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糖化とアンチエイジングの関係〜腸活ラボマガジンVol.13〜



はじめに

こんにちは、やまだです。今回は、アンチエイジングにおいて言及されることの多い「糖化」について腸活ラボマガジンで取り上げたいと思います。
参考になった方はぜひスキボタン押していただけると嬉しいです!それではいきましょう。

そもそも糖化とは?

そもそも糖化と聞くと、イマイチ近いイメージがないかもしれませんが、実は非常に身近なものです。具体的には、ホットケーキを焼いて色が褐色に変化すること、これが糖化です。これは、牛乳や卵に含まれるタンパク質が砂糖などの糖が加温されて結合することにより起こります。この反応は、メイラード反応と言いますが、これはフランスの科学者L.C.メイラードに由来します。

図1 糖化の例、メイラード反応として知られている。


メイラード反応は、食品加工において非常に活躍しています。一方で、これが体内で起きてしまうと色々な悪影響が出てしまいます。
糖化が起きるのは、体の中で糖分が過剰になった場合です。この糖が血中から細胞に取り込まれ、タンパク質と結合すると、茶色くなるだけでなく、体の組織が堅くもろくなります。そして、糖化により、糖化最終生成物(advanced glycan endproducts AGEs)ができます。AGEsとは、様々な化合物の総称で生体内で検出されるものだけでもNε-(カルボキシメチル)リジン (CML) 、ピラリン、ペントシジンなど40種類以上あります。このAGEsは、糖の過剰摂取だけでなく、飲酒や喫煙、脂質の過剰摂取に加え、紫外線や酸化ストレスなどによっても生成しやすいことがわかっています。

老化とAGEsの繋がり https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=376

このAGEsが様々な組織や臓器に蓄積すると様々な疾患や老化に繋がります。例えば、肌であれば、真皮のコラーゲンに蓄積すると、コラーゲン繊維の間をつなぐ架橋ができてしまい、バネのような構造が固定されてしまいます。これにより、コラーゲン繊維の可動性が失われ、弾力やハリがなくなってしまいます(ref1)。これによりシワに発展します。さらにAGEsは、骨強度の低下に関与していることが報告されています(ref2)。
また、肌自体のタンパク質が茶色くなると、黄褐変が生じます。これは何かというと、肌のくすみです。
これが血管で起きるとどうなるでしょうか。悪玉コレステロールと呼ばれるLDL-Cは、通常マクロファージが分解します。しかし、LDL-Cが糖化してしまうと、マクロファージが分解できず泡沫細胞というものになり、血管内皮に蓄積し、これがアテロームという塊を作り、動脈硬化を引き起こしてしまいます(ref3)
また、糖化により生じたAGEsが結合する受容体RAGE(receptor for AGEs)が僕たちの体の中には存在します。この受容体にAGEsが結合することで炎症を引き起こす炎症性サイトカインが生じ、組織が全体的に炎症が起きやすい状態になります。

毒性のあるAGEs(TAGE)が細胞内でどのようにできるか示した図 砂糖入り飲料/加工食品を慢性的に過剰に摂取すると、糖代謝産物であるグリセルアルデヒド(GA)の細胞レベルが増加し、細胞内タンパク質からのTAGE生成が誘導されます。その結果、TAGE が細胞内に蓄積して細胞損傷を引き起こし、血液中に漏出して循環 TAGE レベルを増加させます。 TAGE-RAGE 軸は活性酸素種(ROS)を生成し、ROSはRAGE発現とTAGE 生成を促進すると考えられます。
略語 AR: アルドースレダクターゼ。 SDH: ソルビトールデヒドロゲナーゼ。 FK: フルクトキナーゼ。 ALD B: アルドラーゼ B; GAPDH: グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ。 ER: 小胞体。 LSRD:生活習慣病。 P-NH 2 : タンパク質の遊離アミノ残基https://dmsjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13098-020-00614-3

これ以外にも、アルツハイマー型認知症など様々な疾患との関わりがあることも指摘されています(ref4)。
このように糖化反応が体の中で起きると悪影響を及ぼします。では、糖化を減らすにはどのようにすればいいでしょうか。

糖化を予防する食生活

糖化を進めてしまうのは、高血糖状態です。とはいえ、高血糖は健康な人でも普通に食事をすると起こりえる状態です。食事によって血糖値が高くなると、すい臓にあるランゲルハンス島のβ細胞からインスリンが分泌され、細胞での糖の取り込みが促進され、血糖値が下がります。朝昼晩、三食食べている人であれば、下記のような血糖値の変動が見られます。

食事と血糖値の関係 https://www.saiseikai-toyama.jp/?tid=101423

一方で、食事の間などにも甘いおやつなどを食べていると、高血糖の状態が増えます。つまり、糖化が進む時間が増えるということです。
そのため、普段の生活でできることは、食後の血糖値の上昇(最近では血糖値スパイクとも言います)を極力減らすことです。
まず、できることは、いきなりご飯やパンなどの炭水化物を食べないことです。先に野菜などの副菜から食べることです。これにより、血糖値の上昇がゆるやかになります。よくダイエットの文脈で聞くことも増えたベジファーストがこれにあたります。しかし、毎回野菜を食べるのは難しいかもしれません。その際は、肉や魚などタンパク質から食べることをおすすめしています。
日本料理やフレンチなどのコース料理は、その点、野菜類、メインの肉・魚、炭水化物やデザートという順になっている点で血糖値の上昇が抑えられるようにできているなと感じます。
しかし、日常生活では、この通り食べるのは難しいですよね。定食などを食べるにしても、ご飯とおかずを交互に食べるのが普通だと思います。
では、そのように食べた場合、血糖値はどうなるのでしょうか。下記の研究を見てみますと、交互に食べるにしても、おかず(野菜など)と一緒に食べるだけで、血糖値の上昇がゆるやかになっていることがわかります(ref5)。

食後の血糖値の関係 青色がうどんのみで赤色が食物繊維と一緒にうどんを食べた場合 

抗糖化食材を食べよう!

そして、さらにこれまでの研究で糖化反応を抑制する効果がある「抗糖化食材」が明らかになっています(ref6)。具体的には、野菜やハーブ、お茶などです。

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