俺らはアスファルトから生まれた

誰からも祝福されることもなく生まれた

粗野で色褪せた
『雑草』とひとまとめにされる

もちろん、俺らは『雑草』の中に数千以上の種があることを知っているが、
たいていの人間はその見分けなんて出来やしない
いや、しようともしない

地面と一番近くで生活している俺らは
よく犬っころに小便をかけられる
「ちくしょー」と思っていたら
今度は人間の野郎に踏みつぶされる
・・・・・・・

そんな時は、どうすると思う？
「心を殺すんだ」
ムカつく奴が世の中には多すぎるんだよ
もう誰にあたっていいか分かりゃしないんだ
だから「自分の心を殺す」
何も感じなくなってやり過ごす
賢いだろ？

アスファルトは太陽に照らされると
目玉焼きが出来るし、
周りがぐっと寒くなると
いち早く凍り付く

俺らはそんなところから生まれた
土みたいなぬくぬくの温室育ちじゃないぜ
俺らは変温動物みたいにとてもクールなんだ

こんな俺らだって始めから『雑草』だったわけじゃない
アスファルトの裂け目だって始めからあったわけじゃない
これは俺らが裂いた裂け目なんだ
暗くて狭い地面の底から
希望に胸を膨らませ
うんしょ、うんしょ、少しずつ
うんしょ、うんしょ、・・・・・
微かに光を感じる
うんしょ、うんしょ、・・・・・

やっと出たところが、
アスファルトだったんだ

だから、俺らは『雑草』

いつか綺麗な花を咲かせるから
ちゃんと気づいてくれよな

お前たちはおかぁちゃんの腹の中でよかったなぁ

ハキダメギク（掃溜菊、Galinosoga ciliata）キク科コゴメギク属の一年生植物。
夏から秋にかけ、小さな花を咲かせる。道ばたや庭などに生える雑草。
牧野富太郎が世田谷の掃き溜めで発見したのでこの名前がついた。
あんまりな和名の代表としてよく取り上げられる。

#詩 #ポエム #雑草 #街人