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season1 20話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

20.『眠りのパモさん』


 言語学の後(3回目の愛してる、について)家に帰る。たくましくなったと言われる。ついでにちゃんと愛してるっていいなよー、なんてませたこと言ったりなヨーコ。

 *

翌日美術の授業後(フカマル先輩のこおりテラスタル)、ぴっかりさん達とグラウンドを走ろうとしているとハッサクと会う。

「ハッサク先生」
「ヨーコくん、どうもですよ」
「美術室にそのままおるかと思いました」
「ここにはたまに来るのです。子供たちの元気な姿はいいですね」
「そんなもんですかねえ」
「ええ、見ているだけで、小生活力をいただけますです」

 とセイジ先生の大慌ての声が。

「オーマイゴーッド!」

 顔を見合せハッサクと共に駆けつける。

「セイジ先生! どしたんですか」
「ああヨーコ! 大変だよ! 見てこのポケモン!」

 うずくまっているパモ。かすかに息はしているが、動く気配がない。

「パモさん倒れてて元気ないみたい! どうしよどうしよー!」
「落ち着いてくださいセイジ先生」
「取りあえずキズぐすりを!」

 なだめるハッサク。ヨーコ、キズぐすりをセイジ先生に渡す。
「サンキューふたりとも! キズぐすりパワーで元気におなーりー!」
「……」

 ちょっと安定したっぽいパモさん。ぴっかりさんが臭いを嗅ぐ。うなずくぴっかりさん。わっぷるさんとまんじゅうがいち早く察し、安堵の表情をヨーコに向ける。

「大丈夫、だそうです」
「ふう……、なんとか危機は脱したようだね!」

 一安心なふたりとぴっかりさん達。と、

「ハッサク様、お話よろしいでしょうか」
「あなたは……、なぜここに?」

 ドラゴン使いらしき女性がいつの間にかいた。

「学校には来るな、とあれほど言いましたのにね」

 珍しく皮肉っぽい口調のハッサク。

「我等が一族より優先すべきものはありませんので」

 女性の言葉に、ハッサク、黙ってただならぬ雰囲気を漂わせる。

「──ヨーコくん、お話しできて嬉しかったですよ。大事な用が出来てしまったので、申し訳ありませんがこれにて失礼します。セイジ先生もすみません」
「はい」
「ノープロブレム! ハッサク先生もサンキューです!」
「場所を変えましょう。……来なさい」

 去っていくハッサク。

「見たところパモさん、ポケモン使いいるように見えないし、野生のポケモン、学校にまぎれこんだ?」
「ピカピカ!」
「そうみたいです」
「そっか。でもだからといってここに放置するのアリエナイね。予断許すまじなこの状況、セイジが一肌脱衣して、お世話しまくり決定!
 ひとまず医務室に行くね!」
「それがええと思います」
「うん、ヨーコもぴっかりさんたちもアドバイス、とってもサンキューだよ。アディオス、バイバイ!」
「はい、お疲れ様です」



 ランニングと宿題後、医務室にも行く。セイジ先生は帰った後だった。

「というかヨーコ、ちょっとたくましくなった?」

 ミモザ先生からパモさんについて聞いたあとで、ふと聞かれるヨーコ。

「あ、そうかもです」
「えー自分で言うー? でも本当顔つき変わった。宝探しでいっぱい色んなこと経験してんだろーね。どんなことしてるか話聞かせてよ」

 医務室なので、静かにかくかくしかじか話すヨーコ。

「へー、そんなことしてんだねー。子供ってすごいわー……。毎日新しいことチャレンジしてんだもん。それにくらべて……」

 ため息をつくミモザ。少し間をおいて、

「……あたし、学校の先生になりたかったんだー。
 あ、今は学校保健師なの。授業とかできないやつ。養護教諭の試験全然受かんなくてさー。
 何度やってもダメで、医務室でくさっちゃった」
「ミモザ先生……」
「あ、ごめん暗い話しちゃったね。あんた聞き上手なんだもん、ついつい話しちゃう。これに懲りずにまた来てね」

 うなずき、いったん部屋を出るヨーコ。
 後日、セイジ先生はもちろん、ジニア先生やミモザ先生と共に様子を見守り、安らな顔になってほっと一安心。

「一週間後にはテストだよー!」

 セイジ先生から言われてハッと気付くヨーコ。

「ほうじゃった!」


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