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縦と横の因果で論理を補強する【ロジカル・シンキング】

みなさんこんばんは、福田達也です。

今回もロジカル・シンキングのお話です。前回の記事では三角ロジックを使った主張の仕方を紹介しました。今日は、三角ロジックの論理展開をより強固にするための考え方についてお話をします。

前回の記事はこちら

論理的であるために必要なこと

三角ロジックを作ることで、論理的に主張を伝えることができるようになります。しかし一方で、前回紹介した、以下の2つの主張を聞いた時に納得できないと感じる方もいらっしゃると思います。

「イワシ、サンマ、アジ、サケ、タイという生き物を陸上に揚げると死んでしまった。これらは全て水棲の生き物だ。だから、水棲の生き物を陸上に揚げると死んでしまう」

「仕事をできる人はみんな読書をしていると言われている。実際、読書量が多い人ほど年収が高いという結果が出ている。だからあなたも将来のために本を読んだほうがいい」

1つ目の主張を聞いた時、「陸上に揚がっても生きていける水生生物だっているはずだ。実際陸上に揚げられたタコが歩いているのを見たことがある」と思ったりすることはないでしょうか。あるいは、2つ目の主張を聞いた時に、「年収が高い人は時間があるから読書できているだけじゃないか」などと思ったりすることはないでしょうか。

実は、「論理」が「論理的である」ためには、ロジックに加えて「客観的妥当性がある」必要があります。客観的妥当性があることとは、大多数の人から正しいと判断・承認されるような裏付けがあることです。

すなわち、先ほどの例のように、反証材料が見つかったり、他に考えられることがないのかと疑問を抱くようなケースは、客観的妥当性がないということになります。

縦の因果と横の因果を考える

それでは、この客観的妥当性をどうやってつければ良いのでしょうか。そのためには、縦の因果と横の因果を考えることが重要です。

縦の因果(なぜなぜを繰り返す)

縦の因果は、それぞれの主張の根拠(論拠やデータ)に対して、その根拠はなにか?と質問を繰り返すことです。

例えば先程の例では、「将来のために本を読んだほうがいい」という主張に対し、「仕事をできる人はみんな読書をしている」「読書量が多い人ほど年収が高い」という根拠を持ってきました。これら2つを主張として捉え直し、その根拠は何かを考えます。

「仕事をできる人はみんな読書をしている」という主張から三角ロジックを作ろうとするとどうなるでしょうか。例えば、「仕事ができる人は我流よりも学ぶ方が効率が良いことを知っている」という論拠を選ぶとします。そして例えば、多少無理やりですが「スポーツでも、独学の人よりも学んだ人の方が成果が出ている」というデータを持ってくれば、三角ロジックが成立します。

このように、根拠を見つけたら安易にそこで終わらせず、その根拠はなにか?と深掘りしていくことで、客観的妥当性を上げることができます。トヨタなどで有名な「なぜなぜを5回繰り返す」思考のアプローチは、まさに縦の因果を掘り進む検討法です。

横の因果(他に考えられないか)

横の因果は、主張の根拠に対して、他に根拠として考えられるものはないのか?と考える思考法です。

例えば、先ほど「イワシ、サンマ、アジ、サケ、タイという生き物を陸上に揚げると死んでしまった。これらは全て水棲の生き物だ。だから、水棲の生き物を陸上に揚げると死んでしまう」という主張をしました。

これに対して、「他の水棲の生き物でも問題がないのか?」「陸に揚げることが問題なのか、他の原因ではないのか?」などと考えを横に広げていくのが横の因果です。

「他の水棲の生き物」を探して、反証(陸に揚げても大丈夫な生き物)が見つかれば論理が破綻したことになりますし、陸に揚げて死んでしまう「他の水棲の生き物」が見つかれば論理が補強されます。

また「陸に揚げることが問題なのか、他の原因ではないのか?」を探っていくことで、「温度が変わることが原因かもしれない」「水がないことが原因かもしれない」など、他の様々な要因に気を巡らすことができるようになります。

そして、これら一つ一つの検討に対して、妥当性を検証していくことで、より網羅的でスキのない、すなわち高い客観的妥当性を持つ論理展開ができるようになります。

おわりに

今回はロジカル・シンキングにおいて、客観的妥当性を上げるために縦と横の因果について考えることを説明しました。

どちらも考え始めると無限に深掘りしたり、広げることができるため、網羅的に考えていくことは大変骨の折れる仕事です。しかし、難しい話をしっかりと理解してもらうためには、どこまで自分が検討できているかが非常に重要です。

本日も読んでいただき、ありがとうございます。
また次の記事でお会いできることを楽しみにしています。

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