【詩】別れ
私は恥辱の果実の先端となり
手のひらに包まれ
持ち上げ 握り潰されて
想いの彼方 恣意の働かないところで
「こと」が進んでいる証となる
多くの場合それは身体の中でのことであり
多くの場合それは私からは遠く離れている
波を探しに渚に向かう
受信するだけになってしまった携帯電話を
練り込まれた悲報の理由にするべきだった
あなたの涙のように
枯れ果てるまでは言葉の湿度に
頼れたかもしれないけれど
波は訪れるまで逃亡者であり
私の中では臆病者なのだ
傷口を開くことほど
理にかなった愉悦はなく
その磁界が離れ
いよいよ電磁波が溶け出した頃には
甘い香りの中に
取り出された「こと」が
冷えた大理石の上に打ち捨てられる
矮小化された贈答品に
殊更に名を求め
過去の時間さえ甘やかし
崩落の余震に震える
先端がアンテナとなることもあれば
もっとも弱い弱点として
雨に濡れる波の
打ち返すリフレイン
繰り返す波は誰からの
問いかけなのか
望んだ人ではない
望まれた影でさえあればと
まやかしの期待感に
自らを欺き
もっとも弱い弱点などと
無駄口をたたいてしまう
後悔と恥じらいの時間の中に沈み
意図された境界を消し去る
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