田代弘治(Kouji Tashiro)

国家公務員 | 夜間学部の大学を卒業 | 【メディア掲載】「平成から令和へ観光のアップ…

田代弘治(Kouji Tashiro)

国家公務員 | 夜間学部の大学を卒業 | 【メディア掲載】「平成から令和へ観光のアップデート。地域経済分析システムRESASによる事例分析等について」『日本経済新聞』電子版2019年4月27日、等 ※投稿する内容は所属する組織の見解ではなく、あくまで個人的な考えによるものです。

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人新世における人間の安全保障と経済のミライ

人類の歴史は戦争と平和の歴史でもあった。近代の国際関係と国際法の歴史は三十年戦争におけるウェストファリア条約の締結によって、主権国家体制が確立したものとされている。2020年から拡大している新型コロナウイルスによるパンデミックは、ウイルスとの戦争であるとのメタファーも存在する。たとえばテクノロジーの発展は移動の自由を拡大させ、国境の境界線がこれまでより開かれるようになったと考えることもできる。英国のウィンストン・チャーチル首相が、戦後のヨーロッパにおける東西の緊張状態を表した

    • 140文字が描く自由と繁栄の弧とそのキセキ〜虹

      冷蔵庫の中身が少なくなっているよ。料理のための食材の購入をお願いするわ。僕はアルゴリズムによって推薦されたメニューの中から、子どものお気に入りを選ぶ。そしてスーパーマーケットと繋がったきまぐれな冷蔵庫が食材の購入を決定し、スーパーマーケットから食材が届く。食材の配達も、超特急と呼ばれるうさぎや配達員に優しいゆっくりである亀などから選ぶことが出来る。また人ではなくロボット配達員による配達を希望することも可能だ。無機質なロボット配達員ではなく、人による配達を希望する者は商品の受け

      • 格差は住むところで決まるのか

        2019年12月に中国で発生されたとされる新型コロナウイルスの感染拡大は現在も続き、外出自粛等による個人消費の低迷など経済や社会への影響は大きい。2008年に発生した世界金融危機では男性の働き手が多い産業である製造業などへの影響が大きかった。しかし、新型コロナウイルスは飲食業やサービス業などの女性の働き手が多い産業への影響が大きく、女性の不況であるシーセッションとも呼ばれている。2021年に男女共同参画局より公表された男女共同参画白書のテーマもコロナ下で顕在化した男女共同参画

        • 越境ワーキングをゲーム理論で考える

          2019年12月に中国で発生したとされる新型コロナウイルスの影響により、2020年以降の私たちの生活は大きな変化を迫られることになった。外出自粛や移動制限、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが制限されることなどで働き方も変わった。それまではオフィスなどの物理的空間における対面型の働き方が一般的であったが、テレワークなどのリモートワークを導入する企業も増加した。しかし、リモートワークにも現在は課題がある。たとえば、森川(2020)では在宅勤務はオフィス勤務と比較して生

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        人新世における人間の安全保障と経済のミライ

          多様な選択肢と文化を【日経COMEMOテーマ企画 #出戻り社員に期待すること】

          日本的経営は長らく評価されてきた。たとえば、コンサルティング企業であるBCG(ボストン コンサルティング グループ)の設立にも参画したジェームズ・アベグレン氏は、戦後の日本の発展は終身雇用、年功序列、企業別労働組合にあるとした。終身雇用は同じ釜の飯を食う仲間という連帯感をもたらし、企業はイエとしての文化も持つと評価されることもあった。イエとしての企業は、ハイコンテクストなコミュニケーション文化も生んだだろう。暗黙知によってノウハウや情報を独占することで、企業内で優位な立場を築

          多様な選択肢と文化を【日経COMEMOテーマ企画 #出戻り社員に期待すること】

          【メモ】雇用対策協定の政策評価の検証について

          エビデンス(根拠)とは何だろうか。たとえば、民事訴訟は当事者間の紛争について裁判所が事実を認定し、それに法律を適用して結論を導き出す。裁判所が事実を認定するため、証明に用いられる資料のことを証拠と呼ぶ。昨今叫ばれていたはんこも、文書の真偽の証拠となるとこれまで考えられていただろう。 医療分野においては「良心的に、明確に、分別を持って、最新最良の医学知見を用いて」行われる治療のことをEBM(Evidence Based Medicine)、根拠に基づく医療である呼んでいる。20

          【メモ】雇用対策協定の政策評価の検証について

          【メモ】新型コロナウイルスが労働市場に与える影響等について

          2019年に新型コロナウイルス(COVID-19)が中国で確認されて以降、世界経済は大きく減速した。また人の移動やフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが制限されるなど、私たちの生活も変化を迫られることとなった。たとえば、都市は人、物、資金、アイデアなどが集まることにより生産性を向上させ、また企業もサプライチェーンの効率化を図ることなどにより大きく発展してきた。これらは、経済学における集積の経済や規模の経済によっても説明できる。しかし、新型コロナウイルスは都市の密度を低

          【メモ】新型コロナウイルスが労働市場に与える影響等について

          統計で読み解くこれまでとこれからの日本

          人類の歴史は感染症との闘いでもあった。20世紀以降では、第1次世界大戦中にスペイン風邪、天然痘、チフスなどの感染症が流行し、第2次世界大戦後には世界保健機関(WHO)が設立された。世界保健機関(WHO)憲章では、「健康」を単に病気にかからない状態ではなく、「身体的、精神的、社会的に完全に健康な状態」と定義されている。しかし戦後も、1976年にエボラ出血熱、1981年にエイズ(AIDS)が出現するなど、新たな感染症が発見されている。近年では、2003年に重症急性呼吸器症候群(S

