【詩】清澄白河から歩いた
清澄白河から歩いた
高い天井の建物から出て
街のラーメン屋でも探そうかと
晴天の休日
妻と
東京にも
興味深い地名が多くある
「清澄白河」、
「箱崎」や
日本橋でも「蛎殻町」「小網町」「小舟町」…
「虎ノ門」や「神谷町」…
ここは
もう、地じゃないから
地名はないと
妻は言うかもしれない
いつしか隅田川に出て
河岸を下った
特別なことがあったわけでもないのに
記憶に残る時間
青空と風と
ほどなくして
妻は
晴天の向こうに去った
記憶のありかが名を持てば
どんなものになるだろう
地名に宿された人の記憶
妻の居場所があって
私の記憶は残るだろうか
特別でなくていい
拠り所となるものは
なみだではなく
ぬくもりの感触で触れた重しのように
心地よいこころの中の時空であれば
そうして
日は過ぎてゆく
なくなったのに命の日として
新しい記憶として
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