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「アイツがなぜ出世?」の答え

column vol.236

年度の始まりが4月の企業は、今月まさに年度末。社員の評価真っ盛りなのではないでしょうか?

当然、昇格の明暗が分かれる時期でもあり、さまざまな不満も噴出していることかと思います。

「なぜ、あんなヤツが出世するんだ…?」

その答えのヒントになるような記事があったので、ご紹介します。

あんな「アピール上手」がなぜ出世?

まず、反感を買いやすい人物像といえば「アピール上手」なのではないでしょうか?

『マーケターのように生きろ:「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動』を上梓した井上大輔さんの【悲しい現実「目立つ奴ほど昇進する」の深い意味】にそのヒントがあると感じました。

〈東洋経済オンライン / 2021年2月26日〉

仕事ができて、面倒見がよく、責任感もある。誰も見ていないところで努力し、仕事を突き詰められる人。

そんな人でも出世できない場合はあると思います。井上さんは海外勤務の経験も豊富ですが、どこの国にも起こり得る現象のようです。

だからこそ、グローバル企業では、「PIE(パイ)の原則」が取り入れられています。PIEとは、パフォーマンス(P)=仕事の実力、イメージ(I)=印象、エクスポージャー(E)=どれだけ目立っているか、の3つです。

そして、重要度の割合をこのように振り分けられています。

・仕事の実力:1割
・印象:3割
・どれだけ目立っているか:6割

「どれだけ目立っているか」6割も占めるのです…(汗)。

「そんなのはおかしい、不条理だ!!」という意見も当然ありますが、井上さんは日本酒に喩えて解説します。

日本酒は1580ある酒造メーカーが、倍以上のブランドを作っています。

獺祭而今十四代真澄…などなど、その内、何ブランドの名前を知っていますでしょうか?そして、重要なのは、知名度(購買量)と味(実力)が全て一致しているかどうかということですね…。

正直、私は外食で日本酒を頼む時、メニューにお酒の味の説明がなければ、知っているブランドから選んでしまいます。

「知ってもらう」

ということがいかに重要なファクターであるか想像ができます。

もちろん、小規模の企業であっても、社員一人ひとりの全てを評価者が見ているわけではないので、本人が知って欲しい成果や努力の全てが知られているわけではないのです。

そう考えると、知らせる努力をせずに、「自分の成果や想いを知ってもらって当然だ」と思うのは……と、少し考えさせられますね。

ただし、過剰なアピールで出世しても後々は…、ということもありますし、出世を求めていない方もいるかと思います。

あくまでも、「アイツがなぜ出世?」の1つの側面として受け取っていただけると幸いです。

あんな「YESマン」がなぜ出世?

アピール上手と並んで反感を抱かれる代表格が「YESマン」なのではないでしょうか?

「YESマン」が出世する理由のヒントは、株式会社武蔵野18年連続増収に導き、750社以上を指導してきた小山昇社長の【ナンバー2が「イエスマン」の会社が伸びる理由】にあると感じました。

〈東洋経済オンライン / 2021年2月17日〉

小山社長は

「組織の実力は『ナンバー2の実力』に比例する」

と語っております。

トップは孤独。抜きん出た存在だけに、社員との乖離が生まれやすい存在だと思います。

そこを上手に繋ぐのがナンバー2の役回りです。

私は幸いにも副社長というポジションを担い、そして、自社だけではなく、多くの企業の社長を見てきましたが、大抵の社長は当たり前のように会社(社員)のことを大切に考えています

もちろん、その度合いや方向性が正しいかなどの問題は当然ありまし、その立場でしか分からないこともあります。

ただ、社長の誠意(愛情)を汲み取って周りに働きかけることが重要で、そのことを怠ると組織は停滞し、低下していってしまいます。

それはという、より小さな単位でも同じです。

100%の悪人も、100%の善人も会社の中には存在せず、部長も課長もそれぞれの正義(誠意)でリーダーシップを発揮しています。

その正義の気持ちを汲めるかどうか。汲める人が実質的にその組織のナンバー2(役職がつかなくても裏番的な存在も含め)になっていくのです。

私がお世話になった商業施設のクライアントの中に、出会った当時は課長で店長まで登り詰めた方がいました(社長の下、ナンバー2)。

その方は巨大組織の中で、どんな上司(リーダー)に当たっても、その人の想いを汲むことがとても上手でした。

「あのリーダーはダメ、それに付き従っているアイツが嫌い」

そう思うことは人間だから仕方のないことかもしれませんが、もしも、ちゃんとその人たちの想いを汲めていなかったとしたら、自分の成長や次なるアクションを制限してしまうので、自分にとってもったいないことかと思います。

逆に汲めない人がリーダーになっても、自分にとって都合の良い人を取り立ててしまい、新しい反感を生み出すことになります。

上司であっても、部下であっても、「汲む力」は必要なのです。

そもそも、そんなに素晴らしく、全面的に尊敬できるリーダーなんてなかなかいないのですから(笑)。人間だもの、「想いを汲む」意識は自らを押し上げる原動力になるはずです。

猿でも分かる「トップの資質」

出世の行き着く先は、社長です。

創業はカリスマ型が多いですが、出世によって引き継ぐ場合は、共感型が多いかと思います。

テック界でも、「アップルのティム・クック」「マイクロソフトのサチャ・ナデラ」「グーグルのサンダー・ピチャイ」などといった共感型のリーダーに注目が集まっています。

の世界でも「寛容さ」がキーワードのようです。

兵庫県の「淡路島モンキーセンター」に集まるニホンの群れで、4年ぶりにボス猿が交代。オスのジョニー(推定20歳)が、11代目のボスに認定されました。

〈神戸新聞NEXT / 2021年2月18日〉

ジョニーは約350匹の猿たちを率いていますが、この群の代々ボスたちは子猿を助け、餌を分け合うなど寛容さが求められているようです。

一方で、弱い者いじめをしたボスがクーデターによって“短期政権”に終わったケースもあるとのこと。

その寛容さが群全体に広がっていることでできる催しがあると言います。

同施設では毎年末、えとの文字を描く「サル文字」が恒例で、それは下書きに沿ってまいた餌を、体を寄せ合ってサルが食べることで出来上がます。

序列の厳しい群だと、上位の猿が下位の猿を追い出してしまうので成り立たないのですが、ここでは群全体として寛容さをもっているので節度が保たれてサル文字が完成できています。

ジョニーは、ボスとなり早速、喧嘩の仲裁に入るなど、群の平和維持に努めているそうです。

トップが企業の文化を生み出す。

やはり、その会社がどうあるかはトップの人間性が大きく影響します。思い描いた会社の理想像に近づくなら、トップ自身の人間性(成長)が必要です。

「ウチの会社(社員)はダメだ」

と嘆く社長がいたとしたら、一度自分を省みた方が良いかもしれませんね。

自分を省みることができ、人の想いを汲むことができ、そのことをちゃんと周りに伝えられることができる。実力とともに、そういった人間性のある人が出世するのではないでしょうか。

私にとっても、あれができてない、これができていないと気づかされる今回の記事たちでした…(汗)。

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