          統計で読み解くこれまでとこれからの日本

          政府統計e-Stat APIをプログラミング言語「R(アール)」で使ってみた

          総務省が2020年8月5日に公表した人口動態調査によれば、2020年1月時点における東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)の人口は、前年比で0.37%増加したことが分かった。 同調査は2020年1月1日時点におけるものであるため、COVID-19の影響はほとんど反映されていないとみられる。都市への人口の集中は「規模の経済」や「集積の経済」を発生させ、人や企業のネットワークなどがイノベーションの原動力となる。また、エンリコ・モレッティ氏の著書『年収は「住むところ」で決まる

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          ジョブ型雇用と遠隔住民。自治体の人気度と変化の未来予想図を考える

          ラッキーセブンの7回が始まる。 1点をリードする読売巨人軍は、中継ぎ投手に交代をする。対して、追う阪神タイガースは投手の打順でピンチヒッターに交代し、ランナーを出そうとする。 最終回である9回を迎え、1点をリードしたままの読売巨人軍は抑え投手により逃げ切りを図る。 プロ野球において、このような展開はよくあることだ。 プロ野球では投手や打者の役割の分業体制が確立している。 日経COMEMOではお題 #ジョブ型雇用で変わることは? を募集していた。ジョブ型雇用が拡大する

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          統計データから現状を読み解き、働き方の未来予想図を考える

          東京都の2020年5月1日時点における推計人口が、初めて1400万人を超えたことが明らかとなった。また、厚生労働省が発表した2019年の人口動態統計によると、出生数は過去最少の86万5234人となっている。 東京都やその周辺地域および都市圏へ、人口や企業等の集中はさらに進むのか。また少子化の流れは止まらないのか。日本が抱える課題は少なくないが、このような変化に応じて、私たちの生活も変容していくだろう。 日経COMEMOでは、#これからの働き方の新モデルとは というテーマの

          統計データから現状を読み解き、働き方の未来予想図を考える

          セーフティーネットによって #どう守る私たちの仕事。統計データから現状を読み解く

          日本経済は長期停滞を続け、1990年代以降は経済成長の伸びが鈍化している。社会厚生を増大させ、国民に経済的利益等を分配することは課題であると考えられる。経済は停滞する一方で、1990年代以降にはインターネットが普及し、私たちの暮らしが豊かになった部分もある。たとえば、1997年には人口普及率で約10%であったインターネットは、現在ではスマートフォン等を使用してほとんどの人が利用するようになっている。インターネットによって、物理的な障壁が低くなることによる便益などは拡大した。

          セーフティーネットによって #どう守る私たちの仕事。統計データから現状を読み解く

          非正規は若年層だけの課題か。統計データより #非正規の力を生かす 方法を労働市場、働き方、企業の視点から考える

          非正規の働き方は自由で、カッコイイとされた時代もあった。それは、バブル景気の頃であった。しかし、1990年代以降の失われた30年を経て、未だに停滞を続ける日本経済においては、非正規は悪であるという印象すら与えられるようになった。 日経COMEMOでは #非正規の力をどう生かす というテーマで意見募集をしていた。 本文では統計データから非正規労働者の現状等を確認した上で、非正規の力を活かす方法について考えてみることとしたい。 1. 正規・非正規労働者数の推移等についてここ

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          統計データなどを用いて #かわる初任給 について考えてみた

          賃金はどうやって決まるか。賃金を決める要因は、労働者個人が持っている生産性に依存するとされる。生産性の違いは、たとえば「人的資本」の蓄積量によって異なってくる。高い教育を受けることなどによって人的資本を蓄積することで生産性は高くなる。そして、労働者は高い賃金を獲得することができる。一方、「シグナリング理論」によれば、情報の非対称性があると、大学教育によって生産性が変化しなくとも、労働者は大学に進学する動機を持つ。労働者の生産性を、大卒という情報を用いて企業に伝達することで、企

          統計データなどを用いて #かわる初任給 について考えてみた

          Jリーグのトラッキングデータをもとに簡単な分析をしてみた

          新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大につれ、小売店ではトイレットペーパー等の日用品の買いだめが起きている。新型コロナウイルスの感染防止のためには、冷静になって、「手洗い、うがい」を忘れず、きちんと食事をとり、よく眠ることも大切だろう。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、サッカーJリーグなどにも及んでいる。Jリーグは、3月15日までに予定していた全ての公式戦94試合の開催延期を発表している。 Jリーグの公式戦は開催が延期された一方で、SNSの公式アカウントで

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          「平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」から読み解くメディア利用等について

          2020年11月3日、米国の大統領選挙が実施される。米国ではGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)やFAANG(Facebook、Apple、Amazon、Netflix、Google)と呼ばれるプラットフォーマー企業が興隆する一方で、「中国製造2025」などを掲げた中国が超大国となりつつある。米中の対立は深まり、米国は世界の警察として超大国であり続けるのか、あるいは現実主義的な「マネー・ボール」アメリカとして振る舞うのか等の選択肢を迫られる。さ

          「平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」から読み解くメディア利用等について