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テーブルいっぱいの中華と1曲目と


中華は3人以上で行くとたくさん食べられるから楽しい。
それに、いつもは食べないものにもチャレンジできる。

それでもまずはいつもの餃子に炒飯。

私は餃子が大好きだ。
私の友人は餃子を頼むかもう確認しないのだ。

「しほちゃんは餃子でしょ」
「あ、はい!」

飲み物が運ばれ、ひと口ふた口と飲むとすぐに餃子が届く。これだから中華は。
私は、早い安い美味いが大好きだ!
パリッと焼かれた餃子は大ぶりで、肉汁が溢れる程だ。
まだ食べられそうよねと、よだれ鶏と棒棒鶏の2択で選ばれたのはよだれ鶏。

続く炒飯は濃いめの味付けで、これもまた美味しい。
よだれ鶏はしっかり辛目の味付け。私は飲まなかったが、2人はお酒がぐいっと進むようだ。
テーブルに並ぶ料理を見ると
「まだいける?」
「すごいお腹空いてるからいける」
「いける気がする」

追加で頼むのは五目あんかけ焼きそばとエビマヨ。
隙間なく置かれた料理に嬉しくなる。
私の実家も祖母の家も、大皿料理がたくさん並ぶ食卓だ。食べきれないぐらいが丁度いいと私も思っている節があり、しっかりと遺伝しているようだ。

「お腹いっぱい」
「え?今なんて言った?」
あんかけ焼きそばを一口食べたところで友人からまさかの言葉が聞こえた。
「私も」
「ん?今なんて?」

私はあつあつ、とろとろのあんを纏った食べものが好きだ。
かに玉なんかもそうだし、そうめんに豆腐、だし巻き、ハンバーグにもあんかけは合うのだ。何がこんなに好きなのかって、味がしっかりついているのと冷めない。そこがあんかけの魅力だ。
野菜たっぷりのあんで中華麺を食べる。あれ、主役はあんかけだっけか?

話はもどって、ぷりぷりのエビマヨも口いっぱいに頬張る。お酒なんか飲まなくても話は弾むし、いつだってあの頃に戻れるのだ。もう中華は胃にくるねなんていう日も近いのではと怯えている。

このメンバーで集まるのは2年ぶりだ。
あの日も好きなアーティストのライブ帰りに3人で乾杯して、最高だったねと話す。しかし1曲目からセトリを思い出せない。記憶が無いぐらいに楽しんだったことで、今日の優勝は誰だとかどの曲だとかはなすはなす。
そういえば、今回の1曲目も思い出せない。

よくしゃべる2人はやはり満腹で、よく食べる私が最後まで食べ続けるといういつもの締め方だった。

満腹で楽しくて。
大学生の頃も、この3人で中華食べたっけ。

「あれからもう10年も経ったの?」
「いや、そんなことないよ」
「え、だってあのツアーってさ」

こんな会話をするんだ、きっといつか。

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