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地元特集系雑誌文体桃太郎(体験版)

美しい自然に囲まれた暮らし

都会の喧騒から遠く離れた山奥。夏にはあたり一面眩しい緑に囲まれて、やかましいくらいにアブラ蝉の鳴き声が響き渡る岡山県の山地一帯に、一軒の小さな家がある。檜の壁、入り口にドアは無くて屋根は藁でできている。いかにも昔ながらの佇まいだ。そこには1組の老夫婦が静かに暮らしている。

岡山県の山岳部にある一軒家。街から約15km離れた奥地。


お爺さん(65)は芝刈りで生計を立てている。「確かに虫は入るし、屋根が崩れることもあるけれど、風通しはいいし、壊れてもすぐ直せるから不満はないですね。」とお爺さんは言う。山暮らしの人間の朝は早い。朝4時に仕事に出掛けて帰ってくるのはすっかり日が暮れてしまった午後6時だ。1日10時間以上の力仕事だ。「最近は1時間に一度は休憩を入れるけれど、昔は一度も休まずにぶっ通しで働いたもんだ」とお爺さんは少し笑いながら言った。
「ここらの川の水はそのまま飲めるくらいに透き通っていて、とても過ごしやすいです。」そう答えたのはお爺さんと長年一緒に暮らしてきたお婆さん(60)だ。「仕事は旦那がしていますので、私は料理や洗濯をしています。」と続けて言った。「ここらには川が複数本流れていて、一つは飲み水やお風呂を沸かすために使い、もう一本の川は洗濯物を洗ったり、食器を洗うときに利用しています。」

暮らしていて不便だと感じることは?

「そうですね。暮らしの面では特に不満はないです。確かに食料を手に入れるには山を下りる必要がありますし、川までの道も起伏が多くて大変ですが、それもちょっとした運動だと思えばむしろ楽しいですね。あとここに住んでいると、秋になれば山菜が採れるんです。ですが...。」とお婆さん(60)はやや表情を曇らせた。
「旦那と結婚をして今年で40年ににりますが、実はずっと子供ができないんです。夫婦仲良く暮らすというのも良いのですが、周りの夫婦を見ると、30までには子供を作り、今ではすっかり成人して孫まで生まれる家庭も珍しくありません。しかし私たちの間には「運」がなかったのか、一度も子供ができたことはありません。」と悲しげに話した。


山奥に住むお二人。


突然訪れた転機

「アレには本当に驚かされました。今思いだしても、あまりにも現実味を帯びていないと言うか、神様の気まぐれのお遊びかなにかだと思いました。」とお婆さんは少し声のトーンを落として語った。「私はその日、川に洗濯に行きました。夫はいつも通り芝刈りに行きました。川に洗濯に行くのは毎週日曜日と水曜日の2日間です。夫婦2人だけで服もそんなに多くないので、週2日の洗濯でも十分でした。けれどその日は前日が30度を越える猛暑日でした。普段は1日同じ服を着続けるのですが我慢ならず別の服に着替えましたが夜も暑く、着替えの服も汗だくで洗濯をするしかない状況になってしまいました。」
お婆さんは少し低めのトーンでゆっくりと語り続けた。しかし次の瞬間、あまりにも非現実的な体験を口にし始めた。「川上から大きな桃が流れてきたんです。」

お婆さんの話を元に生成AIが創り出したイメージ画像。

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