恐ろしいほどつまらない映画をみた - X-MEN/ダーク・フェニックス 感想

※この記事は「X-MEN ダーク・フェニックス」のネタバレを含みます。

こないだね、Amazonで新作に並んでたのを見つけて「X-MEN ダーク・フェニックス」を観たんですよ。予告編を見た時からけっこう楽しみにしていて、「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」と上映時期が被ってて見逃してたやつ。

これがまた、恐ろしい程につまんなかったので、耐えきれずに愚痴を吐きます。

少なくとも、予告編の時点では「こりゃ、きっと面白い」と思ってたわけです。予告編を見て「きっとこんなストーリーなんだろうな」と空想した通りだったら、最低限予想通りには面白かったはずなんですよ。
それが、予想を遥かに下回るつまんなさになったのは、どの辺が原因なのか。

予告編

これがその予告編。
あらためて見ても面白そうだと思う。

予告編から想像したストーリー

今回の敵役はジーンのようです。
ジーンはテレパシーやテレキネシス能力を持つ、何でも有りの超能力者です。幼少期にエグゼビアの洗脳により、危険な本性と能力が抑え込まれていますが、潜在能力では最強の超能力者です。
ウルヴァリンが主役だった最初のX-MEN三部作でも、ラスボスは覚醒したダークサイドのジーンでした。
今回は、宇宙船の救助ミッション中に太陽フレアを浴びて、ダークサイドが覚醒するようですね。太陽フレアの膨大なエネルギーを持て余し、最初は暴走する力を抑え込もうと葛藤したものの、だんだんと絶対的な力の快感に溺れて、精神までダークサイドに染まっていく。
ちょいちょい出てきては、ジーンをダークサイドに誘う謎の女性は、エグゼビアに封印された人格の幻想でしょうか。
人類の危機と化したダークサイド・ジーンを、X-MENは救おうとし、マグニートー軍団は排除しようとして、ミュータント達の間でもシビルウォー状態になってしまう。
太陽フレアを呑み込んだ最強能力者ジーンの前に、あのマグニートーですら、簡単に返り討ちになってしまう。
全ミュータント VS たった一人の最強超能力者。
いったい、どんな結末になるのか?

そんなストーリーだったら、面白いだろうなと思ったんですよ。

〜〜〜〜〜 ここからネタバレ 〜〜〜〜〜

敵は宇宙人

あの謎の女性、あれね、宇宙人なんです。
地球侵略に来た、大勢(つっても30人ぐらい)の謎宇宙人の1人なんですね。
で、ジーンが吸収した太陽フレアだと思っていたものは、その宇宙人が地球侵略のために使おうとしていた謎パワーだったんですよ。
謎パワーをジーンが呑み込んでしまったので、困った宇宙人たちはジーンを味方に取り込むことにします。

唐突なエグゼビアのクズっぷり

X-MENのボスであるエグゼビアは、過去シリーズでは人格者として描かれてきましたが、今回の青年版エグゼビアはけっこうなクズです。
事件の発端となるジーンが救助活動中に太陽フレアを浴びた件も、エグゼビアがX-MENのブランド構築のために強引に無茶をさせた結果でした。
その件や、ジーンの洗脳についてメンバーから批判されても、自分の間違いを認められない、子どもっぽい面を見せます。
キレたジーンに超能力で無理やり歩かされて、情けない声で哀願したり、最終的に反省して校長を引退したりと、今回のエグゼビアはいいとこ無しです。

マグニートーさんの自然派生活

マグニートー軍団は、人里離れた田舎で自然派生活を営んでいます。
ジーンが転がり込んできたおかげで軍隊が乗り込んできますが、なるべく穏便に済むよう、マグニートーさん大人な対応で健闘します。
ミスティークがジーンに殺されていたことを知って、いよいよジーン排除に動き出すマグニートー氏。おもむろに例のヘルメットを取り出して被りますが、エグゼビアのテレパス対策のヘルメットがここで登場する必然性がよく分かりません。
いざ戦闘が始まると、マグニートー軍団から参加するのはほんの数人で、実際に映るのはドレッドヘアを鞭のように操るおじさんだけで、今回の軍団は非常に地味です。
X-MEN映画の見どころの一つである、マグニートー氏が金属を操る能力で凄えことをやるシーンですが、今回は地下鉄を引っ張り上げます。
地上の道路では、混み合うほど車やバスが大量にいるのですが、わざわざ地下から地下鉄を引っ張り上げます。
で、それを敵に投げつけるのかと思いきや、建物に突っ込ませるだけ。特に攻撃に使いたいわけではなかったようです。
その直後、ジーンに手も足も出ずに吹っ飛ばされて、マグニートーさんの見せ場は終了。

チャールズとエリックの仲直り

X-MENの見どころのもう一つが、エグゼビアとマグニートー、チャールズとエリックが、対立する信念と友情と間で揺れる、微妙な人間関係なのですが、今回はエンディングでこの2人が仲直りします。
チャールズは自身の行動を反省して、X-MENと校長を引退してしまうのですが、引退生活を送るチャールズの元へ、エリックが「昔は俺が助けられたから、今度は俺が助けるよ」と仲直りしに来るのです。中学時代の友達ぐらいのノリ。

宇宙人の最後

ちなみに、謎宇宙人とジーンはどうなったかと言うと、謎エネルギーの一部をジーンから取り戻した宇宙人を倒すため、正義の心を取り戻したジーンが宇宙に飛んでいって一緒に自爆します。ウルトラマンの話ではないです。

徹頭徹尾、隅から隅まで、浅い脚本

ジーンがうっかりミスティークを殺してしまうとか、ミュータントの固有能力がまったく活かされていない戦闘シーンとか、他にも色々とあるのですが、とにかく脚本が浅い。

X-MENという題材の持つ、過去のお話で構築されてきた、美味しい素材を何一つ活かす気のない、浅すぎるストーリー展開。

アヴェンジャーズは、大量のキャラクターをすべて活かしきる神がかった脚本だったのに、本当に同じマーヴェルがこの映画を作ったのか信じられない。
MCUに全力を注ぐマーヴェルの、残りカスでできたような映画でした。
これなら、デッドプールの方がよっぽど真面目に作られてる。

X-MENシリーズはこれで終わりだそうで。
MCUシリーズほど本気で作る気が無いようなので、もうX-MENはつくらなくて正解。

青年版マグニートー好きだったのになあ。
サンサ・スタークの新ジーンも良かったのに。
ああ、もったいない。

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