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人情喜劇#めんたいぴりり

人情喜劇が好きである
かつては寅さんのような人情喜劇と呼ばれる映画、ドラマがたくさんあったなぁ
魅力的な役者さんもたくさんいたし
画面にアップになるだけで吹き出してしまうような…

「めんたいぴりり」の映画がネット配信となり
以前見ていたドラマ版を思い出しながら
ひさしぶりに人情喜劇を堪能した
笑って泣いてどこかファンタジーのようなラストも良かった

ドラマ版では韓国釜山での青年時代から始まり
戦争で引き裂かれ、博多港に命からがら引き揚げ船で流れ着き
そこで夫婦二人三脚で明太子をひろめ戦後を強く生き抜く家族を描いていた
実話に基づくものとあり
華丸さん演じる海野俊之の天真爛漫な姿と富田靖子さんの妻千代子の笑顔が
見ているだけで幸せを感じさせてくれた

映画の中で突然戦争の辛い体験がフラッシュバックし
俊之の心が壊れてしまうシーンがある
自分の無力さを嘆き亡くなった戦友らへ応えられない辛さから
自ら死を選びそうになる。が引き止める妻の姿に
再び生きて幸せをつかもうと前を向く

ただのお人好しな顔を見せる俊之は戦争で見た地獄の経験と
満州から引き揚げてきた自分達を受け入れてくれた博多の地への感謝で
どんな人間にも深い愛情を持ち皆を幸せにしたいと誓うのだ

ドラマの配信が震災後だったこともあり
毎回涙無くしては見れなかった記憶がある
どんな困難にも笑顔で生きようとする姿に勇気づけられた


人情喜劇でありながら突然ホラー映画のような戦争シーンが飛び込む
江口監督らしさというか、このギャップこそ
誰しもが抱える光と影であり恐怖である
これこそが本当の反戦映画なのかと思う
決して現実の生活と遠くない近くにある恐怖

昔、テレビ番組のドキュメンタリーで
内戦で家族を殺され命からがら生き延びてきた人が
「私たちは幸せにならなくてはならない。なぜならこんなに辛い経験してるのだから」と語っていた
ふとその言葉が浮かんだ

幸せになろう。という希望ではなく幸せにならなくてはならない。という権利と義務、そして確信と決意。
それは、自分への戒めであり仲間への温かい励ましとなるのだろう。

「めんたいぴりり」は、新作映画のパンジーの花が一部で公開されている
是非、博多から遠く離れたここでも観れないものかと期待している


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