見出し画像

雨に散る桜〜東京の瞬間的な美しさ

人はなぜか桜にそわそわする


桜が開き始めると、東京はあちこちで一気にこれぞ春、という空気になる。東京の桜は「靖国神社の桜の木の開花を確認しました」という一報を皮切りにあっという間に満開に向かう。そして桜の花が散って葉が出てしまうそのわずかな期間、朝に昼に夜にとにかく多くの人々が桜の美しさを楽しむ。

桜、花見、ブルーシート


目黒川、上野、千鳥ヶ淵、靖国神社など、東京には多くの桜の名所がある。私が若かった頃は桜が咲けばお花見の宴会、そのためにブルーシートの場所取り役が誰かに割り当てられ、飲み物食べ物の買い出し担当もいてそれなりのイベントだった。案外肌寒いのに頑張って桜の下でわいわい飲み食いしていたな。

桜並木


今にして思えば、あの頃のお花見という名の宴会は桜の花を楽しむというより、ワイワイ飲み食いしたかっただけ、まさに花より団子だった。

いつからかブルーシートお花見の宴会が禁じられるところが増えてきて、それはそれでたいていブルーシート係になる社会人の新人たちや会社の飲み会に時間を割きたくない層にはありがたいルールだろうから今や宴会をする方が珍しいのかもしれない。ご近所の騒音被害やゴミ問題もあったのかもしれないし。

桜の下で騒がなくても、コンビニ弁当を桜の近くのベンチに腰掛けてひとりで食べても十分風情があるものだし、ただ桜の下をそぞろ歩きするだけでも実は桜を満喫できる。

桜の下でのんびり

桜が最高なのはほんの数日


しかし、誰のイタズラか、東京では満開のいいところで雨が降ったり風が吹いたりして桜の花を散らしてしまう。この時期に雨が降ると「あー桜が散っちゃう」ともの悲しい気分にさせられる。花びらがひらひら散っている姿は物事の終わりを突きつけられているようでぐっときてしまう。そして、ああまた一年後か、と。一年後は何歳だ、と。桜が散る姿に若さからどんどん遠ざかる自分を重ねて気がおかしくなりそう。


日本橋と桜

桜が咲いている期間で天気が最高、な日数が案外少ないために桜の価値は高まるのだろう。川面にびっしりと浮かぶ花びら、地面に絨毯のように舞い落ちた花びら。毎年桜を目にしているうちにいつの間にか日本人の心に刻まれた日本の春の象徴。また今年も桜の時期が間も無く終わる。

この記事が参加している募集

桜前線レポート

みんなでつくる春アルバム

サポートしていただけたら嬉しいです。もっと勉強します。