「頼ること」が成長に繋がる
column vol.603
普通、「頼られること」で人は成長するものですが、「頼ること」でも大きく成長できるそうです。
東洋経済オンラインの【実は「人に頼るほど自分の能力も高まる」納得理由】という記事を読んで、とても刺激を受けました。
〈東洋経済オンライン / 2022年3月18日〉
そもそも日本人は「頼ることが苦手」と言われています。
気を遣うことは美徳でもありますが、意外とビジネスの現場で大きな損失を引き起こしている可能性もあります。
そこで、本日は「頼ることで得られるメリット」について語りたいと思います。
成果を出すのは「個人」ではない
まず、管理職か否かは問わず、そして、組織人かフリーかは問わず、人と組んで仕事をする以上、個人だけで成果を上げるということはありません。
例えば、芸人は個人事業主ですが、ピン芸人であっても番組に関われば、共演者やスタッフと連携しないと良い番組は作れません。
もちろん、個人として爪痕を残さなければ、次に呼ばれない可能性はあります。
しかし、番組を壊してまで個人プレーを貫いたら、次どころか二度呼ばれない可能性もありますね…
まず前提として番組全体を面白くしてナンボなのです。
ということは、「活かし合う力」をもっているとアドバンテージになります。
そして、活かし合うためには、己のことはもちろんのこと、相手の良い部分を分析できていないと、それは叶いません。
これは、どの仕事でも同じだと言えますね。
活かし合うために相手の良さにちゃんと目を向けることで、吸収できることもあるのです。
また、「この人のこういう部分には勝てない」と分析するからこそ、自分の良さを発掘しようという動機も生まれます。
お互いの良さを整理することで、任せた方が良いことは任すことができる。そして、その方が成果が生まれる。
これは仕事において非常に大切な考え方です。
「自分より優秀な人」を雇えるか?
リーダーにとって一番大切な資質が、チームメンバーの力を最大限に活かして成果を上げる力だと思っています。
私が副社長という立場だから言えるのですが、プレイヤーとして私よりも優秀な社員は大勢います。
ただ、誰よりもチーム全体のパフォーマンスと成果を意識するようにはしています(できているかどうかは分かりませんが…汗)
少なくても、チームメンバーの力が足し算以上に掛け算になるようにしたいと考えています。
ちなみに、アマゾンはリクルートをする際、採用担当者は「自分よりも優秀な人」を採用するように心がけているそうです。
〈Forbes JAPAN / 2022年3月14日〉
自分より優秀な人を恐れずに採ることができれば、チームが成長し、それが自分にも返ってくる。
リーダーや上司の役割は、メンバー(部下)を育成し、最大限の成果に導くことです。
その能力を経験とともに磨いていく。
それは業務だけではなく、年を重ねれば重ねるだけ、さまざまな人と出会えるはずです。
一人ひとりの多様性を前向きに捉えて、さまざまな考え方や価値観を吸収し、リーダーシップの血肉に変えていけるかが、何よりも肝要だと思います。
任せることで「新しい自分」に出会う
とはいえ、人の力を引き出し、成長させ、成果に導くだけでは…、なんだかどうしても…、という方もいるでしょう。
気持ちは分かります…(笑)
でも、任せることで、プレイヤーとしての成長も叶うと思います。
誰かに任せたことで得た時間で、新しいことに挑戦する。
よく、新しい挑戦をやらなくちゃいけないと頭の片隅で思っていても、「時間がない」と思うことはありませんか?
私が社長からずっと言われ続けてきたことは、「時間はつくるもの」ということでした。
逆に言えば、一日24時間しかなく、全人類が平等です。
この限られた時間の中で、どう余白を生み出していくのか?それには任せることなしには進みません。
また、何に挑戦したら良いか分からないという方にオススメなのが、「会社の悪いところ」「足りないところ」を挙げてみることです。
それはすなわち「会社が必要なこと」です。
さらに言えば、「誰もできていないところ」です。組織人としてこれ以上のブルーオーシャンがあるでしょうか?
ここに取り組めば独占状態ですし、評価されること間違いなしですね。
「やること」の断捨離の仕方
では、どのように人に任せることを増やしていくのか?
第34代アメリカ大統領のドワイト・D・アイゼンハワーの仕事術は大変参考になります。
「アイゼンハワー・マトリクス」
「10人分くらいの仕事をした」ともいわれるアイゼンハワーの時間管理術では、「権限委譲」がキーワードなのです。
〈アイゼンハワー・マトリクス〉
一つ一つの仕事を「重要度」と「緊急性」の2つの項目と、「高い」「低い」で仕分けしていきます。
重要度が高いものは自分でやりますが、緊急性が低ければ、すぐにはやらず予定しておきます。
そして、「重要度が低く、緊急性の低い」ものは排除します。
フォーカスするのは
重要度が低く、緊急性の高い仕事です。
これは部下に任せる。
仕事はどれも重要(自分がやらないといけない)と錯覚を起こしがちですが、ここを手放せるかで部下も成長するし、自分も成長できる機会となります。
よく「でも相手も忙しそうだし…」と躊躇してしまうこともありますが、この仕事を抱え込んでしまうことで
重要度が高いが、緊急性の低い仕事
に、いつまでも着手できずにうやむやにしてしまうことが多々あります。
先ほど挙げた「やらなくてはいけないと思っているが、忙しくて後回しにしてしまう新しい挑戦」などです。
でも、重要度が高いのであれば、それを遂行できると期待されている自分がやる方が、自分のためにも、会社のためにもなるはずです。
そうやって、なるべく自分にとって、会社にとって未開拓な分野に身を投じるようにしていく。
この挑戦こそが財産になるのです。
「頼り上手は、成長上手」。
「アイゼンハワー・マトリクス」以前に、「自分がすでにできるもの」はどんどん手放していくイメージを持っていく方が良いかと思います。
そうして、自分を次のステージに自分で持っていく。
今の自分ができることを全てを手放しても、皆が納得し、必要としてくれる次の仕事は何なのか?
極論それぐらい振り切ってみると、見える化しやすいかもしれませんね。
もちろん、現実的にそこまで振り切ることはできませんが…(笑)
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