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はげしく後悔 -還暦サイゼリヤバイトの日常-

「ご注文用紙にご記入いただければ助かるんですが…」
と言いながらお客さんの顔を見て、はげしく後悔。
(ああ、オレってなんてダメなヤツなんだろう)

オーダーにお伺いしたテーブルで、メニューを見てひとつひとつ口頭でご注文されようとしたお客さんに、
「申し訳ありませんが、間違いを防ぐようにと、一応ご注文用紙に書いていただくことになっておりまして…」

サイゼリヤでは、新しいオーダリング方式を採用した店舗もあるようですが、私がアルバイトしているサイゼリヤ◯◯店では、いまだに紙の注文用紙に記入していただくやり方を続けています。

初めてのお客さん、久しぶりのお客さん、ハナからその気のないお客さんたちは、
「ミラノ風ドリアひとつとォ…」
みたいな頼み方をなさいます。

私自身、別にそれに抵抗はなくて、その場で端末に打ち込んでいけば済むことですが、一応店の決まりになっていて、まあ他のお客さんも注文用紙に書いてもらっているので、まずは、
「書いていただけますか」
とお願いをする形にそろえてはいます。

「ええっ?これ書かなきゃいけないの?」
「書くの面倒くさいから口で言うよ」
「そんなに数ないからいいでしょ」
みたいなお客さんも結構いるわけで。

紙に書いてもらうことで、オーダーミスをなくそうという狙いで、このやり方は飲食業界でも割に評価されていて、そんなネット記事も時々見かけるほどではあります。

で、冒頭で注文用紙記入をお願いしたお客さん、小学生くらいの娘さんとおふたりでご来店のお母様でしたが、なんと言うか、最近お目にかかった中でも有数、いや5本の指に入るほどの、「美人」でした。

毀誉褒貶を覚悟で言うのですが、
他の記事でも書いたかもしれませんが、
(書いておりました↓↓↓)

「美人は自分が美人だと知っている。だから美人として振る舞う」
このお客さんも当然その例にもれず、私が記入をお願いした注文用紙を取り出し、
「書き終わったらまたお願いしますね」
と。

(ダンナの顔が見たい)
激しく思ったのでした。
(こんな美人の奥さんと暮らしているダンナってどんな人?)
その興味が尽きず…、といった感覚を覚えつつ、その場でオーダー取ればいいのにテーブルを離れてしまいました。

「ええっ?いちいち書かなきゃいけないの?」
(そうだよ、メニューにもそう書いてあるだろが)
「はい、オーダーミスを防ぐ意味で、一旦ご記入いただいておりまして…」

「今、クチで言うから」
(ま、いいか、後でからんできたら面倒くさいから)
「はい、どうぞおっしゃってください」
みたいなやりとりをすることが多いお客さんに比べて、
「ああ、そうなんですね、これに書けば良いんですか?」
と、あくまで美人ビヘイビアを崩さないお母様には、ただただ申し訳ない瞬間でした。

同時に、
「なぜ普通にオーダー取らなかったの?」
と、自分を責める気持ちでいっぱいの、あるアルバイトの日でした。

「これに懲りず、またぜひお越しください。お待ちしております」

今日もお読みいただいてありがとうございました。

2月21日から、いよいよメニュー改変です。
今のうちにぜひお召し上がりいただきたいのは…

というより、最近ぐっとクオリティの上がったペペロンチーノ、これはお見逃しなく!
「今までのペペロンチーノがイマイチだったから?」
(そうです!)

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