れ悲しむ家族の図

あぁ、これは…
全ては適切な知識に遭遇することで改善するのに

主人公が背骨として推し活に全力だったように
その全力を知識を蓄えることに振れば
きっと主人公は上手くやってけだと思う

文章は書けたし、高校にも行けるし
推し友達もいるわけで
ムリ層ではないと思われる

働けてたとこを鑑みるに
ギリムリ層だと仮定しよう

主人公の生活が破綻し始めたのは
推しが炎上し、人気が急落し
人気投票で頑張るためにバイトを増やしたころからではないか?

全ての人間に言えることだが
生活リズムは整えないといけないし
人の体力は無限にあるわけではないので
体力配分は考えないといけないのに

主人公はどんどん学校での成績に対する努力する体力配分をおろそかにしている

実家に住んでることでかろうじて保たれていた
生活リズムや、片付けの補助が切れて
一人暮らしに追いやられると
後はもう階段を転げ落ちるようなものだ
片付けられてない部屋は余計に頭の混乱を産む

気合いややる気の問題ではない
頑張ってないわけではなく
頑張り方がわからない
まずもって基礎となる生活習慣を身につける
ライフハック方法に辿り着いてない

これは特性のあるなしは関係ない
やるべきをやるスイッチを入れるのは
習慣を身につけること、ただそれだけ

何度でも言うがやる気は関係がない
そのことは家族は理解していない
でもその誤解も、推し活に並々ならぬ努力をしてる様を見せつけられれば
そう思ってしまうのも無理からぬことか

あぁ、しんどい
全て知識だ
知識がないことが問題なのに
現代の若者の生きづらさとかで片付けられてしまうのか
あぁ、辛い、辛い

お願いだから情報に辿り着いてくれ
咀嚼して飲み込んでくれ
そうすれば世界は変わる

若者よ、ここで絶望しないでほしい
推し活できるような偏愛力があるならば
あなたに向いてる仕事は、ある

それも全部、情報にたどり着くかなんだ
そうやって社会は必要な人に情報がリーチしない
でも、それも自己責任なのか
そうなのかも、いや、そうでもない
本当に社会の網目から溢れてる

以下メモ


ここから先は

482字

¥ 1,000

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?